話題のアニメの魅力をクリエーターに聞く「アニメ質問状」。今回は、ウェブマンガサイト「ガンガンONLINE」(スクウェア・エニックス)で連載中のワザワキリさんのマンガが原作の「不機嫌なモノノケ庵」です。岩永彰監督に作品の魅力を語ってもらいました。
ウナギノボリ
10年前の朝ドラ「花子とアン」 当時の吉高由里子インタビュー
物怪庵(もののけあん)の主・安倍晴齋(あべの・はるいつき)と借金返済のため物怪庵でアルバイトをすることになった芦屋花繪(はなえ)の高校生コンビが妖怪祓(ばら)いをする物語です。この作品での妖怪祓いとは、何らかの事情で現世(うつしよ)にとどまる妖怪たちを本来すむべき隠世(かくりよ)へ送り届けることです。派手なアクションやバトルはなく、ちょっぴり心温まるお話がメインになっています。
奇をてらわずオーソドックスに、またドラマを丁寧に描くことです。その中でメリハリをつけるため、芦屋と安倍のかけ合いはテンポよく見せて、じっくりと見せるシーンは間を大切にしています。また、背景を水彩画っぽく表現してみました。これは最近の背景作業がほぼデジタルになったことで無機質で均質なものが多くなったのかな、と感じていたからです。原作の世界観にも合うのではと思いましたし、画面に変化をつけたいとも考えていました。妖怪をCGで表現することは作品の売りとしてすでに決まっていたことですが、CGスタッフの力の入りようは1話のモジャを見ていただけるとお分かりになると思います。
テストの時に修正してほしい部分をお願いすると、本番では一度でその通りに演じてくださるキャストの方々ばかりでしたので、収録はとてもスムーズでした。ここぞとばかりにアドリブを入れてくる方もいらっしゃいましたし、あるベテランの方がいらっしゃった時には、梶(裕貴)さん、前野(智昭)さんがものすごく緊張されていました。そういったことも含めてとてもバランスのよい現場だったと思います。
今回、比較的早い時期に作業に入れたので最後の2本くらいを除けば、ほぼオールカラーでダビングができていました。また、リテ-クの時間も取れたので、できる限りの直しはやれたかと思います。
大変だったことは、エピソードによってはセリフがとても多く、決められた尺に収まらない時です。必要な部分を残すためにどこを削ったらいいのかいろいろと考えていくのですが、こういった場合どうしてもギャグ部分を優先的に削ってしまいます。もしかしたら、原作ファンの方々は不満に思われているかもしれませんね。
今後も個性的な妖怪たちが出てきますが、ワザワ先生がデザインされたアニメオリジナルの妖怪が登場しますし、まだ発表されていない方も含めて、まだまだ豪華なキャストが出演されますので楽しみにしていてください。また、安倍と芦屋の関係の変化にも注目していただければと思います。
原作の魅力を損なうことなく丁寧に作り上げていこうとスタッフが一丸となって進めてきました。最後まで楽しんで見ていただければ幸いです。
監督 岩永彰
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