青木志貴の魔王式随想:「ゲーム観戦」のセカイ

青木志貴さん
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青木志貴さん

 人気ゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ」の二宮飛鳥役などで知られる新人声優の青木志貴さん。自身を「ボク」と呼ぶ“ボクっ娘”で、“魔王”のニックネームで「League of Legends」などのオンラインゲームをがっつりやり込むコアゲーマーという異色の経歴も併せ持つ青木さんが、その独自の視点で自身の歩みやさまざまな思いを語ります。

ウナギノボリ

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 皆さんこんにちは! 3月になってずいぶん暖かくなりましたね! ボクは4種類の花粉症もちで、特に3月くらいから花粉症がひどくなってきます……。中学生くらいから花粉症とはお付き合いしているのですが、花粉症じゃない方が本当にうらやましいです。花粉きらい!

 さて今回は「eSports」と「ゲーム観戦」についてお話ししていこうと思います。

 皆さんはeSportsというものをご存じでしょうか? electronic Sportsの略でコンピューターゲーム、ビデオゲームをスポーツ競技としてとらえる際の名称です。世界中でいろいろなゲームの大会が行われ、アマチュアからプロゲーマーまで活躍し、世界の競技人口は5500万人以上となっているんです!そしてその賞金額もすごいんですよ~! ゲーム好きとしては本当に憧れの世界ですね。

 特にボクが最近大好きでずっと遊んでいる「League of Legends(LoL)」はプロフェッショナルスポーツにも認定され、アスリートビザが発行されたりもしています。日本にもプロゲーマーはまだまだ数少ないのですが存在し、世界大会で成績を残している方がたくさんいらっしゃいます。

 そんなeSportsですが、実際に目で見てどのようなものか体験してみないとなかなか想像しにくい部分があるかもしれません。ボクもeSportsというものに関わるようになったのはほんの数年前のことで、それまでゲームの大会がどんなものなのか、どれくらい盛り上がっているのかも全く知りませんでした。

 6年くらい前でしょうか、ボクはそれまでずっとMMORPGやオンラインマルチプレーのゲームが好きで、同じゲームと言えどもeSportsとは全然関係のないゲームばかり遊んでいました。

 そんななか、ゲームを通してできた友人が格闘ゲームがうまい方だったので、なんとなく興味を持って「スーパーストリートファイター4(スパ4)AE」というゲームを検索したんです。元々ストリートファイターシリーズは知っていましたが、プレーしたのはストリートファイター2で、かなり昔のことで……。さらにそのスト2で兄に一方的にボコボコにされ、格闘ゲームにはあまり良い思い出がなく、それ以来全く格闘ゲームというものをプレーしていませんでした。

 そんな格闘ゲームですが、そのとき検索した「スパ4」に「ジュリ」という女キャラクターがいたんです。それがもう見た目もキャラクター設定もめちゃくちゃ好みで(ボクは悪役っぽいキャラクターを好きになりやすいんですよね)! ゲームはもちろん、マンガやアニメでも「キャラ萌え」から入りやすいボクは「思い立ったが吉日!」とソッコーで「スパ4」とアーケードコントローラーを買いにいきました(笑い)。

 そんなジュリへのキャラ萌えから始まった格闘ゲームでしたが、はじめてみると難しく奥が深い。でもとても楽しいんですよね。負けず嫌いのボクはオンライン対戦で負けるたびにぎゃーぎゃーとわめきながら、プレーしていました(笑い)。そうやって自分でもeSports競技となっているゲームを遊び始め、プロゲーマーの方とお話しする機会も増えていきました。

 そんな中、知り合った方々が出場する格闘ゲームの世界大会があるという事を知りました。毎年アメリカで行われる、「Evolution」、略して「EVO」と呼ばれる格闘ゲームの世界大会。ボクはどんなものなのか、どんな人たちが出場するのか全く知りませんでしたが、ネット配信でそのEVOという大会を初めてみたんです。

 驚きました。とても大きな会場で、いろんな国からたくさんの人々が集まって対戦している。選手だけでなく、プレー観戦や応援の観客たちでにぎわい、中には格闘ゲームのキャラクターのコスプレをしている人もいて、「なんだこれ! すごい! お祭りみたいだ!」と、ネット配信ごしなのにとてもテンションが上がったのを覚えています。

 もちろん出場選手は皆勝つためにアメリカに集い、競い合っているのですが、観客も皆自分の推している選手、自分の国の選手を一丸となって応援していて、その盛り上がりは、野球場へ自分の好きなチームを応援しに行く、スポーツバーで集まって皆で応援する。本当にスポーツ観戦と全く同じだと感じました。日本の選手や自分の知っている選手が対戦しているとこちらも緊張するし、頑張れ! 勝ってー!と願いながら観戦する。自分がプレーしているわけではないのですが、不思議とこれが本当に楽しいんですよ。

 ボクは初めてのeSports観戦がEVOで、もちろんアメリカに行くなんてできず、自宅からネット配信で観戦していたのですが、ネット配信では同じように配信を見ている人たちとチャットができて、そのチャットでも盛り上がり方は同じで。熱い場面ではチャットでも「うおおおおおおおおおおお」なんてコメントでも盛り上がっていたり。会場にいてもいなくても、本当に楽しめるんです。

 それからすっかりゲーム観戦にはまってしまったボクは、大会に限らず自分の好きなゲームの配信をたくさん見るようになりました。大きな大会があるときには、お酒とつまみを用意してパソコンの前でわくわくしながら待っていたり(笑い)。

 格闘ゲームをプレーし始めてから知ったeSportsとゲーム観戦の世界。今ボクはLoLにはまっていますが、こちらも世界中で大会が行われています。日本でも「League of Legends Japan League(LJL)」という大会がありまして、現在、「LJL 2017spring split」という大会の真っ最中で、見られる限り観戦しています。

 以前行われた 「LJL 2016 Summer split Final」ではオフラインイベントとして、大きな会場(確か2000人近く入る場所です)で開催され、ボクもありがたいことに、実際に会場で観戦することができました! 初めて大きな大会をその場で観戦できるということで、どきどきしながら会場に向かったのですが、その観客の多さ、演出、生ならではの盛り上がりに圧倒されっぱなしでした。

 日本国内のリーグだったので、出場チームは全て日本チームなのですが、観客もそれぞれ応援チームが違い、選手の名前を書いたうちわだったり、スティックバルーンだったり皆応援グッズを持っているのもとても印象的でした。

 ゲームプレーだけでなく、会場の演出も見所のひとつで、レーザービームやミラーボールを使った照明、更にDJさんがいて試合前の会場を盛り上げているんです。もちろん試合の盛り上がりは言うまでもなく、観客皆でウエーブをしたり、思わず立ち上がって応援したり。そこだけ見たら、だれがゲームの大会だと思うでしょうか。完全にクラブのような空間で「ただただすげーーー!」と初めての生観戦を楽しんでいました。スポーツ競技と同じように、eSportsにも実況、解説のキャスターさんがいるので、その実況解説がさらにゲームを盛り上げてくれるんです。

 ボクの隣にいらっしゃった方がプロチームのスポンサーの方だったようで、試合を見ながらちょこちょこお話しさせていただいたのですが、「初めてeSportsというもの観戦しましたが、こんなに盛り上がっているとは知らなかった」と、とてもうれしそうにお話ししてくださって、「そうですよね! 本当にゲームの力はすごいです!!」とボクまでうれしくなってしまいました(笑い)。

 ネット配信でももちろん楽しいですが、生の観戦は会場の皆さんとの一体感がすごくて、また新しいゲーム観戦のすばらしさを知ることができました。現在行われている「2017spring split」もまたFinalがオフラインで開催されるようなので、絶対チケットをとって参加したいです!!

ゲームがうまくなくても、好きならだれでも一緒に熱くなって、盛り上がれるゲーム観戦。そしてその感動をくれるeSports。少しでも興味があったらぜひ、ネット配信や動画を見て、知ってほしいなと思います。

 そして機会があったら実際に会場で観戦もしてみてください! ゲーム好きはもちろん、ゲームがくわしくなくてもゲーム観戦の楽しさ、素晴らしさ、そしてeSportsの可能性を感じられるんじゃないかなと思います。

 これからもっともっと日本のゲームシーン、eSportsが盛り上がって、プロゲーマーが増え、活躍できる場が増えるといいなあと感じます。そしてこのeSports、ゲーム観戦というすばらしいエンターテインメントをたくさんの人に知って、楽しんでもらいたいと思っています!

◇プロフィル

 あおき・しき=1月14日生まれ。162センチ、AB型。「アイドルマスターシンデレラガールズ」の二宮飛鳥役など。声優、タレントと多方面で活動中。ゲーマーとしても「魔王」の愛称を持つコアゲーマー。

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