80年12月、狂信的ファンが放った銃弾に命を奪われたビートルズのメンバー、ジョン・レノン。「ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ」は、彼が“ビートルズのジョン・レノン”になる前の物語だ。生みの親と育ての親、2人の母との関係が、音楽家としてのジョンをいかに形成していったかを描いている。英国現代アートを代表する芸術家の一人、サム・テイラー・ウッド監督がメガホンをとった。今作が彼女にとって長編映画デビュー作。
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時は50年代半ば。英リバプールで暮らすジョンは、幼いころ、伯母ミミ(クリスティン・スコット・トーマスさん)に引き取られてから、彼女とその夫(デヴィッド・スレルフォールさん)の深い愛によって育てられてきた。ジョンはある日、実母ジュリア(アンヌ・マリー・ダフさん)が近所に住んでいることを知る。再会を果たしたジョンは、厳格な伯母とは対照的な、奔放で明るいジュリアの家に出入りするようになり、エルビス・プレスリーの存在やバンジョーの弾き方を教わるうちに、やがて関心は音楽へと向かい始める……。
これは、ビートルズファン、とりわけジョン・レノンのファンにとってたまらない作品だろう。レノンの妻オノ・ヨーコさんが「この映画には、ジョンの思春期の深い苦悩と真実の愛が描かれています」と語っているように、レノンの生い立ちや、青春時代のエピソードが描かれている。ポール・マッカートニー(トーマス・ブローディ・サングスターさん)やジョージ・ハリスン(サム・ベルさん)との出会い、さらに、レノンが初めて結成したバンド「ザ・クオリーメン」時代の名曲までもが流れるのだから。その一方で、愛憎と苦悩をバネに大きく成長していく一人の青年の成長ドラマとしても楽しめる。
レノンを演じるのは、英国出身のアーロン・ジョンソンさん。12月には主演作「キック・アス」の公開を控えている。両作での変化を見比べるのもまた一興だ。余談ながら、彼は09年に23歳年上のテイラー・ウッド監督と婚約。10年には第1子が誕生している。5日からTOHOシネマズ六本木ヒルズ(東京都港区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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