1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの1巻」。今回は、「月刊少年マガジン」(講談社)で連載、津軽三味線を弾く少年を主人公にした 羅川真里茂(らかわ・まりも)さんの「ましろのおと」(440円)です。
ウナギノボリ
10年前の朝ドラ「花子とアン」 当時の吉高由里子インタビュー
キャバクラで働きながら、深夜番組のオーディションなどを受け、グラビアアイドルを目指す立樹ユナは、町でチンピラにからまれた背の高い少年を助け、家に居候させる。だが、恋人でミュージシャンのタケトから文句を言われ、自信のあったオーディションにも通らず、落ち込んでいた。そんなある日、ユナは岸辺で少年が津軽三味線を弾く場面を見かける。音が体の中で振動し、辺りの空気が変わる圧倒的な存在感がある演奏を見て「頑張ろう」と思い直すのだが……というストーリーだ。
マンガ界の巨匠・羅川真里茂、初の少年マンガ誌連載!! 津軽三味線×青春ストーリー!
「赤ちゃんと僕」「しゃにむにGO」などの大ヒットマンガを生み出してきた羅川真里茂先生による新作「ましろのおと」。これまでも人間のみずみずしい感情を描くことに定評がある羅川先生が今回は「津軽三味線」を通して主人公・澤村雪(さわむらせつ)の青春と成長を情感たっぷりに描いてくれています。
お話は主人公・雪が単身上京するところから始まります。天才津軽三味線奏者を祖父に持つ雪は幼いころから当たり前のように三味線に接し、祖父の音を肌で感じていました。しかし、祖父の死をきっかけに「自分の音」を見失ってしまうのです。津軽三味線を誰のために、何のために弾くのか……。雪はさまざまな人と出会い、いろいろな経験をしながら少しずつその答えを探していきます。
月刊少年マガジン10年1月号に掲載された読み切りから大反響があり、5月号から連載化された本作品。今までの羅川作品を愛する方に、そしてまだ羅川作品に出会っていない人にも読んでほしい至高のストーリーです。
「ましろのおと」原画展が11月18日まで三省堂書店カルチャーステーション千葉(JR千葉駅から徒歩2分)で展示されております。ぜひ、そちらにも足を運んでいただけたら幸いです。
津軽弁に津軽三味線。マンガで音を表現することはとても難しいと思いますが、その演奏から発せられる激しさや柔らかさ、緊張感が絵から存分に伝わってくるんです。迫力ある描写に心がざわめき、それらに直に触れてみたいと思わされる魅力があります。これまで少女マンガジャンルで活躍されている羅川先生なので、男性にはなじみのない絵柄にもしかしたら読まず嫌いをしている方もいらっしゃるかもしれませんが、人間の情熱や温かさを感じられる少年マンガなので、ぜひ。女の子キャラも可愛いですよ。
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