1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの1巻」。今回は、38歳のバツイチ作家と、80歳には思えないアクティブで乙女な母の日常を描いた西炯子さんの「ちはるさんの娘」です。
ウナギノボリ
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人気ミステリー作家で離婚歴のある五十嵐ちなつさん(38)の母ちはるさん(80)。洋裁店を営む母は、まじめなちなつさんとは対照的な性格だ。ビキニの水着を「ここまで生きたごほうび」と言って買おうとし、イケメンを見ると顔を赤らめ、テレビの観覧でもおめかしをして「お嬢さんと呼んでほしい」という“青春”まっさかり。そんな母に、ちなつさんはタジタジ。「娚の一生」などで人気の西炯子さんが描くほのぼのとした母娘のコメディーだ。
大ヒット作品「娚の一生」の西炯子が描くホームコメディー4コマ。笑いあり涙あり……でも、それだけではありません。深い。実に深い! 親子とは? 家族とは? 結婚とは? 幸福とは? 読み返すたびに新発見があります。
私も単行本編集中に読み返していて「あ、ここはこういうことだったのか……!」と、何度もひざを打ちました。たかが4コマと侮るなかれ。
80歳の母・ちはるさんの可愛らしさに人気が集まっているのですが、個人的には、私と同世代の娘・ちなつさんに感情移入しちゃいます(異性ですが)。まさにアラフォーの悲哀。独身のちなつさんが、立派に主婦をしているお姉さんに責められるエピソードなんて、実に身につまされるのです。
年を取っても元気いっぱいの母、ちはるさん。自分の母親とタイプは違っても、きっとどこか共感できるポイントがあるはずです。それはたぶん、親子関係が普遍的なものだからでしょう。あ、そうそう。どうやら、ちはるさんのモデルは西先生ご自身の母上らしいです……!?
ともあれ「おもろうてやがてじんわり」という帯のコピー通りのこの作品、ぜひご一読あれ!
娘はきまじめで堅実、冒険なんかしません。乙女な母は、まだまだ“運命の出会い”を信じ、娘の再婚は願いつつも、イケメンは譲らないという可愛らしい人。
「きちきち時間に縛られている娘にはちょうどいい」と、母がすすめるのは編集の梅本くん。寝坊や遅刻が常習で頼りない印象の彼だが、「フランス人の作家から新作がもらえる」とメールをもらった翌日に海外へ行く行動派な一面は意外性があって、ちょっと女心がくすぐられてしまう。無愛想なちなつさんにも臆せず接する彼が、素直になれない彼女の心をとらえることができるのか。大人になって冒険が怖くなった女性にぜひ読んでほしいマンガです。
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