6月に放送10周年を迎えた人気ドラマ「相棒」シリーズの劇場版第2弾「相棒−劇場版2−警視庁占拠! 特命係の一番長い夜」が23日、公開された。08年公開の「相棒−劇場版−絶体絶命!42.195km東京ビッグシティマラソン」は興収44億円を記録。昨年は鑑識官の米沢守を主役にしたスピンオフ映画「鑑識・米沢守の事件簿」が作られるなど、長きにわたって熱いファンから支持されている。今回の映画化第2弾では、水谷豊さん演じる警視庁特命係警部の杉下右京と、「シーズン8」から彼の相棒となった及川光博さん演じる警部補の神戸尊が、事件解決に奔走する。前作に引き続き和泉聖治監督がメガホンをとった。
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警視庁で警視総監を含む12人の幹部を人質にした籠城(ろうじょう)事件が起こった。杉下と神戸が独自に容疑者を調べると、元刑事の八重樫哲也(小澤征悦さん)という男の名が浮かび上がる。ところが、救出の最中に八重樫は射殺され、発砲したのは誰なのか謎に包まれたままになってしまう。そもそも八重樫の目的はなんだったのか? この事件を解くカギは、八重樫が過去にかかわった事件にあった……。
このシリーズのもともとの売りは、人間ドラマがきっちりと描かれていることだった。また、組織の腐敗や社会の矛盾に目を向け、庶民が共感しやすいストーリーを提供している点も挙げられる。今回も当然ながら、犯人と思われる男が登場するが、それは、小澤さん演じる元刑事。悪人には見えない彼が何を理由に犯行を企て、また彼に協力する小西真奈美さんふんする警視庁総務部装備課主任・朝比奈圭子は、彼とどうつながっているのかなどを追いながら、やがて、事件の背後にある真相が見えてくるという寸法だ。
ここでも問題となるのは、上層部の人間たちの腹黒さだ。警視庁対警察庁の権力争いを繰り広げる“偉い人たち”を見ていると、正義とはなんなのかが分からなくなってくる。終盤、あるお偉方が正義を説く杉下に「正義の定義なんて立ち位置で変わるもんでしょ」とのたまう。その言葉を聞き、ますます無力感にさいなまれた。それでも、杉下なら正義を貫徹してくれると期待させる、含みを持たせたラストが印象的だ。マラソン大会を効果的に使った前作に比べ映画的スケール感という点では劣るが、じっくりと腰を落ち着けて見ることができる。23日から丸の内TOEI(東京都中央区)ほか全国で公開中。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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