ダンダダン
第7話「優しい世界へ」
11月14日(木)放送分
美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに50万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが「朗読倶楽部」の活動報告と名作を紹介する「乙葉しおりの朗読倶楽部」。第12回は、宮沢賢治の「注文の多い料理店」だ。
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みなさんこんにちは、乙葉しおりです。
3月3日は女の子のすこやかな成長を祈るひな祭りでしたが、みなさんの家ではひな祭りをしましたか?
童謡の「うれしいひなまつり」でも歌われているので有名ですけど、桃の節句といって、ひな人形と一緒に桃の花を飾るんですよ。
でも3月3日って、桃の花が咲く時期には少し早いんです。
では、どうして桃の花が咲くより前に、桃の節句があるんでしょうか?
実は、旧暦の時代からひな祭りの日時は3月3日になっていて、これを現在の暦に直すと、大体1カ月遅れになるんです。
桃は3月下旬から4月にかけて開花しますから、ちょうど季節の花になっていたわけですね。
そんなわけで、朗読倶楽部でもひな祭りを催したんですが、ひな人形を飾っている私の家にみんなで集まって、それぞれ思い思いに自分の成長を祈ってみたりしました。
ところで家ではひな祭りが終わった後、おじいちゃんもお父さんも、なかなかひな壇を片付けさせてくれないんです。
「しおりを行き遅れにするつもりかい」って、おばあちゃんが怒るんですけど、私にはまだまだ縁のないお話かなというか……。
あ、でも、あんまり片付けが遅くて本当に行き遅れになっちゃったら、それはそれでちょっと困るんですけど……(>_<)
ではここで、朗読倶楽部の部員紹介のお話に移りますね。
朗読倶楽部の部員ご紹介の3人目は、朗読倶楽部部長、丙絵(ひのえ)ゆいさんのお話をさせていただきます。
部長さんは最初の倶楽部結成のときに、文芸部から朗読倶楽部へ変更することを提案した、中等部の生徒さんです。
現在中学2年生で、私やみかえさんより年下になりますが、朗読倶楽部の代表として活躍する、時には頼りになり、時にはトラブルを運ぶ部長さんなのです。
部長さんはライトノベルを読むのが好きで、初等部のときから図書館通いをして、司書であり朗読倶楽部顧問でもある先生と知り合ったということですが、その先生がおっしゃるには、
「いつも人のことをからかって遊ぶので、クラブ活動をさせればおとなしくなると思った」
「部長になって前より悪化した気がする、少し反省している」
とのことで……確かに「私たちがあわてるのを観察するのが趣味」で、朗読倶楽部に参加した理由が、「からかうと楽しそうなメンバーだったから」と言い切ってしまうところは、なんとかならないかなと思うこともあります。
でも、朗読の練習場所の確保や、部活動としての実績をあげる方法を積極的に提案して実行に移すなど、私や、みかえさんにはない押しの強さと行動力は、最年少ながらさすがの部長さんだと感心するところです。
ちょっとだけ、強引すぎるところもありますが……。
朗読倶楽部部長、丙絵ゆいさんのご紹介はまだ続きます。
次回もまた、よろしくお願いしますね(^−^)
■しおりの本の小道 宮沢賢治「注文の多い料理店」
こんにちは、第12回の今回ご紹介する一冊は、宮沢賢治さんの「注文の多い料理店」です。
宮沢賢治さんの代表作のひとつに数えられる本作品は、1921年に執筆され、1924年に短編集の表題作として初めて出版されました。
これは宮沢賢治さんが生前に出版された2冊のうちの1冊で、唯一の短編集となります。
イギリスの兵隊のような身なりで山奥に狩猟にやってきた、2人の裕福な青年紳士。
ところが、全く獲物を仕留められないままに、道に迷ってしまいました。
途方に暮れる2人でしたが、やがて「西洋料理店・山猫軒」の看板が掲げられた一軒家を見つけます。
「人里離れた山奥」に「レストラン」という取り合わせに一瞬ちゅうちょするものの、歩き回っておなかをすかせた2人は中へと入っていくことにしたのですが……。
今でこそ、たくさんの人に親しまれている童話の名作ですが、初めてこの本を出版したときはほとんど売れなかったそうです。
その理由は、当時宮沢賢治さんが有名な作家ではなかったこと、有名ではないためにほとんど自費出版という形になり、出版部数も1000部と少なかったことから、本の値段が高価なものになってしまったことなどが挙げられます。
宮沢賢治さんはこの作品を「糧に乏しい村のこどもらが都会文明と放恣(ほうし)な階級とに対する止(や)むに止まれない反感です」と紹介しています。
これは、山奥でおなかをすかせた山猫と太った都会の紳士にそれぞれを例えているように見えますが、実はもう一つの意味が隠されているといわれています。
たくさんの本があふれ、勉強する機会がいくらでもある都会の人たちと、意欲があっても都会で暮らすこともままならず、地方では本という名の糧が乏しい自分の境遇……宮沢賢治さん自身を表しているのだと。
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