乙葉しおりの朗読倶楽部:第11回 田中貢太郎「四谷怪談」たたられない…よね

「東海道四谷怪談 新潮日本古典集成 第45回」作・鶴屋 南北(新潮社)の表紙(左)と乙葉しおりさん
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「東海道四谷怪談 新潮日本古典集成 第45回」作・鶴屋 南北(新潮社)の表紙(左)と乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。昨年7月から配信され、これまでに20万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが「朗読倶楽部」の活動報告と名作を紹介する「乙葉しおりの朗読倶楽部」。第11回は、田中貢太郎さんの「四谷怪談」だ。

ウナギノボリ

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 みなさんこんにちは、乙葉しおりです。

 今日から国公立大学の前期2次試験が行われていますが、受験生の方はまさに正念場だと思います。

 一人一人、それぞれの目的に向かって今まで努力を続けてこられたと思いますが、がんばりすぎて自分本来の力が出せないなんてことのないように、リラックスしてくださいね。

 私みたいに焦ってしまうと、本当に大変ですから……(>_<)

 私の受験の思い出は、高校の入学試験のときです。

 朝、自転車で試験会場に向かう途中にチェーンが切れてしまって、自分ではとても直せそうにないし、大事な自転車を置き去りになんてできないし、自転車を押して歩いたら間違いなく試験に間に合わないしで、泣きそうになりました……というか、ほとんど泣いてました(>_<)

 その時通りかかったある人が助けてくれなかったら、私は今の高校に通えていなかったでしょうし、当然朗読倶楽部と出会うこともなかったと思います。

 実は、その恩人の方は、同じ高校にいらっしゃることに後で気がついたのですが……。また機会があったときに、詳しいお話をさせてください。

 ではここで、朗読倶楽部の部員紹介を……。前回に引き続き、甲原(かんばら)みかえさんのお話です。

 元々は文芸部に入りたくて、私を誘ってくれたみかえさん。

 文芸部を朗読倶楽部に変えてしまうという提案が出たときは、必ず反対すると思っていたのですが、意外にもみかえさんはこの提案をすんなり受け入れてくれました。

 理由の一つは、私たちと同じ学校の初等部に通っている妹さんがいて、妹さんの小さい頃によく絵本を読み聞かせていたことで、朗読と縁があったこと。

 そして、もう一つ……みかえさんが海外留学していたことは前回お話ししました。

 そのため英語が話せるのですが、発音が苦手で、そのことが原因で留学を中断させてしまった過去があったんです。

 そこでみかえさんは英語の朗読練習をすることで、苦手な発音を克服しようと思ったそうなんです。

 普通なら英語が嫌になってもおかしくないのに、みかえさんの芯の強さは本当にすごいなって、尊敬しています。

 あ、留学で思い出しましたが、みかえさんの趣味を一つ紹介しそびれていました。

 留学先の通学用に運転免許を取得したことがきっかけで、帰国後に買った、小型のスクーターに乗るのが趣味だそうです。

 学校通学は禁止されているので普段は電車通学をしていますが、朗読倶楽部でお出かけするときの後席は、部長さんの予約席になっているんですよ。

 以上、甲原みかえさんのご紹介でした。

 みかえさんがどんな人か、少しでも伝わったでしょうか?

 次の朗読倶楽部メンバーご紹介は、朗読倶楽部部長、丙絵(ひのえ)ゆいさんです。

 次回もまた、よろしくお願いしますね(^−^)

■しおりの本の小道 田中貢太郎「四谷怪談」

 こんにちは、第11回の今回、ご紹介する一冊は、田中貢太郎さんの「四谷怪談」です。

 四谷怪談といえば「お岩さんの呪い」ですが、このお話がいつごろから語られるようになったかご存じですか?

 「四谷怪談」は、1727年発行の「四谷雑談集」で、「元禄時代(1688年~1704年)の事件」として取り上げられたものが最初のようです。

 その後、書籍、舞台、映像と、それぞれの分野で様々な解釈を受けて発表されていますが、今回お話しする「四谷怪談」は、アレンジを加えずに「四谷雑談集」の内容に沿って小説化されたものです。

 作者の田中貢太郎さんは、全国各地の怪談を現代に残すことに多大な貢献をされた方で、およそ500作もの怪談を再著作されているんですよ。

 同心の田宮又左衛門の一人娘、お岩は、病気によって顔にあとがついてしまったため、婿探しに苦労していました。

 やがて浪人の伊右衛門が、田宮家の領地を目当てに婿養子になりましたが、日々を過ごすうちにお岩を邪魔に感じ始めます。

 ある日、伊右衛門は与力の伊藤喜兵衛から、妊娠しためかけを引き受けてくれないかと頼まれました。

 お互い利害が一致した二人は手を組み、お岩をだまして離婚させた上、奉公に出させてしまいました。

 その後、だまされていたことを知ったお岩は、怒りのあまり半狂乱になり、そのまま奉公先を飛び出して行方不明に。

 邪魔者がいなくなったと喜ぶ伊右衛門でしたが、この時はやがて降りかかるたたりを、知るよしもなかったのです……。

 このお話の舞台は「雑司ケ谷四谷町」、現在の住所では豊島区雑司が谷にあたります。

 豊島区の妙行寺には「於岩」ことお岩さんのお墓があり、お岩さんを祭る「於岩稲荷田宮神社」は新宿の四谷に程近い、新宿区左門町にあります。

 四谷怪談の映画や舞台にかかわるスタッフさんたちは、たたりのないように必ずお参りするとか。

 私も、このお話を読んだ後にお参りしてきました。

 えっと、これでたたられたりしない……ですよね?(>_<)

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