乳がんのため21日に55歳で亡くなった元キャンディーズで女優の田中好子さんの通夜が24日、東京・青山葬儀所でしめやかに営まれ、関係のあった著名人や多くのファンが参列した。元キャンディーズの伊藤蘭さんは「最期をみとることはできた。何度も名前を呼びました」と瞳を潤ませ、「あともう一度だけ3人で会ってみたい。もっと一緒に、ずっとそばで、一緒に年を重ねたかった……」と悲痛な思いを明かした。25日の告別式では同じ元キャンディーズの藤村美樹さんとともに弔辞を読むことになっているが、「心を込めて送り出したいと思います」と声をしぼり出した。

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　田中さんが出演した映画「黒い雨」（89年）で、美術監督を務めた稲垣尚夫さんが手がけたという祭壇には、来年のカレンダーに使用する予定だったという田中さんの笑顔の写真が飾られ、色とりどりの明るい花々で彩られた。葬儀所内には、田中さんの写真パネルなども展示され、会場内にはファン向けの祭壇や記帳台も設置され、多くのファンが「スーちゃん」に最後の別れを告げた。田中さんの戒名は「春芳院妙純日好大姉」に決まったことも発表された。

　田中さんとはNHK連続ドラマ小説「ちゅらさん」で共演した国仲涼子さんや堺正章さん、ドラマ「筆談ホステス」で共演した北川景子さんをはじめ、伊東四朗さん、片岡鶴太郎さん、高橋英樹さん、「みんなの党」の渡辺喜美代表、競泳の北島康介選手らが続々と参列した。

　田中さんは東京都生まれ。73年に、伊藤さん、藤村さんとともに「キャンディーズ」の一員として「あなたに夢中」でデビュー。「スーちゃん」の愛称で親しまれた。「年下の男の子」「春一番」などのヒット曲を連発したが、人気絶頂だった78年に「普通の女の子に戻りたい」と解散し、田中さんも芸能界を引退した。その後、80年に女優として芸能活動を再開し、映画やドラマで活躍した。映画「黒い雨」では日本アカデミー賞主演女優賞などを受賞した。（毎日新聞デジタル）