M-1グランプリ2024 決勝戦
決勝戦 FIRST ROUND 前半戦 1~5組目
12月22日(日)放送分
北京五輪陸上男子3冠のウサイン・ボルト選手や女子棒高跳び金メダリストのエレーナ・イシンバエワ選手らトップスターがしのぎを削る最上級のリーグ戦として、世界14都市で開催される「ダイヤモンドリーグ」。WOWOWでは5月から各大会を放送している。6月11日にローマで開かれる第3戦を前に、世界選手権男子四百メートル障害銅メダリストの為末大さんに、リーグの見どころや陸上の魅力を聞いた。
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−−為末さんにとって、陸上競技の魅力とはなんですか?
シンプルな競技で人間の身体能力の根本を競い合うようなところがある分、残酷な面もあります。「この選手は速く走るために生まれてきたんじゃないか」という選手もたくさんいて、生まれながらのポテンシャルの差がある。でも、そこを努力で何とかカバーしようとする選手もいる。そういう選手が一堂に会して競い合っているっていうのが、陸上競技の面白いところだと思います。
また、ある意味“人類の身体能力の高い者たちの最高峰”というところが、すごく魅力に感じている点です。
−−為末さんにとって四百メートル障害の魅力とは?
ハードルの間は35メートルあり、その制限された間を走らなければならない。35メートルの間を何歩で走ってもいいわけですから、選手によっては13歩だったり、14歩、15歩だったりする。でも走ってくると疲れて歩幅が出なくなるので、ある段階で歩数を増やしていかなければならないんです。制限が多い競技なだけに、クリエーティビティーが発揮しやすい。サッカーが、手を使えないがゆえにクリエーティブな競技になったのと一緒で、ハードルがあるがゆえに頭を使って想像力を発揮することが有効な競技になったというのが四百メートル障害に対する僕の印象。それが一番面白い点かなと思っています。
そして、ハードルに限って言えば、どんなに身体能力の高い選手でもハードルをうまく乗り越えられなければ、身体能力に劣る相手にも負けてしまう。ハードルというのは障害なんですが、僕らにいろいろなドラマを与えてくれる。それが魅力的かなと思います。
−−今、為末さんは陸上競技を楽しんでいらっしゃいますか?
そうですね。ある年齢から、いつ引退してもいいという気持ちでいて、いろんな世界を見てきたんですが、いまだに陸上競技よりも面白い世界は見つからずという感じです。行けるところまで現役でいたいと思っています。
−−ダイヤモンドリーグの魅力とは?
オリンピックや世界選手権は、非日常的なお祭りなんです。では、日常的に選手は何をやっているのかというと、ダイヤモンドリーグのような大会で戦っている。でも、これが日本ではあまり知られていないんですね。
僕が初めてこの世界に触れたのは23歳のときだったんですが、「こんな世界があるのか!」と思いました。世界大会の準決勝レベルが毎試合で、(百メートルでいうと)9秒台がポコポコ出る。「この世界に身を置きたい」という思いが強くてプロになり、ヨーロッパをずっと転戦していました。一度でもあの空気に触れたことがある選手は、あこがれてやまない、あの一員になりたいと思う大会です。
−−ヨーロッパやダイヤモンドリーグは選手と観客の距離も近いと聞きますが、会場の雰囲気はいかがですか?
ダイヤモンドリーグは純粋に陸上競技を見せるための大会で、選手はその舞台の上でパフォーマンスをする存在。見ている側としてもすごく面白いんです。僕も、いつもレースが終わったあとには、観客席に回って見ていました。「日本でも放送されないかな」と思っていたので、「ついに来たか!」と感慨深い思いでいます。観客が見ていて面白いし、そういう空気だから選手も走っていて面白い。素晴らしい大会だと思いますね。
−−今年は大邱(テグ)世界選手権、来年はロンドン五輪を控え、全選手が本気になる年だと思うのですが、為末選手の注目する選手はいますか?
やはり(ウサイン・)ボルト。どれぐらいまで行くのか……。大きな身体で走っているので、崩れるときは崩れてしまうけれど、それをどう立て直してくるのかなという点や、そろそろ9秒6あたりで走るような若手が出てきて、対ボルト包囲網ができたときの対決なども面白いと思います。
そして、百十メートル障害のロブレス。中国の劉翔も復活してきたので、前世界記録保持者と現世界記録保持者の対決が楽しみ。四百メートル障害では、アメリカ勢に対して僕も含め日本勢がこのダイヤモンドリーグの場で挑んでいけたらいいなと思っています。南アフリカの選手も強くなってきているので、誰が勝つか分からない2年間になるのではないでしょうか。僕もそのキャスティングの中の一人になりたいと思っています。
−−為末さんにとってのこの2年間はどのように考えていらっしゃいますか?
ロンドン五輪が僕にとっての大きな夢なので、オリンピックに向けてトレーニングをしていきたいです。そして、とにかく一つずつのレースをかみしめながらやりたいなと思っています。もう一つ欲を言えば、もう一度ヨーロッパを回りたいという気持ちがすごく強い。ぜひこの2年間で挑戦し直して、世界の潮流にもまれたいです。試合が増えたこともありますし、ダイヤモンドリーグにも出られたらいいですね。
−−日本のファンは為末選手に期待していると思います。
僕もそう願っています。若いときと同じハードルレースは作れないと思いますが、自分自身としても生まれ変わりっていうものをテーマに掲げていて、戻るのではなく新しい自分をもう1回作り直そうと思ってトレーニングをしているので、33歳なりのハードルレースをしたい。それが完成すれば、世界と渡り合えると思ってトレーニングしていますので、ぜひその姿を見せることができればいいなと思っています。
第3戦 ローマ 6月11日深夜2時半 第4戦 ユージーン 6月18日(土)深夜2時 第5戦 オスロ 6月25日(土)午後8時 第6戦 ニューヨーク 6月26日午後11時45分 第7戦 ローザンヌ 7月16日 深夜2時 第8戦 パリ 7月26日深夜1時15分 第9戦 バーミンガム 7月30日深夜2時15分
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2024年12月26日 10:00時点
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