お笑いコンビ「スピードワゴン」の井戸田潤さんが、名古屋の円頓寺商店街を舞台にご近所付き合いを描いた映画「WAYA(わや)!~宇宙一のおせっかい大作戦~」(29日公開、古波津陽監督)に初主演する。マンションの人にあいさつするなど、自身もご近所付き合いを大切にしているという井戸田さんは、「人に興味を持ったりとか、隣の人に関心を持つとどんどん世界が広がっていくと思う」と話すやいなや、「今すごいいいこと言ったよね?」とうれしそうにはしゃいでみせた。お調子者で世話好きな主人公・勘太郎を演じた井戸田さんに、撮影の思い出やお笑いと俳優業のちがいについてなどを聞いた。(毎日新聞デジタル)
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映画は、名古屋駅と名古屋城を結ぶ円頓寺商店街が舞台。なにかと商店街のみんなの世話を焼いてくれるシゲさん(矢崎滋さん)がげた屋を継いで30年と聞いた青年団団長の勘太郎(井戸田さん)は、サプライズで喜ばせようとお芝居の企画を立てた。しかし本当の目的は、昔、シゲさんがケンカ別れしたという親友(ルー大柴さん)と仲直りさせるというもの。実にありがた迷惑な作戦だが、商店街の面々はすでにノリノリ……。そんな中、夫婦げんかの末、シゲさんの娘・冴子(水野美紀さん)が息子を連れて戻ってきた。幼なじみでずっと冴子に片思いだった勘太郎のテンションはさらにあがり……というストーリーが描かれる。そのほか、名古屋の栄を中心に活動する「AKB48」の姉妹アイドルグループ「SKE48」の矢神久美さんや松井珠理奈さん、井戸田さんの相方・小沢一敬さんも出演する。
これまで、映画「ヒトリマケ」(08年)、「くれないの盃」(08年)に出演してきた井戸田さんだが、今回が映画初主演。オファーが来たことについて、「やばいことになった! ドッキリじゃねーかと思った!」と振り返る。愛知県小牧市出身の井戸田さんは、「こういう商店街に住んでいたわけではないですけど、どっか行くとたいていおばさんがお菓子くれますよね。よく行くたこ焼き屋ではおまけしてくれたり、かわいがられて育ちました」とちゃめっ気たっぷりに笑った。
古波津監督が「主役は商店街」と言い切るだけあって、とにかく個性的なメンバーで構成されるこの商店街。なかでも、“自薦”青年団団長の勘太郎は、商店街のために走り回る。「根っからの明るいピュアな人」と分析するも、「僕もそういうところはあるけど、根っからではない。みんなそうだと思うけど、僕も腹黒い部分を持ち合わせている」と告白。古波津監督からは、「何か作戦を考えてわくわくしてニヤニヤしているのが勘太郎。でも、井戸田さんはどうしても邪悪な部分や腹黒い部分が顔に出てる。そこを消してくださいと言われた」と苦労を明かした。
撮影は、実在する円頓寺商店街で10年年末~年始にかけて行われ、商店街の有志たちがボランティアで炊き出しや芝居小屋の廃材集めなどに協力。「豚汁とかカレーなどがありました。帰ったときにあったかいご飯があるのがありがたかったです」と笑顔を見せ、「頭が下がります。それがあったから頑張れた。マジですからね!」と“強調”してみせた。
お笑いコンビ「スピードワゴン」として活躍する井戸田さんは「セリフがあってやることはお芝居」と話し、「普段は漫才をやっていますが、漫才も演技だと思う」と演技についての思いを告白。「ガッチリ生かされてはないけど、役に立ってると思います」と話したものの、初めての主演ということで萎縮(いしゅく)した気持ちもあったという。商店街のメンバーで洋品店を営む牛島えり役の藤田朋子さんからは「監督から『やりすぎましたね』とか『もうちょっと抑えてください』と言われる方がいいから、もっと思い切ってやりなさい」とアドバイスをもらったといい、「その言葉で気持ちが楽になった」と振り返った。
映画について、「年を重ねてくると僕もそうですけど、夫婦っていろんな危機がある。それをなんとなくみんな乗り越えてやってるので、そういうのを再確認できると思う。家族で見ていただきたい」と呼びかけた。また、“希薄”な感じがするという今の世の中に対して、「散歩みたいなノリだと思うんですよ。近くの人に興味を持つことが大事」と話し、「車とか電車での移動が多くて、自分の場所しか行かないから見えない。たまに散歩すると散歩っていいなと思うじゃないですか」と独自の理論を展開した。
最後に井戸田さんは、「『SKE48』が出ているので、若い子も見てください!ハラハラドキドキするわけではないですけどあったかくなると思うので、散歩がてら映画を見に来てください。帰りも歩いて帰っていただいて、おなかをすかせて帰って、ご飯を家で食べてください」とユーモアたっぷりにアピールした。
<プロフィル>
いとだ・じゅん 1972年生まれ、愛知県小牧市出身。1998年に小沢一敬さんとお笑いコンビ「スピードワゴン」を結成。小沢さんが甘い言葉を使うと、「あま~い!」と叫ぶネタなどで人気に。映画「ヒトリマケ」(08年)、「くれないの盃」(08年)、舞台「和田アキ子物語」(10年)に出演するなど役者としても活躍。今後については、「芸人としてネタもやっていきたいし、俳優の仕事もあればぜひやりたい!」と意気込みを語っている。
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