注目映画紹介:「コンテイジョン」 ソダーバーグ監督の手腕が光るウイルスパニック作品

「コンテイジョン」の一場面 (C)2011 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.
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「コンテイジョン」の一場面 (C)2011 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.

 マット・デイモンさんをはじめ、グウィネス・パルトロウさん、ジュード・ロウさん、ケイト・ウィンスレットさん、さらにマリオン・コティヤールさん、ローレンス・フィッシュバーンさんと、文字通りオールスターキャストによるウイルスパニック映画「コンテイジョン」が全国で公開中だ。「オーシャンズ11」(01年)や「トラフィック」(00年)などで調べるスティーブン・ソダーバーグ監督が手がけた。コンテイジョンとは「接触伝染」「伝染病」を意味する。

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 香港出張から米国に戻った女性が原因不明のウイルスに冒され2日後に死亡する。同じころ、香港、ロンドン、東京でも同様の症状で死者が出ていた。米国疾病管理予防センターや世界保健機関がワクチンの開発に動き始めるが、その間にも新型ウイルスは世界各地に広まっていき……という展開。

 ネタは必ずしも新しくない。だがマンネリと感じないのは、ソダーバーグ監督自らが撮影監督を務め、その場にある光を利用するデジタルカメラによる撮影手法が、ドキュメンタリー風の効果をもたらしているせいだろう。

 第一の発症者が現れてからの、周囲の様子を日を追って描写していく。発生源を突きとめようとする感染症対策の専門機関。発症後の本人や家族の対応。その一方で、ジャーナリストの興味本位のリポートや、恐怖心をあおるだけのマスコミ報道に翻弄されパニックに陥っていく人々……。誰もが、いつか、どこかで見たことのある光景。それらをソダーバーグ監督は冷静にとらえていく。観客は映画の中の出来事が、いつしかわが身にも降りかかるような錯覚にとらわれ、劇場を出るときには、自分の顔を手で触れるのにも躊躇(ちゅうちょ)するはずだ。12日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開中。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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