芥川賞受賞作家・伊藤たかみさんの小説が原作の映画「指輪をはめたい」(岩田ユキ監督)が19日に初日を迎え、主演の山田孝之さんら出演者が東京都内の映画館で舞台あいさつを行った。プロポーズするはずだった相手を忘れる男・輝彦役を演じる山田さんは、女性に囲まれる役柄について「すいません……。そうですね、まあ、楽しくやりました……」とローテンションで感想を答え、会場の笑いを誘った。
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映画を男性に見てほしいという山田さんは、会場に男性の姿を見て「アピールしたかいがありました」とにんまり。「元が男性の方が書いたものですし、男が結婚をどう考えるかが面白い。ぜひ共感できるので男性に見てほしい」といい、「こんなテンションですいません。ぐるぐる頭をかき乱される作品だと思います。見てその場で映画を楽しむのにプラスして、一歩引いて自分のこととして思ってほしいんですよ。それで誰か異性と話してほしい」と再度アピール。女性については「さしてアピールしなくても来てくれると思いました」とそっけなく答え、会場を盛り上げていた。
映画は、29歳独身の営業マン・片山輝彦(山田さん)がある日、スケートリンクで頭を打ち、気を失ってしまうというところから始まる。目が覚めると、かばんの中には婚約指輪があった。しばらくすると、輝彦の前に彼女だと名乗る、年齢も外見もばらばらの女性たちが現れる。会社の先輩でクールな才女・智恵(小西真奈美さん)、営業先の風俗店に勤めるサバサバとしためぐみ(真木よう子さん)、公園で人形劇屋台をしている古風な和歌子(池脇千鶴さん)の3人。輝彦はプロポーズするはずだった相手を思い出そうと、彼女たちとデートを重ねるが、それぞれ魅力的で、一向に思い出せない。そして、ついに3人の彼女が一堂に会するという大事件が起きてしまう……というストーリー。
輝彦の彼女のひとり、智恵を演じた小西さんは、見どころについて「後半に向けて、女性同士のこういうこともあります」と拳を見せ、アクションシーンがあることをアピール。めぐみを演じた真木さんは「この役を逃したら(風俗嬢役は)もういただけないと思ったのがこの映画に出た理由」と自身の役を説明した。和歌子を演じた池脇さんは劇中で演じる人形劇が見どころといい、「どういう声で話そうか、劇のストーリーをどう伝えるか、1人だけの楽しさがあった」と映画の世界を満喫したようだった。
舞台あいさつでは、映画にちなんで、「もし記憶をなくして、恋人を名乗る人物が目の前に現れたら?」というお題に出演者が答えた。山田さんは「なるようにしかならないんじゃないですかね……」と素っ気なく答え、小西さんは「(恋人の)証しを見せてもらうところから入って、お友達から」と慎重に答え、池脇さんは「どうも信用はできない。記憶がないとただの男性でしかない。恋人だと、周りから聞けるまでは会いませんね」ときっぱりと答えたが、真木さんは「たぶん普通に付き合うと思います。もし本当に恋人だったらかわいそうじゃないですか」と観客を共感させていた。(毎日新聞デジタル)
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