米サンフランシスコで開催されたゲーム開発者の会議「ゲームディベロッパーズカンファレンス2012(GDC12)」には毎年多くのゲーム開発者が世界中から集まります。残念ながら私は参加したことがないので、ライブ感を感じたことがありません。しかし、今は動画やカンファレンスの参加者のツイッターで、日本にいながら、あたかも会場にいる感覚を味わえます。
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さて、会期中はさまざまはカンファレンスが開催されており、日本のゲームをテーマにしたものもありますが、今回変わった意味で最も話題になったのは、あるカンファレンスでカナダのゲーム開発者から出た「君たち(日本)のゲームはクソだ」という発言でしょう。その発言の発端となった質問をしたのが日本人のゲーム開発者ということもあり、話題になりました。まあ、ライブ会場での発言の場合は、発言者は場の勢いに任せて強気な発言をするケースが多いものです。後日、その開発者が語ったことをフォローすれば「最近の日本のゲームがひどいという意見は変わらない」「日本は過去の栄光にとらわれている」という趣旨のことをいっています。
開発者がいうところの「最近の日本のゲーム」がどれを指しているのかがはっきりしないのですが、的はずれかといえば、強く否定できない……というのが私の本音です。我々日本のゲーム開発や企画に携わる者には娯楽の原点への振り返りが必要だと思います。
以前は海外で開発されたゲームは「洋ゲー」と呼ばれ、日本人にはなじみにくい操作方法だったりで、良い評価を受けることはありませんでした。しかし、「洋ゲー」は数年の間で大きく変わりましたし、「ゲームのアカデミー賞」と言われる「GDCアワード」では、日本のゲームが受賞することはなくなりました。少なくとも世界のゲーム開発者はそう思っているのは間違いないのです。
もう一つ、興味深い話がありました。あるカンファレンスでは「When the consoles die,what comes next?(家庭用ゲーム機が死んだとき、次に来るのは何?)」という刺激的なタイトルが話題になりました。実際は「die」は文字通り「死ぬ」ということではなく「衰退していく」というニュアンスだったようですが、プレゼンターがDeNAの子会社「ngmoco」のスタッフだったのも興味深いところです。
カンファレンスには驚くようなハプニングが起こりますが、ハプニングには、その時代の特徴を端的に表しているエピソードが隠されているのです。
くろかわ・ふみお 1960年、東京都生まれ。音楽ビジネス、映画・映像ビジネス、ゲームソフトビジネス、オンラインコンテンツ、そしてカードゲームビジネスなどエンターテインメントビジネスとコンテンツの表と裏を知りつくすメディアコンテンツ研究家。ブログ「黒川文雄の『帰ってきた!大江戸デジタル走査線』」(http://blog.livedoor.jp/kurokawa_fumio/)も更新中。
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