放課後ミッドナイターズ:竹清仁監督と宣伝部員・黒田勇樹が映画の魅力を語り尽くす

「放課後ミッドナイターズ」を手がけた竹清仁監督(左)と宣伝部員の黒田勇樹さん
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「放課後ミッドナイターズ」を手がけた竹清仁監督(左)と宣伝部員の黒田勇樹さん

 真夜中の学校を舞台に理科室の人体模型が巻き起こす大騒動を描いた3D劇場版アニメ「放課後ミッドナイターズ」(竹清仁監督)が25日、公開された。日本を含めシンガポールなどアジア5カ国での上映が決まるなど話題となっている同作について、竹清監督と、声優として参加しただけでなく宣伝部員も務める元俳優で“ハイパーメディアフリーター”の黒田勇樹さんに話を聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 「放課後ミッドナイターズ」は、天才的な科学知識を持つ人体模型のキュンストレーキや脳がなく単純な性格の骨格標本のゴス、いたずらを繰り返す幼稚園児3人ら個性的なキャラクターが真夜中の学校を舞台にドタバタを繰り広げる作品。人体模型の声を山寺宏一さん、骨格標本の声を田口浩正さんが担当し、黒田さんはウサギのソニー役の声優として参加している。

 ◇褒め言葉は「バカだね」 低予算でも世界でウケる娯楽映画

 主人公の人体模型の造形を見ると、ホラー映画のようだが、映画には細かいギャグがちりばめられ、派手なアクションシーンも用意されている。竹清監督は同作のコンセプトを「メッセージはありません。僕にも思っていることはあるけど、それをいいたいから作った映画ではありません。『バカだよね』っていうのが最高の褒め言葉」と解説。竹清監督が目指したのは80年代に人気を集めた「ゴーストバスターズ」シリーズや「グーニーズ」などのような娯楽映画で、「よくできた映画が愛されるというわけではありません。愛される映画を作りたかった」と語った。声優として作品に参加した黒田さんが「本当に楽しい映画。アフレコ前の映像を家で見ていたら、5歳の子ども(妻で歌手の中村瑠衣さんの息子)もじっと見ていた。この映画はすごい」と話すように、子どもから大人まで楽しめる作品に仕上がっている。

 同作は、ほかのCGアニメと比較すると低予算で製作されているといい、竹清監督は「ピクサーの100分の1、日本のCGアニメだと20分の1か10分の1程度です」と説明。竹清監督は、予算の関係でライティングやリアルなテクスチャーを省略する一方で、デザインや色、キャラクターの芝居にこだわったといい、「そこがしっかりしていれば、観客が感情移入してくれると思った」と語った。また、竹清監督は、製作開始時から海外展開を視野に入れ、「マンガも同じなのですが、絵が理解できないと見られない。キュンストレーキは見た目がちょっと嫌だけど、ポップにしています。それと日本でしか分からないような時事ネタも入れていません」と話すように、海外の観客も楽しめる作品を目指した。そのもくろみは成功したようで、シンガポールで行われた試写会では大爆笑が起こったという。

 ◇黒田さんは宣伝部員&声優として大活躍

 黒田さんは、子役時代に映画の吹き替えをしたり、自主制作アニメに参加した経験があるものの、本格的な声優は初めてで「豪華な声優陣に名前を連ねるなんて、ありえないと思って、クレジットは“黒田勇樹(アルバイト)”にしてもらいました。よくある“友情出演”は敬っているけど、僕の場合はへりくだっている」と冗談めかすが、竹清監督は「(黒田さんが声を担当する)ソニーのダメな感じがぴったり」と絶賛する。

 さらに、竹清監督は黒田さんの宣伝部員としての活動にも「素晴らしい活躍」と称賛の声を送る。黒田さんは普段、映画館のポップコーン販売などのアルバイトをしながら生活しているが、アルバイト先の上司から頼まれて宣伝部員となり、人体模型の全身タイツで映画をPRする動画をインターネットにアップしたり、“はるかぜちゃん”の愛称で知られる子役の春名風花ちゃんとトークショーを開催するなど独自の宣伝活動を行っている。黒田さんは「時給で宣伝部員の仕事をしていて、交通費がもらえないので、交通費が給料を上回る日もある」と嘆きながら「でも、上司に好きなことをやれといわれているので、好きにやっています」と楽しんでいる様子だ。

 ◇目指すは“小さなピクサー” 黒田さんは一生懸命バイト

 また、黒田さんは、特撮映画「メンタルヒーローJ1(仮)」で監督デビューすることが決定していることもあり、映画の進行状況を聞いてみると「監督を目指します!といっただけで、作業に入るのはお金が集まってから」とコメント。宣伝部員としての活動は8月末で終了するといい「9月はポップコーン屋のシフトがまだ決まっていない……。コールセンターのオペレーターのバイトをしていますし、一生懸命バイトをします。それと、テレビの司会が夏休み中に代打で出演する。何をしている人か全然分からないですね……」と笑顔で話した。

 一方、竹清監督は「チャンスがあれば、また長編を作りたい。10年で3本くらいは長編を作りたいです。小さなピクサーみたいにしていきたい」と野望を語りながら、宣伝部員の黒田さんの顔を見ながら「この作品次第なので頼りにしています」と話した。映画は25日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほかで公開。(毎日新聞デジタル)

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