13年の邦画は名作へのオマージュ作品や名作からベストセラー小説まで人気小説の実写化作品などが続々と公開される。洋画では年明け早々トム・クルーズさんやブルース・ウィリスさんなどハリウッド俳優が来日するほか、日本勢が活躍するハリウッド映画も公開される。今年公開される注目映画をピックアップして紹介する。(毎日新聞デジタル)
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まず、邦画では19日に公開する山田洋次監督のデビュー50周年記念作品「東京家族」。13年に生誕110周年を迎える小津安二郎監督の名作「東京物語」(53年)をモチーフに製作された。舞台は東日本大震災後の12年5月の東京で、山田監督の「震災を無視して作れない」という思いから、製作が1年延期された後、完成にこぎ着けた。橋爪功さん、吉行和子さん、西村雅彦さん、中嶋朋子さん、妻夫木聡さん、夏川結衣さん、林家正蔵さん、蒼井優さんが出演し、「大切だけれど煩わしい」家族の姿を描く。
次にチェックしておきたいのが「悪人」の吉田修一さんによる原作を「キツツキと雨」の沖田修一監督が映画化した「横道世之介」。80年代後半の東京を舞台に、長崎の港町に生まれ大学進学のため上京したお人よしの世之介(高良健吾さん)を中心に、ガールフレンドの令嬢・与謝野祥子ら仲間の青春を描く。高良さんが劇中で披露するサンバダンスや吉高由里子さん演じる祥子の“お嬢様ぶり”のほか、斉藤由貴さんのポスターなど当時の様子を忠実に再現したセットにも注目したい。ほかに池松壮亮さん、伊藤歩さん、綾野剛さんらが出演。2月23日公開。
続いて注目したいのが12年10月17日に逝去した若松孝二監督の遺作となった「千年の愉楽」。和歌山出身の作家・中上健次さんの同名小説が原作で、“路地”に生きる美しい男たちを見守ってきた産婆・オリュウノオバ(寺島しのぶさん)を通して生の不条理さや生々しさを描いている。寺島さんのほか高良さん、高岡蒼佑さん、染谷将太さん、井浦新さん、佐野史郎さんが出演。3月9日公開。
ほかにも西加奈子さんのロングセラー小説が原作で、宮崎あおいさんと向井理さんが初共演を果たした「きいろいゾウ」(廣木隆一監督・2月2日公開)、12年本屋大賞を受賞した三浦しをんさんの小説が原作で、松田龍平さんが主演、宮崎さんがヒロインを務める「舟を編む」(石井裕也監督・4月13日)、有川浩さんのベストセラー小説が原作、岡田准一さんと榮倉奈々さんが出演する「図書館戦争」(佐藤信介監督・4月27日公開)、歌手で俳優の福山雅治さんが天才物理学者・湯川学を演じ、難事件を解決する人気作家・東野圭吾さんの「ガリレオ」シリーズの長編小説が原作で、5年ぶりにスクリーンに“ガリレオ”が復活する「真夏の方程式」(西谷弘監督・6月29日公開)など根強い人気を誇る人気小説が続々と実写化される。
また、アニメでは「コクリコ坂から」から2年ぶりとなるスタジオジブリの作品が2本同時公開される。1本は宮崎駿監督がゼロ戦の設計者の生涯について描いた「風立ちぬ」。もう一つは高畑勲監督が「竹取物語」を基にした「かぐや姫の物語」で、宮崎監督は「崖の上のポニョ」以来5年ぶり、高畑監督は99年の「ホーホケキョ となりの山田くん」以来14年ぶりの作品で、さらに宮崎、高畑両監督の作品が同時公開されるのは、「となりのトトロ」「火垂るの墓」の88年以来25年ぶりということもあり早くも期待がかかる。
洋画では年明け早々、ハリウッド俳優が続々来日。9日にトム・クルーズさんが主演映画「アウトロー」(クリストファー・マッカリー監督、2月1日公開)を引っ提げて1年ぶりに来日するのを皮切りに、1月下旬にブルース・ウィリスさんが映画「ダイ・ハード」シリーズの最新作「ダイ・ハード/ラスト・デイ」(ジョン・ムーア監督、2月14日公開)、ブラッドリー・クーパーさんが「世界にひとつのプレイブック」(デビッド・O・ラッセル監督、2月22日)PRのためジャパンプレミアに登場する。「世界にひとつのプレイブック」は、アカデミー賞の前哨戦として注目される第70回ゴールデン・グローブ賞で作品賞をはじめとした主要4部門にノミネートされており、クーパーさんは主演男優賞に初ノミネートされている。
ほかにも世界的アクションスターのジェット・リーさんが約14年ぶりにツイ・ハーク監督とタッグを組む3Dアクション・アドベンチャー映画「ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝」(1月11日公開)や、トロント国際映画祭2011やサンタバーバラ国際映画祭2011などで観客賞を受賞し、過去に行った693回の精子提供を通じて、ある日突然533人の子どもの父親だと告げられた男性の姿を笑いと涙を交えて描くカナダ発のハートフルドラマ「人生、ブラボー!」(ケン・スコット監督・1月26日公開)の公開が控える。夏には人気子役の芦田愛菜ちゃん(8)のハリウッドデビュー作となる映画「パシフィック・リム」(ギレルモ・デル・トロ監督)、秋にはヒュー・ジャックマンさん主演で、日本を舞台に描かれ、俳優の真田広之さんも出演するハリウッド映画「ウルヴァリン:SAMURAI」(ジェームズ・マンゴールド監督)など日本勢が活躍する作品が立て続けに公開される。
また、ヨーロッパ映画では、12年のカンヌ映画祭で最高賞パルム・ドールを獲得し、「白いリボン」に続き2作品連続での受賞となったミヒャエル・ハネケ監督の「愛、アムール」に注目。パリの高級アパルトマンで悠々自適の老後を送るジョルジュとアンヌの姿を通して、誰にも訪れる「老い」と「死」を丹念に描く。同作はヨーロッパ映画賞主要4部門を受賞したほか、ゴールデン・グローブ賞外国映画賞にノミネートされ、アカデミー賞外国語映画賞最有力候補として期待がかかっている。3月9日公開。また、厳しい現実に直面する若者を描き続けてきた英国のケン・ローチ監督の最新作で、12年のカンヌ映画祭で審査員を受賞したヒューマンコメディー「天使の分け前」も4月13日に公開される。(毎日新聞デジタル)
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