「悪人」「パレード」など、映画化が続く吉田修一さんの小説を、「南極料理人」(09年)や「キツツキと雨」(12年)の沖田修一監督が脚色し映像化した「横道世之介」が23日、公開された。共同脚本は、沖田監督と中学、高校の同級生で、劇団「五反田団」の主宰・前田司郎さん。主演は、沖田監督とは今作が4度目のタッグとなる高良健吾さんと相手役のヒロインを吉高由里子さんが務める。
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87年。大学進学のために長崎から上京してきた横道世之介(高良さん)は、入学式当日に友だちになったアイプチが印象的な阿久津唯(朝倉あきさん)と、そのアイプチを笑った失礼な倉持一平(池松壮亮さん)とサンバサークルに入部。また、たまたま声をかけた加藤(綾野剛さん)とは、一緒に自動車教習所に通い、そこで知り合った女の子とダブルデートをする。相手は、箱入り娘の与謝野祥子(吉高さん)。こうして世之介の大学生活が過ぎていく……という展開。
なんてことのない青春の1ページを丁寧に切り取っている。ずうずうしくも心優しく、お調子者でお人よし。こういうヤツがそばにいれば、結構面倒くさいけれど、でもいないと寂しい。そんな世之介役に高良さんが見事にはまった。その相手役、与謝野祥子のポーッとしつつも弾けたキャラは、吉高さんにぴったり。ほかにも、加藤役の綾野さん、初対面なのに無神経、はしゃぎ過ぎが玉にキズの倉持役の池松さんらが、これまで見せたことのない表情を見せ、いずれも好印象を残している。
この物語、いい意味で先が読めない。世之介がどうなるのか、このままのほほんと大学生活を送る彼を映し続けるのか? それとも、途中で何か大きな事件や挫折などを味わうのか? そんなことを思いながら見ていくと、世之介を取り巻く友人たちの16年後の“今”が、ぽつりぽつりと現れ、そして、世之介自身の“今”が徐々に浮かび上がってくる。切なくもいとしい……そんな気分にひたらせてくれる作品だ。なお、「マイ・バック・ページ」(11年)や「苦役列車」(12年)などを手掛けた安宅紀史さんの手による80年代の雰囲気を再現した美術にも注目だ。23日より新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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