惜しくも受賞は逃したが、このほど発表された「第85回米アカデミー賞」の主演男優賞に、デンゼル・ワシントンさんがノミネートされていた映画「フライト」が1日に全国で公開された。「フォレスト・ガンプ/一期一会」(94年)のロバート・ゼメキス監督がメガホンをとった。ゼメキス監督にとって今作は、「キャスト・アウェイ」以来12年ぶりの実写映画だ。「コーチ・カーター」(05年)や「リアル・スティール」(11年)などを手掛けたジョン・ゲイティンズさんが脚本を担当した。
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その日、ベテランパイロットのウィップ・ウィトカー(ワシントンさん)は、フロリダ州オーランド発アトランタ行きの旅客機を担当した。肉体は疲れており、天候も最悪。それでも、ベテランらしい機転と操縦テクニックで乱気流を切り抜けた。ところがその後、機体は急降下を始め、ウィトカーは決死の覚悟で草原への緊急着陸を試み、成功させる。その行為によって一躍ヒーローになったが、血中からアルコールが検出されたことで、一転、疑惑の目が向けられる……という展開。
あらすじを読み、09年にニューヨークで、USエアウェイズが不時着に成功した「ハドソン川の奇跡」を思い出した方もいるだろう。確かに似ているが、今作のアイデアが生まれたのは、それより10年も前。ゲイティンズさんが、ある作品のために、元海軍パイロットのテクニカルアドバイザーたちに取材をしたことが発端だという。
パニック映画、または一人の男が英雄なのか犯罪者なのかを解明していく法廷劇と思っていたから、ヒューマンドラマ的な展開に正直戸惑った。それでも、真相が明らかになるに従い、ウィトカーに対し、共感させたり反感を持たせたりするワシントンさんの演技は、やはりさすがと思わざるを得ない。1日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほか全国で公開中。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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