注目映画紹介:「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮」 王妃と侍医の禁断の恋と権力争いを描く

(C)2012 Zentropa Entertainments28 ApS,Zentropa International Sweden and Sirena Film Prague
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 デンマークを代表する俳優マッツ・ミケルセンさんの最新作「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮」(ニコライ・アーセル監督)が全国で公開中だ。史実を基に王妃と侍医の禁断の恋と権力争いを描き出している。歴史絵巻として目も楽しませながら、王や王妃の人間的な苦悩を丁寧に焼き付けていて深い感動が残る。ベルリン国際映画祭銀熊賞(脚本賞)を受賞した。

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 1766年。英国王太子の娘カロリーネ(アリシア・ビカンダーさん)は故郷を離れて、デンマーク王クリスチャン7世(ミケル・ボー・フォルスガードさん)に嫁いだ。カロリーネは無礼な夫を好きなれなかったが、息子を出産して義務を果たす。ドイツのデンマーク領で働いていた医師ストルーエンセ(マッツ・ミケルセンさん)は、外遊中に精神状態を悪化させた王の侍医として推薦され、ストルーエンセは王のよき理解者になりながら、王妃と恋に落ちる。やがて、啓蒙思想を信奉するストルーエンセは王の言動を操り、民衆のための政治改革に乗り出すのだが……という展開。

 「007/カジノ・ロワイヤル」(06年)で悪役を演じたミケルセンさんの大人の魅力たっぷりの一作。品のよさと憂いをたたえたまなざしに注目したい。ドイツ人侍医として王を孤独から救い、王妃とは啓蒙(けいもう)思想をきっかけに恋仲となる。しかしこの侍医、なかなかの野心家だった。王を背後で操り、次第に独裁的になっていくのだが、保守派もジワジワと追い詰めてきてスリリングな展開となる。王妃とのロマンスもたっぷりだが、不倫と欲望だけの映画にとどまらず、デンマークに啓蒙時代が到来する歴史(ちなみに背景はフランス革命よりも前の時代)と、政治変革の難しさも描き出し、作品に重みを与えている。映画初出演のフォルスガードさんのデンマーク王の演技も見どころ。「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」(09年)で脚本を担当したアーセルさんが監督した。27日からBunkamuraル・シネマ(東京都渋谷区)ほか全国で順次公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

 <プロフィル>

 キョーコ=出版社・新聞社勤務後、銀座・並木座通いの20代を思い出し、闘病をきっかけに趣味の映画を見まくろうと決心、フリーライターに。映画紹介やインタビューを中心に活動するライター業のほか、ときどき保育士の二足のわらじでとぼとぼ歩き中。

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