NHK連続テレビ小説(朝ドラ)「あまちゃん」が視聴率20%超えが続くなど好調だ。ヒロイン・アキを演じる19歳の若手女優・能年玲奈さんのフレッシュな魅力、朝ドラの王道を貫きながら細かいギャグをちりばめた宮藤官九郎さんの脚本が人気で、メディア文化論が専門の稲増龍夫・法政大学社会学部教授は「能年さんは平凡すぎるかと思ったら、いい味を出している。宮藤さんらしさが出た脚本が秀逸。本人がそう言ったというが、本当に“朝ドラっぽい”」と分析する。「あまちゃん」の好調の理由に迫った。(毎日新聞デジタル)
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「あまちゃん」は岩手・北三陸の架空の田舎町を舞台に、東京で生まれ育ち、内気で引きこもりがちだった高校2年生のアキ(能年さん)が海女を目指すことになり、やがて「地元アイドル」として注目され、町おこしのシンボルとして駆り出されるようになる姿を描いている。朝ドラの定番であるヒロインの成長を描きつつ、アイドルではない女の子がインターネットで話題となるという時事ネタを盛り込んでいる。
番組平均視聴率は、4月1日放送の初回が20.1%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)と朝ドラで7年ぶりに20%超の好スタートを切ると、4月17日の北三陸の町おこしとしてミスコンテストの開催を決めるストーリーの回では22.0%(同)となるなど好調に推移している。
劇中では、アキら海女が驚いたときにあげる「じぇじぇ!」という方言や甘いようでしょっぱいご当地グルメ・まめぶ汁など、舞台となる岩手・北三陸を面白おかしく取り上げている。また、なめ猫やアイドル時代の松田聖子さん、YMOなど80年代の流行も随所に登場。細かいネタやギャグがちりばめられているのは、宮藤さんの脚本ならではといえるだろう。稲増教授は、脚本について「ポップで明るい部分を残して、宮藤さんのクセのある屈折した部分をうまく隠し、いい意味で大衆受けを狙っている。エキセントリックなギャグも入れ込んでいるが、分かる人には笑えるギャグで、分からない人でもついていける(置いてけぼりにしない)」と説明する。
ヒロインを演じる能年さんのフレッシュさもドラマの魅力の一つといえるだろう。不器用だが壁にぶつかりながら成長していく……というキャラクターはさわやかだ。その素顔は、ヒロインに決定した際の記者会見で「すごくびっくりして、興奮で鼻息が荒くて、その息で空が飛べるんじゃないかってくらいうれしい」と独特の表現で喜ぶなど、アキと同様に少し“天然”でもある。稲増教授は、能年さんの魅力を「カルピスウォーターのCMに出ているが、歴代のキャラクターの長澤まさみさんらと同じく健康的なイメージ。(アキの同級生を演じる)橋本愛さんの美少女キャラとの対比も面白い」と語る。
若手の能年さんを支えているのは、アキの母役の小泉今日子さん、祖母役の宮本信子さんらの豪華キャストだ。稲増教授は「屈折しているキャラとして小池徹平さん、小泉さんらもいい味。今後も彼らの演技に注目したい。そこに渡辺えりさん、荒川良々さんら宮藤さんの小劇場人脈も加わって独特の雰囲気を出している」と配役の妙を絶賛する。
ストーリーが進行していくと、アキはアイドルを目指して東京に行き、アイドルグループ「GMT(地元)47」のメンバーとなる。東京編では、薬師丸ひろ子さん、松田龍平さん、古田新太さんらが演じる個性的なキャラクターが続々登場することが発表されており、今後の展開からも目が離せない。
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