マイケル・ジャクソンさんやミック・ジャガーさん、デビッド・ボウイさん、スティービー・ワンダーさんら、1960~90年代のビッグアーティストのコーラスを務めた歌姫たちのドキュメンタリー映画「「バックコーラスの歌姫(ディーバ)たち」(モーガン・ネビル監督)が全国で公開中だ。最初は全米で数スクリーンと小規模の公開だったが、口コミで評判が広がり、スクリーン数が拡大され、興収420万ドル(約4億3300万円)を突破した。誰もが一度は耳にしたことがある「Chrismas(Baby Please Come Home)」を歌うダーレン・ラブさんらの波乱に満ちた人生、そして音楽への喜びにあふれた珠玉作だ。
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バックコーラスの歌手たちは歌唱力と才能を持ちながら、それほど注目されることはない。彼女たちの多くは、子供のころから教会の聖歌隊で歌う喜びに目覚め、才能を開花させた。60年代に黒人コーラスグループ「ブロッサムズ」で活躍したダーレン・ラブさんは70歳を超えた。クラウディア・リニアさんはミック・ジャガーさんやデビッド・ボウイさんと浮名を流した過去を持つ。メリー・クレイトンさんはローリング・ストーンズの名曲「ギミー・シェルター」をレコーディングした思い出を語る。ジュディス・ヒルさんは、マイケル・ジャクソンさんのコンサート「ディス・イズ・イット」で共演するはずだった。マイケルさんの追悼式で「ヒール・ザ・ワールド」を歌って注目を浴び、ソロデビューを飾った。リサ・フィッシャーさんもソロデビューして成功を収めたシンガーの一人。しかし、一時は音楽業界を離れ、転職していた過去があった……。
顔ぶれが豪華。そしてライブ映像がふんだんに盛り込まれている。60~90年代の洋楽シーンが見えてきて、音楽が存分に楽しめる。本人たちへのインタビューだけでなく、ミック・ジャガーさんら大物……スポットが当たっている側のスターが続々と登場し、彼女たちの魅力を語り尽くす。ある者は、一度は去ったステージに再び上がる。ある者は、野心を抱いてソロとして活動の場を広げた。ある者は、ステージから去っていった。スターと彼女たちの信頼関係にも胸が熱くなる。光と影、成功と挫折……才能がある者が集まる場所にはこうしたドラマがつきものだが、この映画は、そんな単純な図式ではなく、コーラス歌手たちの多彩な人生を映し出している。情熱を持って自分の道を歩み、誇りを持って生きる姿に目頭が熱くなった。14日からBunkamuraル・シネマ(東京都渋谷区)ほか全国で公開中。(キョーコ/フリーライター)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに、単館映画館通いの20代を思い出して、映画を見まくろうと決心。映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。
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