アメトーーク!
ひとり暮らし長~い芸人
11月21日(木)放送分
インターネットやスマートフォンの普及により「テレビ離れ」が叫ばれて久しいが、ドラマ「半沢直樹」が大きな話題となるなど、まだまだ影響力を持つテレビ。業界の現状を、一流のテレビマンたちが語り合うイベント「実力派テレビマンに聞く 就職と仕事の話」が26日午後3時半から、早稲田大学大隈講堂で開かれる。イベントを前に、「ガチンコ!」(TBS)の合田隆信さん、「モヤモヤさまぁ~ず」(テレビ東京)の伊藤隆行さん、「ダウンタウンDX」(読売テレビ)の西田二郎さんの3人の名物プロデューサーが、「テレビのいま」についての本音を語り合ってもらった。第2回はレギュラー番組の作り方から、「あまちゃん」の宮藤官九郎さんと伊藤Pの意外な共通点が浮き彫りになった。
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伊藤 バラエティーのレギュラー感って損なわれているのが問題だと僕は思う。編成の人はよく考えた方がいいと思うんですけれど、どういう数字を作っていくか。視聴習慣をちゃんと考えていますか、と。うちの社内でも結構議論しています。スペシャル番組ばっかりでは、中毒性は確実に損なわれる。
西田 フルに与えられちゃいますモンね。おなかがいっぱいにならない程度で、また食べたい(と思わせないと)。
伊藤 「ガチンコ!」とか、「学校へ行こう!」とか、習慣性ありましたもんね。
合田 おれが編成時代に、4時間編成とか、一番でやり始めた。割とあの当時に、なくって「その方がとれる!」って、3時間はあったけれど、4時間はさすがにないだろうって言われてた。だからおれ、大枠大枠って……。おれの責任ですよ(笑い)。
伊藤 逆にテレ東は「スペシャルに付き合わないで、数字が取れなくてもレギュラーで行こうよ」ってアリだと思うんですよね。それで中身が薄くならなければ。
合田 確かにテレビ東京ってスペシャル編成あんまりしないじゃないですか。帯番組もあるし結構かっちり。意外と効果がある。確かに、ドラマはお祭りかもしれないけれど、バラエティーって本当は生活ですからね。だから、ワンクールくらいしか持たないですよね。
西田 バラエティーは生活のリズムに入ってくるから。お風呂から上がってパッとテレビを付けたときに、とか、ご飯を食べるときにとか。熊本のローカル番組があるんですが、おばけみたいな16%とかになっている。なにをやった?って聞いたら、「火曜日は何時から何、何時から何って、コーナーを全部時間通りにきっちりやってる、それを守り続けている」って話だった。例えば、ラーメンのコーナーが面白かったから、延長とかない。15分って決めたらそれでびしっと、だいたい4時に見たら、グルメのやつとか決まっていて、それに視聴習慣が付いてきて、ただただ数字がどんどん上がってきただけですって。
合田 鶏が先か卵が先かという話です。ドラマやスポーツってイベント感が強いじゃないですか。ニュースも常にイベントですよね。どうしてもイベント感という意味では、バラエティーは徐々に後退している。お笑いの賞レースとか、ネタ番組は、イベントだと思うんですよ。徐々にイベント感の強いものしか見られなくなってきた。ラテ欄上で、イベント感を人工的に作るためにはスペシャルにするしかなかった。「今日はイベントデーなんですよ。だから見てください」って、基本的に大枠にしたら目立つから。2時間はもう目立たない、3時間、4時間なら、何かあると思ってくれる。初期のころ、「長くないですか? 間延びしませんか?」って言われて、作り手としては最悪だけれど、「大丈夫、少々間延びしてもいい、イベント感だから」って。これが、バラエティーのコンテンツ自体の弱体化の一つになってしまった。
伊藤 1時間でどうやって見てほしいか考えるじゃないですか。ワンクールで13本くらいあって、そのうちの半分くらいスペシャル。なら、スペシャルでいいじゃないとなっちゃう。癖というか、エンドのコーナーで必ずこれをやろうとか。ここはレギュレーション持っておこうとか、きっとそういうところを面白がりながら作ってるので、それがなくなってくると。1時間が小っちゃくなっているので、大事にしようと言うんですが、作っている人は困ってるんじゃないかな。「モヤさま」も数字が上がって、ゴールデンに来て、1時間番組になりましたけれど、本来30分でいいんですよ。で、1時間って言われたときにみんな戸惑って。さまぁ~ずさんも「そんなに見たくねえよ」って。なんとか、慣れもあって今こういう形になってる。1時間がちょうどいいっていう番組はあるんですよ。
合田 結局スペシャルって何をやるかっていうと、そのときに取れそうなものを、ごった煮みたいに突っ込んでいる。料理のスタイルなんて何もない。そうじゃなくてコース料理みたいにちゃんと作ってる人もいるんだ。そうしないと、制作力はどんどん低下しますよね。バラエティーにも番組のフォーマットがある。「クイズ番組」とかじゃなくて、制作者側の作りに対する計画書みたいなもののことなんだけど、「めちゃイケ」には「めちゃイケ」のフォーマットが実はある。「モヤさま」だって、伊藤さんの作り手としてのフォーマットはちゃんとある。そういう本当の意味でのフォーマットが崩壊しつつある番組をよく見かける。でも、視聴率を取らないと飯が食えないんで、スペシャルはやめられない。
ーー局が変わった? 見る側が変わった?
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合田 視聴習慣の問題もあるけれど、単純に全体的な視聴率が低下してるのは間違いないですよね。10年間で8%くらい下がっていますよね。それって結構大変な数字なので、今までは13%くらいないと成立しないものだったのが、急に10%くらいでもいいってなってきたときに、当然昔8%とかだったのが6%とか5%になる。昔からやってる人は「4とか5とか、まずいだろ」ってみんな慌てて、この状態になっている。テレビ業界全体が慌てないでちゃんとやるという考え方になるか、新打法で何とかヒットを稼ぐ方法に走るかっていう考え方の違いはある。家に帰って素振りをちゃんとやろうという人は少ない。何とかごまかして、塁に出ないとって考える。すぐにできなくてもいいから、何もなしで数字だけを目指す番組を考えるのは、ちょっと一回やめないと。
ーーレギュラー番組を作るフォーマットが大事だと。
合田 僕はレギュラー番組を作るの苦手で、単発が多かった。編成時代に作った「リンカーン」もあまりレギュラー番組感がないじゃないですか。あれは「史上空前!! 笑いの祭典 ザ・ドリームマッチ」から来てるんです。「キングオブコント」はまさにイベントで、「イロモネア」とかも単発だった。ああいうのが好きだから。レギュラー化するのに3年かかった。伊藤さんみたいにフォーマットを持って、レギュラーになる番組を作れるのはすごい能力だと思う。
伊藤 合田さんがレギュラーが苦手なんてことはないでしょう。「ガチンコ!」も、あんなに怒ってる番組を2時間も3時間も見たくないじゃないですか。あれは1時間。「料理の鉄人」も、最後に勝負が付く。やっぱスペシャルだと長いと思うんですよ。適正な時間でやった方がいい。絶対企画にとってはいいに決まっているんですよ。
合田 これからの作り手は、すぐにそうはならないと思うけれど。今の伊藤さんの話をよく聞いた方がいい。編成の都合もあって、そうはならないかもしれないけれどそう思ってろ、という感じ。作り手の心構えとして、形としてキレイにちゃんと意志のこもったものを1時間作れるか。
ーー長く続く番組というのは、その部分がちゃんとできている?
合田 長く続くっていうのは、フォーマットもきっちりしているし、作り手も飽きていない。ただ適当にやって続くモンじゃない。僕は自分の番組は短命に終わったものが多いので。目に見えないものがずっと続いている。雨が降ったり風も吹いたりってあるじゃないですか。体調悪いときもあるし、人間と一緒。健康なときに、天気のいいときの状態に戻れるように、調子の悪いときにちゃんと手を打っていかないと。僕はあわてんぼうだから変な薬を飲んだりしちゃう(笑い)。でもできる人は、ちゃんと健康を回復する方法も知っているし。西田さんはどうなの。
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西田 そうですね。自分がほんまにええコンディションだなと思うときは、誰の話も聞かないでガンガン行きますけれど、調子の悪いときはどんどん泳がせて、こいつきとるなって調子のいいやつに乗っかって、しばらく見て、完璧に乗っかっといて、しばらくぼーっとして、風邪が治ってきたと思ったら、バーンと(笑い)。気がついたら2年くらいぼーっとしてたこともあったりしますね。
合田 伊藤さんは元々ガンガンバンバンってタイプじゃないからね。最初から半病人みたいな感じだから、それが面白い。いつも元気でやっているわけじゃないという番組。
伊藤 圧がないですね。そうですね。一番頑張ったのが「やりすぎコージー」です。
西田 ガンガン行くのもいいけれど、引く感じがいいですよね。
合田 「ハレバレとんねるず(略してテレとん)」を見て、かなり驚きました。人間って力みますから、とんねるずが30年ぶりにテレ東に出演するって、プレッシャーもあると思う。なのに、オープニングがだらだらだらだら……いつまでテレ東訪問してんねん、って感じで。さまぁ~ずとのセッションとかもだらだらだら、30年ぶりにとんねるずが来てるのに、ですよ。結局「モヤさま」との変なタイアップもやって、ようマイペースでいられるなあ。スゴイと思った。あの度胸。おれだったら、イベントだイベントだ。祭りだ!ってなる。大慌てになるのに、全然ならない。今のテレビマンはああなるべきだ。クドカン(宮藤官九郎さん)の朝ドラと伊藤さんの番組を見ていると、よういつもこんなマイペースでできるなって、NHKの朝ドラですよ。毎回20%取らないといけない、絶対に。もし失敗したら脚本家として酷評されるのに、何なのあの話。あまのお姉ちゃんがアイドル目指すって。そういう度胸ですよね。これから入ってくる人は度胸のある人が入ってほしい。
※イベント「実力派テレビマンに聞く 就職と仕事の話」が26日午後3時半から、早稲田大学大隈講堂で。3人のほか、「水曜どうでしょう」(北海道テレビ)の藤村忠寿エグゼクティブディレクター、「トリビアの泉」(フジテレビ)の宮道治朗バラエティ制作部長、「方言彼女。」(テレビ埼玉)の遠藤圭介プロデューサーが参加し、テレビについて語り合う。参加無料だが、申し込みが必要。特設サイト(http://www.ipg.co.jp/waseda/)で。
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2024年11月23日 06:00時点
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