タレントの中川翔子さんが初主演を務めた「ヌイグルマーZ」(井口昇監督)が25日に公開された。今作は、大槻ケンヂさん原作の小説「縫製人間ヌイグルマー」の世界観を基に、「電人ザボーガー」(2011年)の井口監督が脚本を執筆した。中川さん演じるロリータファッションの少女・鮎川夢子が、ピンクのテディベア「ブースケ」と“合体”して「ヌイグルマー」となり、愛する人や人類を守るため闘う姿を描く。中川さんがロリータファッション姿でヌンチャクアクションを披露するほか、アクション女優の武田梨奈さんが変身後のヌイグルマーを熱演。ヌイグルマーのデザインを「新世紀エヴァンゲリオン」などの鶴巻和哉さんとコヤマシゲトさんが担当したことも話題だ。
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地球へ飛来した綿状生命体の最強戦士ドゥーマアは、鮎川冬子(平岩紙さん)が娘・響子の誕生日プレゼントに作っていたテディベアに寄生。響子から“自分を必要する力”を感じ、ブースケ(声・阿部サダヲさん)として響子を守ることを誓う。ある日、ロリータファッションに身を包んだ冬子の妹・夢子(中川さん)が現れ、居候を始めるが、何をやってもダメなため“ダメ子”と呼ばれ響子から嫌われる。落ち込む夢子にブースケはともに響子を守るよう命じる。一方、もう一人の戦士・黒いテディベアのデパルザ(声・山寺宏一さん)は、人間世界を呪う男・タケシ(猫ひろしさん)と合体し人類の滅亡計画を進行。響子に魔の手が迫ったとき、夢子とブースケが合体しヌイグルマーに変身……という展開。
登場人物たちの誰もがどこかしらダメな部分、コンプレックスを抱えて闘っている姿が印象的だ。夢子は特撮ヒーローに憧れながらも女の子であるためにヒーローになれないこと、タケシは背が低いことをバカにされたことをきっかけに悪に染まっていくなど、あらがえない弱さに苦悩する姿を悲劇的に描きつつ、強い気持ちを持って前を向けば、いつかきっと……といったポジティブなメッセージ性が感じられる。中川さんだけでなく、武田さんのキレのあるアクションは見事で美しく、ブースケのコミカルな動きが憎たらしくも愛らしい。ゾンビにギャグをはじめ多彩すぎる要素が詰まった、どこか“B級感”を感じさせるもスカッとする作品だ。中川さんが歌う主題歌「ヌイグルマーZ」やバンド「特撮」による挿入歌が、各シーンに見事にはまっており、物語を盛り上げる。新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開中。(遠藤政樹/フリーライター)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。
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