中島歩:「花子とアン」 蓮さまと駆け落ちする話題の美青年の素顔

NHK提供
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 女優の吉高由里子さんが主演するNHKの連続テレビ小説「花子とアン」に、主人公・はなの親友で仲間由紀恵さん演じる伯爵家の令嬢・蓮子と恋に落ちる美青年・宮本龍一役で注目を集めている中島歩さん。「人の心を揺さぶるような役者でありたい」と語る真剣なまなざしが印象的な話題の新人俳優の素顔に迫った。

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 ドラマは、「赤毛のアン」などを翻訳した主人公・村岡花子(安東はな)の明治・大正・昭和にわたる波瀾(はらん)万丈の半生を、「Doctor−X」(テレビ朝日系)などを手がけた中園ミホさんの脚本で描く。原案は、花子さんの孫・村岡恵理さんの著書「アンのゆりかご」。吉高さんが演じるはなの生涯が描かれる本筋の一方で、はなの親友・蓮子の激動の人生にも注目が集まっている。

 ◇美輪明宏から見いだされた逸材

 中島さんは1988年10月生まれの25歳。2013年に今作でナレーションを担当している美輪明宏さんが主演・演出を務める舞台「黒蜥蜴(とかげ)」で、約200人の中からオーディションで選ばれ俳優デビューを飾った。今回の「花子とアン」で連続ドラマ初出演。

 今回も何度かのオーディションをへて龍一の役を勝ち取ったという中島さんは「どうしても朝ドラに出たかった」と特別な思いを明かす。その理由を「朝ドラは撮影期間が長い。同じ役をやってその役が成長していく経験はなかなかないと思うし、視聴者も毎日ドラマを見てくれる。僕自身が何か成長できるのではないかと思った」という。

 美輪さんからは、出演に際して「(舞台の)けいこの経験が生かされていますか?」と言葉を掛けられたという。「ドキドキしながら『一生懸命やってます』と答えました。(美輪さんから)『人は裏切るけれど、仕事は裏切らないから一生懸命やりなさい』と言われました」と振り返る。中島さんが舞台を通して美輪さんから教わったことは「芝居への取り組み方」といい、「美輪さんはどんどん(俳優の)お尻に火を付けていく。役を降ろされそうになったりして、このままではやばいと思って頑張って練習する。昨年の舞台の経験は大きいと思う」と話す通り、そのときの経験が今回の演技の糧になっている。

 ◇蓮子との駆け落ちシーンに自信「2人の思いがあふれれば…」

 中島さんが演じる龍一は、福岡の石炭王と政略結婚した蓮子が、愛のない結婚生活に苦しんでいるときに出会う。社会主義運動と関わりを持つ龍一にとって、華族出身の蓮子は憎むべき相手だったが、2人は次第に引かれ合う。

 中島さんが台本を読んで感じた龍一の印象は「強い言葉をしっかりぶつける人間」。演じる際も「まっすぐに思いを相手にぶつける」ことを意識したという。蓮子については「短歌を詠むことでしか見せない弱さとその状況に耐え忍んでいる強さ。そこに龍一は引かれたのではないでしょうか」と推測する。

 蓮子のモデルとなった大正から昭和にかけて活躍した歌人の柳原白蓮は、龍一のモデルでもある年下の青年・宮崎龍介と駆け落ちして、新聞紙上で夫に絶縁状を突きつけるといういわゆる「白蓮事件」(1921年)を起こす。「花子とアン」でも龍一と蓮子が駆け落ちし、龍一が蓮子の夫の石炭王・嘉納伝助と直接対決をするという山場の一つが第16週(14~19日放送)と第17週(21~26日)にかけて描かれる。

 中島さんは「(駆け落ちのシーンは)互いの思いが臨界点に達した状態の2人が駆け出す。思いがあふれているところを見てほしい。映像も演出も気合が入っている。画面から2人の思いがあふれればいいなと思う」と仕上がりに自信を見せる。吉田鋼太郎さん演じる伝助との対決シーンについても「吉田さんが豪速球を投げてくるので、バットが折れちゃっているかもしれないけれど、頑張って振り抜いた。お互いの気持ちがぶつかり合って見応えのあるシーンになっていると思います」と力を込める。

 ◇「人の心を揺さぶる役者」が目標

 大学時代に「自分の体を使った表現が合うと分かった」ことから俳優の道を志したという中島さん。目標となる俳優について「誰とは言えないけれど、切実に見ている人の心を揺さぶるような役者でありたいと思う」と語る。「美輪さんに教わったことですけれども、自分は本当にへたくそなので、そのときどき、その役を本気でやっていくしかない。手を抜かずに、いつまでも本気で取り組むことを目標にしています」と真剣なまなざしで語った。「花子とアン」は、NHK総合で毎週月~土曜午前8時ほかで放送中。全156回

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