山本裕典:市原隼人に憧れ髪形をまねた高校時代 ドラマ「ハング」で刑事役熱演

dビデオのドラマ「ハング」に出演した山本裕典さん
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dビデオのドラマ「ハング」に出演した山本裕典さん

 「ストロベリーナイト」「ジウ」シリーズで知られる誉田哲也さんの警察小説を基に、俳優の市原隼人さん主演でドラマ化した「ハング」が、スマートフォン向け動画配信サービス「dビデオpowered by BeeTV(dビデオ)」で配信中だ。今作は、“ドラマで秋を楽しむ”をテーマに社会の闇と戦う男たちを描いたdビデオ制作のオリジナルドラマ第1弾で、「ROOKIES」「JIN 仁」など人気ドラマを数多く手掛けている平川雄一朗さんが監督を務めた。ある事件をきっかけに、次々と発生する不可解な殺人事件や組織権力の陰謀など、見えない敵に翻弄(ほんろう)されながらも巨大な闇に立ち向かう刑事たちの姿を描く。斉藤直哉刑事役を務めた山本裕典さんに、今作の見どころや役作りの苦労、学生時代にファンだったという市原さんについて話を聞いた。

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 ◇市原隼人と平川雄一朗監督との再会に喜ぶも緊張

 原作のあまりにハードな内容に映像化は難しいといわれていた作品に出演が決まった時のことを、山本さんは「映像化したらすごく楽しそうで、特に僕らみたいな男はアクションもあるし、描写的にもいいなと思った」と振り返る。自身が演じる斉藤刑事を「どっちかというと後輩キャラ」と評し、「そんなにえぐいシーンに出くわしたわけでもなく、どちらかというと(事件の)説明のような作業が多かったので、僕は世界にどっぷりつかっている実感はなかった」と心境を明かす。ただ「こういうハードな作品に携われたということは光栄」と喜ぶ。

 主役の警視庁捜査1課の津原英太刑事役の市原さんと、メガホンをとった平川監督とは「ROOKIES」以来、顔を合わせた。「もともと僕は市原隼人君のことが好きでこの世界に入った」という山本さん。「中学校や高校の時にファンで市原君が出ている作品は全部見ていた」といい、「髪形もまねして(2003年に市原さんが出演したドラマ)『ヤンキー母校へ帰る』の時のようなツイストパーマを掛けて学校へ行ったら、めっちゃ先生に怒られた」と笑う。05年に開催された「愛・地球博」の会場では市原さんの髪形をまねしていたため、「違う学校の女の子から本人に間違われて囲まれたこともありました(笑い)」というほどだ。

 市原さんとの久しぶりの共演について、「『ROOKIES』では僕が上から偉そうなことばかり言っていたけど、今回は“ザ・後輩”(笑い)」といい、「ある意味、自分とリンクしている感じがあって、やっていて面白かった」とうれしそうな笑顔を見せる。再共演の喜びは2人の共演シーンからも伝わってくるほどで、「楽しそうなのは多分、半分はリアルなんじゃないですかね」と自身も認める。一方、平川監督との再会には「あの時は右も左も分からない状況で、勢いだけで大役をやらせてもらった」と当時のことを振り返り感謝し、「一俳優として成長というか、大人になった姿を見せられたらという気持ちもあった」と明かす。

 ◇魅力的な登場人物が数多く登場

 今作には金子ノブアキさん、浅利陽介さん、時任三郎さんら豪華な面々が出演。「時任さんと2人で芝居をさせてもらうなど大先輩の方々と同じ時間、同じシーンを共有できたことはすごく糧になった」と力説する山本さんだが、「凶器を捜索するシーンで、暑すぎて金子さんのシャツが色が変わっちゃってる」と撮影中の金子さんの様子に思わず笑ってしまったという。「真夏まっただ中(での撮影)だったので、とにかくみんな汗だくだった」のが原因だが、山本さんは他の出演者と比べて外ロケは少なく、「みんな暑い中、大変なのに、僕はずっと冷房が効いている部屋にいた気がして……」と申し訳なさそうに振り返った。

 撮影中は「警察署でずっとモニターに向かって説明して、パソコンをいじってる」シーンが多く、「いざアクションがあると思ったら、吹っ飛ばされて終わりましたからね」と笑う。そして「みんなめっちゃカッコいいシーンあってうらやましい!」と苦笑交じりに話し、特に市原さんと金子さんが並んで歩くシーンが印象に残っているといい、「あれは横で一緒に歩きたかった(笑い)。ちょっと悔しいです」と俳優として悔しがる。

 他の役の中では「カッコいいなと思うのは時任さんの役(堀田次郎役)で、面白かったのは浅利君(演じる大河内守役)」といい、「(大河内は)ガソリンスタンドでいきなり水をぶっかけられる(笑い)。あのキャラは面白い」とツボにはまった様子。続けて、「人間生活の中では誰もが主人公じゃないですか。やっぱり津原みたいな主人公にも憧れる」と主人公に共感し、「僕の後輩キャラは僕自身、一番嫌ですね(笑い)。特にプライベートでこのキャラやポジションは嫌」とちゃめっ気たっぷりに語る。

 ◇ドラマにはまったのは高校生の頃

 幼い頃は「あんまりエンタメに興味がなかった」と山本さんは告白し、「(1994年のドラマ)『アリよさらば』は、父親が(主演の)矢沢永吉さんが大好きなので一緒に見ていた。あとは『ひとつ屋根の下』(パート1が93年、パート2が97年)とか、父や母が見ていたのを一緒に見ていた感じ」とのこと。「(第1期の)『HERO』とかも高校生ぐらいの時に夕方の再放送で見たりして、はまるのが遅かった」と打ち明け、「だから(今、俳優をやっているのが)変な感じですね」とほほ笑む。

 そんな山本さんは、役作りでは「クールな役、今回みたいな後輩キャラ、チャラい役、真面目な役など、自分の中の引き出しみたいなものが何個かある中で、そこをまず自分で開く」という作業からスタート。その上で「周りの人たちやバランス、監督の反応をうかがいながら、どのテンションでいけばいいかを決める」と熱く語る。やってみたい役は「選べる立場ではないし、プロデューサーさんらが『この役を山本裕典に』と言ってくれるなど、本当に巡り合わせで、新しい役ができたらなとは思う」と謙遜する。「今は同じ引き出しでもいいので、自分の経験値を上げていきたい」とまだ発展途上ということを強調した。。

 ◇ジェットコースターみたいな作品

 dビデオはスマホ向けの動画配信サービスだが、登録すればタブレットやパソコン、テレビなどの大画面でも楽しめる。スマホの画面を指さし山本さんは「本当にここだけ(スマホ)の枠で収まってほしくない」と言い、「見る画面が小さいからといっても、(画面上で見て)豆粒でもいいから引くところは引いて世界観を表現したいと監督もおっしゃっていた」と明かす。そして「そういうところもクオリティーにちゃんと出ていると思う」と自信をのぞかせる。「まずスマホで見てもらって、気に入ったらクロームキャスト(オンラインコンテンツをテレビ画面に映すことができるメディアストリーミング端末)などを使った見方もやってもらえればと思う」と視聴者に勧め、「小さいから分からなかったかもしれないけど、もしかしたらどこかで僕が目をつぶって寝ているかも……それはないですけどね」と一人でボケ、ツッコミを入れるなどユーモアを交えて説明する。

 今作について「全4話で次に次にどんどん興味や気持ちが引っ張られていく作品」と評し、「話の展開が普通のドラマや刑事ものとはちょっとテイストが違うので、新たなジャンル、カテゴリーのものだと思う」と表現。そして、「刑事ものは大体キャストの名前を見れば犯人が分かることもあるじゃないですか」と笑いを誘いながらも、「最後の最後まで津原がどうなっていくか本当に楽しみ。主役だから最後まで生きているとは限らないし、主役が途中で死んで回想で出てくるのかもしれない。本当に何が起きるか分からない」と強調し、「ジェットコースターみたいな作品なので、そこは楽しんでもらえるのでは」とメッセージを送った。ドラマはdビデオで配信中で、ドコモ以外のユーザーも視聴可能。全4話。

 <プロフィル>

 やまもと・ゆうすけ 1988年1月19日生まれ、愛知県出身。2005年に開催された第18回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストで準グランプリとフォトジェニック賞を受賞。06年に「仮面ライダーカブト」で俳優デビューして以来、舞台、ドラマ、映画など数々の作品に出演。主な出演作にドラマは「桜蘭高校ホスト部」「GTO」、映画は「ROOKIES−卒業−」「貞子3D」などがある。

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