織田裕二:池井戸作品起用に「企業戦士みたいな役待ってました」

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 俳優の織田裕二さんが主演を務めるWOWOWの「連続ドラマW 株価暴落」が19日、スタートする。「半沢直樹」(TBS系)や「花咲舞が黙ってない」(日本テレビ系)などヒットドラマの原作で知られる池井戸潤さんの同名小説をドラマ化するもので、爆破テロの標的にされた経営再建中の巨大スーパーの一風堂を巡り、警察とメガバンク・白水銀行の銀行員たちの思惑がぶつかり合うという内容が展開される。WOWOWドラマ初出演で、一風堂への融資に関する調査を行う白水銀行審査部の板東洋史を演じる織田さんに、意気込みや作品の魅力について聞いた。

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 −−オファーが来たときは、どんな心境だったのですか。

 「企業戦士みたいな役を待ってました」って感じでしたね。僕が演じる板東や高嶋政伸さんが演じる二戸哲也みたいな(嫌みばかり言うエリートの)キャラクターは、街に出れば普通にいらっしゃるタイプだと思うんです。一般社会は、髪形を似たような感じにして個性をなるべく出さないようにするものだと思います。でも、内面的にはそれぞれの個性がバチバチあるものですよね。

 −−正義感が強く、組織の論理に染まらず、自らの信念に従うという板東はどう演じたのでしょうか。

 これまで僕が演じた男たちは正義感が強いというイメージがあるかもしれません。しかし、この板東はとにかく「我慢」の男なんですよね。当たり前なのですが、表情で怒っているとか加えてあげないといけないんですよね。「我慢」を口では表現ができず「目で語る」しかないので、1シーン演じ終えた後の疲れ方がすごいんです。(一風堂に融資を賛成する)二戸は、(融資を承諾しない)板東に対して嫌みをたくさん言ってくるので、それに対して板東がどういうリアクションをするのかによって、おもしろいと感じてもらったり、ストーリーを伝えないといけませんからね。

 −−この作品に携わる上で、どのような点に気を使ったのでしょうか。

 (台本を読んだときに)板東のセリフが(視聴者の)耳にちゃんと届くのか不安を感じました。ですが、板東の言葉は一貫しています。何度も、同じことを言っているうちに理解してもらえるんじゃないかと思いましたし、演技でなるべく分かりやすくセリフを話そうと心掛けました。セリフの中でも、重要なセリフ、空気感や雰囲気を伝えるだけのセリフ、流してもよいセリフなど、さまざまだと思います。そういう意味で言うと、板東は(専門的な用語も多く)重要なセリフが多いと思います。そういうセリフが苦手な方には、まったく見てもらえないかもしれません。でもそこは割り切って考えないと、作品自体が中途半端なものに仕上がる可能性があると思いました。ある種、「この作品を見たい」って思う、映画を作るような感覚で、取り組ませていただきました。

 −−撮影現場の雰囲気も教えてください。

 石橋凌さんや、竜雷太さんといった大人率が高いせいか、(撮影に)無駄がなく早いですね。とくに竜さんの芝居に対しての姿勢はすごかったですね。大先輩なのに「もう1回やらせてください」って志願していました。セリフ量の多さ、モチベーションの高さ。自分も竜さんのような役者でいたいと、改めて教わりました。

 −−同局が池井戸さんの作品をドラマ化させるのは「空飛ぶタイヤ」「下町ロケット」に続き、3作目となり、そのすべては鈴木浩介監督が務めていますね。

 鈴木監督が「セリフとセリフの“間”を大切にしてくださって構いません」とおっしゃってくださったんです。普段なら、この“間”を与えてもらえることは少ないと思います。この“間”で「考えたり」「言葉をのむ」などの演技を一つ加えられたりできるので、すごくおもしろい監督に出会えた気がします。これまで、経験や“間”を取らないことに慣れてきた感覚がして、芝居を始めた頃のような気持ちにさせていただきました。(撮影をする上で)頑張り方の新しい扉を開けた気がします。これまで僕が演じてきた役は、プレーヤーのような役ばかりでした。中間管理職というか、監督ではなくコーチのようなポジションというのでしょうか、こういう仕事に就いている方たちの苦労が少しだけですが理解できました。

 −−鈴木監督が築いてきた制作チームはいかがでしたか。

 僕も過去の2作品を見させていただきました。(初めて見たときに)「こんな素晴らしい作品があったんだ」と思い知らされました。最低限の照明で高いクオリティーを作り出すなどのテクニックや、セリフの細かさ、暑い日の撮影ではケータリングの食事などにも、夏バテしないように対策をしっかりと取ってくれます。とても素晴らしいチームなので、ぜひ、またやらせていただきたいです。今回は我慢の男だったので、次回は、違う役でまた呼んでもらいたいです。

 「連続ドラマW 株価暴落」は、19日からWOWOWプライムで毎週日曜午後10時放送。全5話で、初回は無料放送。

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