女優の宮沢りえさんが7年ぶりに主演を務めた映画「紙の月」(吉田大八監督)が15日に公開される。直木賞作家の角田光代さんのベストセラー小説が原作で、「桐島、部活やめるってよ」(2012年)の吉田監督が映画化した。宮沢さんが“堕ちていくヒロイン”を軽やかに演じている。
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1994年、銀行で契約社員として働く梨花(宮沢さん)は夫(田辺誠一さん)と平凡ながらも穏やかな日々を送っていた。以前、顧客の家を訪れた際に会った大学生の光太(池松壮亮さん)と町で再会した梨花は何かに導かれるように光太と逢瀬(おうせ)を重ねるようになる。ある日、外回りの帰りに立ち寄った百貨店で顧客からの預かり金のうちの1万円に手を付けたことから、金銭感覚は次第にまひしていき、横領がエスカレートしていく……というストーリー。
映画版は原作とは異なり、銀行を舞台の中心に据えることで梨花をはじめ人物同士の思惑が浮き彫りになる。梨花が書類を書き換えて横領を重ねていく様子がリアルかつスリリングに描かれ、ヒヤヒヤせずにはいられない。元AKB48の大島優子さんが演じる梨花の同僚・相川はその言動が梨花の内面に秘められた欲望をじわじわと引き出していく。大島さんの無邪気さの中にも“邪気”を感じさせる演技がハマり役。そして、梨花の横領に感づき、外側からじわじわと梨花を追い詰めていく事務員の隅(小林聡美さん)が最後に梨花と対決するシーンは静けさの中に鬼気迫るものがあり、スクリーンに引き込まれてしまった。
逃げ切ったその先に梨花が最後に見たものはなんだったのか……。宮沢さん演じる梨花は“堕ちていくヒロイン”ながらもどこか軽やかだ。「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ」が歌う主題歌「Femme Fatale(ファム・ファタール=運命の女性の意)」は心地よいけだるさが漂い、見たあとは爽快感に包まれた。15日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほか全国で公開。(堀池沙知子/毎日新聞デジタル)
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