フランスを代表する女優イザベル・ユペールさんが、3人の男性とのアバンチュールに胸をときめかす主婦を演じた「間奏曲はパリで」(マルク・フィトゥシ監督)が4日から公開される。倦怠(けんたい)期夫婦のすれ違いが、軽妙なタッチでつづられていく。夫役は「ル・アーヴルの靴みがき」(11年)などのフランスの名優ジャンピエール・ダルッサンさん。
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ノルマンディー地方で畜産業を営むグザヴィエ(ダルッサンさん)とブリジット(ユペールさん)は倦怠期の夫婦。夫は真面目だが、遊び心がない。息子は家業を継がず、サーカス学校に入学。ブリジットは息子を応援するが、グザヴィエは面白くない。ブリジットは毎日同じ作業の繰り返しと夫の態度に嫌気がさしていた。ある日、めいがパリから友人たちを連れて隣家にやって来る。魅力的な青年スタン(ピオ・マルマイさん)に誘われて、ドレスアップしてパーティーに参加したブリジットは、久々に心を躍らせる。ブリジットは、パリに帰ったスタンを追うようにして、持病の湿疹を治すという名目でパリに行くのだが……という展開。
妻の浮気をドロドロに描くのかと思いきや、そんな予想ははずれた。まず、ユペールさんがこれまでのイメージとは異なる明るい普通の主婦(といってもかなりおしゃれ主婦だが)を演じている。このブリジットがとても可愛らしい。ウンザリした毎日から逃れて、単身パリにやってくるところから一転。スクリーンはウキウキ気分一色になる。バトー・ムーシュでセーヌ川をクルーズ。たまたま出会ったおじさんと、コンコルド広場の大観覧車に乗ったりして、すっかりパリ観光気分。毛皮の帽子もキュートで、軽い足取りで歩く彼女の姿を追いながら、一緒に小さな冒険を楽しむ気分にさせられる。このまま進むのかと思ったら、後半からは夫グザヴィエの内面が立体的に描かれ、夫婦の見え方が変わってくる。無骨な夫が妻を見守る優しさにホロリとさせられる。ダルッサンさんの芝居のうまさにはうならされる。牛しかいない風景と「モウ~」という鳴き声が夫婦の危機を乾いた笑いに包み込み、また夫婦にはルーティン作業となっている牛の分娩(ぶんべん)が、見る側に新鮮な驚きをもたらすのも面白い。角川シネマ有楽町(東京都千代田区)ほかで4日から公開。(キョーコ/フリーライター)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。今作の公開記念グッズ、なかなか豪華で驚きましたよ。
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