1983年に実際に起きた、オランダの大手ビール会社の経営者の誘拐事件をモチーフに描いた「ハイネケン誘拐の代償」(ダニエル・アルフレッドソン監督)が13日から公開される。エミー賞受賞の犯罪ジャーナリスト、ピーター・R・デ・ブリーズさんのベストセラーを基に映画化。オスカー俳優のアンソニー・ホプキンスさんの怪演と若手俳優との共演が見ものだ。
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1983年のアムステルダムが舞台。会社が破産し、銀行から融資を断られたコル(ジム・スタージェスさん)は、妻ソーニャ(ジェマイマ・ウェストさん)との間に子どもが生まれる予定で、人生に行き詰まり、幼なじみの仲間たちとともに、世界的ビール会社であるハイネケンの経営者フレディ・ハイネケン(ホプキンスさん)の誘拐を企てる。銀行強盗をして資金を調達し、お抱え運転手とともにハイネケンをアジトに拉致。思惑通り、プロの犯罪組織の仕業に見せ掛けることに成功した。だが、落ち着きはらったハイネケンの態度に翻弄(ほんろう)され、追い詰められていく……という展開。
この映画はシンプルだ。犯罪映画によくある人質の家族や警察の動きなどの背景を取り払って、若い犯人グループの絆が崩壊していくさまに焦点を当てている。人質になった大富豪・ハイネケンの落ち着きはらった態度と、警察の静観の構えにおろおろし、主導権を握れなくなっていくリーダーのコルの焦りと、存在感抜群のホプキンスさん演じるハイネケンとの対比が面白い。若造VS大物といった様相だ。世界的経営者であるハイネケンは、監禁され、たとえ鎖につながれても、ひるむことはなく堂々としている。「ハムサンドではなく棒々鶏(バンバンジー)を」と食事にも口を出し、本の差し入れも要求する。一方、別段凶悪犯でもなく、家族思いの普通の人間であるコルたちは、自分たちが犯した罪の大きさにのみ込まれていく。思わずハイネケンにぐちるコルに、ハイネケンが深い一言を言い放つ。実際にはいまだ金の行方は知れず、謎の多い事件のようだが、犯人たちが大切なものを失ったことには違いない。犯人グループの一員役には、「鑑定士と顔のない依頼人」(2013年)のスタージェスさんのほか、「アバター」(09年)で主演したサム・ワーシントンさん、期待の新人トーマス・コックレルさんなどが演じている。新宿バルト9(東京都新宿区)ほかで13日から公開。(キョーコ/フリーライター)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。最近、NHKスペシャル「生命大躍進」が楽しみ。
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