注目映画紹介:「さよならドビュッシー」 ミステリーの謎解きというより音楽映画

「さよならドビュッシー」の一場面 (C)2013さよならドビュッシー製作委員会
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「さよならドビュッシー」の一場面 (C)2013さよならドビュッシー製作委員会

 最近は映画に引っ張りだこの橋本愛さんの主演作「さよならドビュッシー」(利重剛監督)が26日、公開された。橋本さんが火事で重傷を負ったが復活し、ピアニストへの夢を追い続けるヒロインを体当たりで演じている。「のだめカンタービレ」で音楽指導や吹き替えをしたピアニストの清塚信也さんが演奏だけでなく、ピアノ教師役で出演。原作は「このミステリーがすごい!」大賞作である中山七里さんの小説で利重監督が10年ぶりにメガホンをとった。

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 香月遥(橋本さん)はワイン輸入会社を経営する裕福な祖父(ミッキー・カーチスさん)と両親のもと、大豪邸に暮らしている。7歳のとき、両親が行方不明になった同い年のいとこ片桐ルシアと暮らすことになった。2人はともにピアノを習い、仲よく育つ。10年後、遥とルシア(相楽樹さん)は同じ音楽高校に通っていた。ある夜、2人は火事に巻き込まれる。奇跡的に助かった遥は、ルシアと約束したドビュッシーの「月の光」を弾くために、新しく教師になった岬洋介(清塚さん)とともに、厳しいリハビリに耐えながらレッスンを続けていた。しかし祖父の莫大(ばくだい)な遺産が家族らに分配され、遥の身の回りで不審な出来事が起き始める……という展開。

 歯をくいしばるヒロイン。ありえない速さで効果が表れるリハビリ。結末は最初から想像がつくのだけど、その過程が妙に気になる。なんだか大映のドラマを思い出した。ミステリーの謎解きを追うというよりは、音楽映画という色が濃く、優しい質感の映像に、ドビュッシーの音楽が響き渡り、上品に仕上がっている。久しぶりのメガホンとなった利重監督は、まるで音楽が主役のように存分に音楽を使っているが、うるさくは感じさせず、適度で洗練されている。子どものころと現在がワンフレームに入るシーンがファンタジックで美しい。橋本さんのきらめき、清塚さんの演奏は絶品! 26日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

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