女優の大島優子さんがAKB48卒業後に初めて主演を務める映画「ロマンス」(タナダユキ監督)が29日に公開される。今作は、特急ロマンスカーで車内販売を行う主人公が、映画プロデューサーを名乗る怪しい男と出会ったことをきっかけに、箱根珍道中に巻き込まれていく姿を描いている。「百万円と苦虫女」(2008年)以来7年ぶりのオリジナル作となるタナダ監督が脚本も担当。映画プロデューサーを俳優の大倉孝二さんが怪演し、大島さん演じるヒロインとの軽妙な掛け合いで楽しませてくれる。
ウナギノボリ
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新宿と箱根間を往復する小田急の特急ロマンスカーのアテンダントとして働く北條鉢子(大島さん)に、ある日、何年も会っていない母親の頼子(西牟田恵さん)から手紙が届く。手紙を制服のポケットに入れ業務に臨んだ鉢子は、映画プロデューサーを名乗る乗客の中年男・桜庭(大倉さん)に、ひょんなことから手紙を読まれてしまう。怒る鉢子だったが、桜庭に背中を押され、箱根の街で母を捜すことになり……というストーリー。
仕事の成績が常にトップの女性と、うさんくさい中年男の2人によるロードームービーは、とっぴな組み合わせで現実味に欠けるシチュエーションだが、補ってあまりある登場人物たちの温かみや切なさに満ちている。鉢子は大島さんが演じることを想定して書かれているだけあって、一生懸命さや器用さ、年齢相応の女性らしさがイメージとぴったりだ。大倉さんも個性を存分に発揮して“業界人らしさ”を演じ、鉢子とのちぐはぐな会話を、テンポのよく楽しませてくれる。クライマックスに向けて人生のやるせなさや迷いなども感じさせるが、ユーモラスかつ軽やかに描かれている分、重くはならず、気持ちが少し晴れやかになる。箱根の美しさも物語の演出に一役買い、出会いと別れ、人の優しさを描いた物語を彩っている。映画を見ていたら、どこか旅に行きたくなった。新宿武蔵野館(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。
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