注目映画紹介:「世界で一番いとしい君へ」ドンウォン主演 子どもっぽいがいちずな父親の愛が温かい

映画「世界で一番いとしい君へ」のワンシーン(C)2014 ZIP CINEMA All Rights Reserved.
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映画「世界で一番いとしい君へ」のワンシーン(C)2014 ZIP CINEMA All Rights Reserved.

 「超能力者」(2010年)や「群盗」(13年)などから一転、カン・ドンウォンさんが初の父親役を演じた「世界で一番いとしい君へ」(イ・ジェヨン監督)が、29日から公開される。若くして親となった夫婦と先天性早老症の息子との絆を描いたヒューマン作だ。妻役は「グランド・マスター」(13年)などのソン・ヘギョさん。80歳の少年を作り上げたハリウッドの特殊メークにも注目。

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 テコンドー選手を目指していたデス(ドンウォンさん)とアイドルを夢見ていたミラ(ヘギョさん)は17歳で親になり家を出た。今は、16歳になる息子アルム(チョ・ソンモクさん)と3人で仲よく暮らしている。アルムは先天性早老症のため体は80歳を超えていたが、聡明で明るい子どもに育ち、両親の青春時代の物語をこっそりと執筆中だ。デスとミラはがむしゃらに働いていたが、治療費が追いつかない。寄付金を募るテレビのドキュメンタリー番組の出演がきっかけとなり、アルムのところへ一通のメールが舞い込む……という展開。

 難病の子ども、闘病、家族愛。よくある符号が並ぶのだが、母親ではなく父親の奮闘が描かれている映画はめずらしい。父と息子を軸に、妻が支えている3人家族の悲劇が、重過ぎることなく、終始温かさと笑いを入れながら展開されていく。父親の息子へのいちずな愛は、無邪気で子どもっぽいこの父親だからこそ、温かく感じられる。一方の息子アルムは、死を意識しながら生きているがゆえに老成している。アルムの友人といえば、隣に住んでいるおじさんだけで、でも、2人は無二の親友。悪いことだと分かっているアルムの願いをこっそりとかなえてあげるのもおじさんだ。ドラマの名脇役ペク・イルソプさんが味わい深く演じ、心をわしづかみにされる。主治医役には、「群盗」でドンウォンさんと敵対同士だったイ・ソンミンさん。

 原作は1980年代生まれのキム・エランさんの演劇にもなった小説「どきどき僕の人生」で、「スキャンダル」(03年)などのイ・ジェヨン監督が映画化した。アルムを演じたソンモクさんは、撮影当時13歳。毎回5時間の特殊メークを施したのは、「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」などで米アカデミー賞メークアップ賞に3度の受賞歴を誇る特殊メークの最高峰グレッグ・キャノンさん。さらに、部分3Dを用いて容貌を作り上げたという。シネマート新宿(東京都新宿区)ほかで29日から公開。(キョーコ/フリーライター)

 <プロフィル>

 キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。街猫を題材にした「先生と迷い猫」(10月公開作)を応援中。
 

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