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ひとり暮らし長~い芸人
11月21日(木)放送分
NHKの連続テレビ小説「とと姉ちゃん」に出演中の「電気グルーヴ」のピエール瀧さんと「在日ファンク」の浜野謙太さん、NHK大河ドラマ「真田丸」に星野源さん、日曜劇場「99.9ー刑事専門弁護士-」(TBS系)に「レキシ」の池田貴史さん、NHK BSプレミアムの「奇跡の人」の主演に「銀杏BOYZ」の峯田和伸さんと、放送中のドラマには個性派ミュージシャンたちが続々出演している。彼らの魅力とは? 関係者の話から探った。
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まず筆頭はピエール瀧さん。「とと姉ちゃん」のヒロイン常子(高畑充希さん)一家が身を寄せる仕出し屋「森田屋」主人、宗吉役で、存在感ある演技を見せている。瀧さんは「おひさま」(2011年)や「あまちゃん」(13年)に続き3度目の朝ドラ出演で、「龍馬伝」(10年)、「軍師官兵衛」(14年)と大河ドラマでも重要な役どころを演じ、昨年は土曜ドラマ「64(ロクヨン)」に主演。13年には映画「凶悪」で元暴力団組長の死刑囚、須藤純次を演じ、第37回日本アカデミー賞の優秀助演男優賞、第68回毎日映画コンクール男優助演賞を受賞するなど輝かしい実績を持ち、6月25日公開の映画「日本で一番悪い奴ら」に出演するなど大活躍だ。
「とと姉ちゃん」で宗吉の母で大女将のまつを演じる秋野暢子さんは瀧さんの大ファンといい、「困りますよね。ミュージシャンで成立している人が、俳優のところきて。同年代の俳優にとっては迷惑な話ですよ」とジョーク交じりに絶賛。「お芝居が巧みですよね。やくざをやれば本当にやくざに見える。『こういう人、いる!』みたいな」と評価する。
瀧さん自身は「『とと姉ちゃん』だったら、常子が主役なので、その周りを固める配置のうちの一つ。そこを(ちゃんとする)って思ったりはしますけど。逆に言えば、そこさえやればあとはいいんでしょう、くらいな部分しかない。僕のある意味ドライ、配置としてポジションとして演じればいい」と演技について語る。
同じく「とと姉ちゃん」で森田屋の板前長谷川役を演じる浜野さんは、ファンクバンド「在日ファンク」ではボーカル兼リーダーを務め、05年映画「ハチミツとクローバー」で俳優デビュー。数々のドラマや映画に出演し、今期は「ディアスポリス 異邦警察」(MBS・TBS系)で松田翔太さん演じる主人公の相棒役を演じ、7月スタートの月9ドラマ「好きな人がいること」の出演も決まっている。共演する瀧さんは「ハマケンにはハマケンというキャラクターがある。ちょっと可愛らしいおっさんというか。コロボックルみたいな感じというか。あの感じに、役をはめていく感じでよね。化けるというか、ハマケンが持っているキャラクターがないとできないのはすごいと思う」と評し、秋野さんも「チャーミングな人ですよ。上手にいじられてくれる」と語る。
浜野さんとは高校の同級生でインストルメンタルバンド「SAKEROCK」のメンバーでもある星野さんは、俳優としては松尾スズキさんの事務所「大人計画」の所属俳優として若くから数々の作品に出演。10年の朝ドラ「ゲゲゲの女房」でヒロインの弟役を演じ、13年の映画「箱入り息子の恋」に主演、第37回日本アカデミー賞新人俳優賞、第68回毎日映画コンクール・スポニチグランプリ新人賞などを受賞、NHKのコント番組「LIFE!〜人生に捧げるコント〜」では、内村光良さんらとコミカルな演技を見せている。大河ドラマ「真田丸」では、脚本の三谷幸喜さんの“直々の指名”で徳川秀忠役に選ばれ、制作統括の屋敷陽太郎チーフプロデューサー(CP)は「偉大な父をもった2代目の苦悩は、このドラマのテーマの一つです。秀忠の悲哀、そして家康とは異なる“怖さ”も醸し出せる人間的な深みを持っているのは、星野源さんをおいて他にいないと考えました」と星野さんの起用理由を話している。
池田さんは、「99.9-刑事専門弁護士-」で、松本潤さん演じる主人公が居候する小料理屋の店長役で出演。日本史を題材とした楽曲を歌うソロユニット「レキシ」をはじめ、キーボード奏者、ソングライター、プロデューサーとしてマルチに活躍してきた。昨年、映画「海街diary」(是枝裕和監督)で銀幕デビューを飾り、今回TBSの佐野亜裕美プロデューサーが“三顧の礼”で口説き落としたという。池田さんは「ハマケンも源ちゃんも演技をする前から知り合いで、演技をしているところを初めて見た時もすごいなって思いましたし、実際に自分もやってみて、難しさを知って、改めてすごいなって感じて。尊敬しかないですね、本当に」としみじみ語るが、トレードマークのアフロヘアーで存在感抜群の演技を見せる。
峯田さんは、パンクロックバンド「銀杏BOYZ」のボーカルとして、過激なパフォーマンスで注目を集めたが、俳優としては、みうらじゅんさん原作、田口トモロヲ監督、宮藤官九郎さん脚本の映画「アイデン&ティティ」に主演。「色即ぜねれいしょん」(09年)、「ピース オブ ケイク」(15年)に出演、花沢健吾さんのマンガが原作の映画「ボーイズ・オン・ザ・ラン」(10年)でも主演している。今回の「奇跡の人」で連続ドラマ初主演となるが、朝ドラ「ちゅらさん」「おひさま」の脚本を担当した岡田惠和さんが「役者として仕事をしたかった」とほれ込んでいる。
相次ぐミュージシャンの俳優業進出について池田さんは「注目されるという意味で音楽業界にとっても、とてもいいことだと思う」と肯定的だ。「僕の周りにも『演技うまそうだな、やってみればいいのに』って思えるようなミュージシャンって結構いて、実際ハマケンや源ちゃんはどんどん有名になっていっている。モノを作る喜び、その衝動という部分は音楽と変わらない。好きなことを一生懸命やる、どんな時も妥協を許さないという姿勢の部分で、刺激を受けた。何が糧になるか分からないなってことをつくづく実感したので、『やりたい』って気持ちがあるならどんどんと挑戦していってほしいですね」と語っていた。
音楽で人々を魅了するミュージシャンが、演技でも輝きを見せる……。表現者としての姿勢は、脚本家や演出家の心もとらえるのだろう。ミュージシャンの俳優進出はますます広がっていくだろう。
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