女優の有村架純さんが7日、主演映画「夏美のホタル」(廣木隆一監督、11日公開)のPRのため名古屋市内で取材に応じた。20歳で“女優としての覚悟”を決め、その気持ちは「年々増している」という有村さんに同作や、女優業について聞いた。
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映画は、森沢明夫さんの小説(角川文庫)が原作。有村さん演じる写真家志望の夏美が、夢と恋人との関係に悩み、父親の形見のバイクに乗って思い出の森へ向かう物語。夏美は小さな商店を営む親子と出会って、人と人との絆にふれ、成長していく。
撮影は千葉県の大多喜町で約2週間にわたって行われた。青い空、木漏れ日、清らかな川の流れ……。美しい風景の中、撮影は進み、有村さんは可愛らしい浴衣姿も披露している。
有村さんは「親から子へ、子から親へという人とのつながりや、愛情の深さを感じられる作品。(この作品が)心が安まるような場所になれば」と映画をアピールする。
恋人役の工藤阿須加さんのほか、共演者の小林薫さん、光石研さん、吉行和子さんらとのロケは「すごく楽しかったです」とにっこり。「夏美と一緒に夏を過ごしたような感覚。現場にもひたすら優しい時間が流れていたので、仕事をしているのに仕事じゃないような……。本当にリラックスしていました」とひとときの癒やしを得たようだ。
夏美は「さばさばしていて、男っぽくて、何に対しても堂々としている。自分の中に物おじしない強さがあって、強さの中にある繊細さを表現するのが難しかった」という。撮影前には「夏美が大事にしたいものはなんだろう」と考え、答えが出なかったが「クランクインしたときに(自分の中から)自然に出た夏美を信じて、最後まで貫きました。今までに演じたことのない役柄。自分の中でも新鮮な役柄でした」と手応えを感じている。
また写真家としての将来に悩む夏美は、小林さん演じる仏師の雲月から「才能は覚悟だから」と厳しい言葉を投げかけられる。有村さんは「すごく印象に残っているせりふ。自分自身にも言われているような感覚にもなりました。本当にその通りだなと思います」と実感を込めて振り返る。
自身は2010年に女優デビューし、20歳の頃、2013年のNHK連続テレビ小説「あまちゃん」に出演してブレーク。ちょうど“女優としての覚悟”を決めたころだったという。
「そのときまでは、仕事の巡り方も今とは違っていたし、自分の芝居への考え方もつかみきれないものがありました。自分の『変わりたい』という気持ちが、『あまちゃん』という作品に“乗って”くれた」
その後は数々の映画やドラマに出演。15年に公開された映画「ビリギャル」(土井裕泰監督)では、ブルーリボン賞主演女優賞などを受賞し、今年は月9ドラマ「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」(フジテレビ系)で主演したほか、「夏美のホタル」を含め、4本の映画に出演。
この大活躍の現状に「『変わりたい』と思っていた時期に出会えた作品(あまちゃん)で、みなさんにその思いが伝わったおかげ。自分が作品に100%の気持ちで向かえば、作品の力になれる可能性があると思ったので、一つ一つの作品に対して、本当に思いが変わってきました。いろんな役柄でお仕事をいただいているのもありがたいことですし、自分はすごく運がいいと思う。もっともっと自分の幅を広げて、作品を残していきたいですね」と意欲は尽きない。
「これまでやってきた真っすぐで一生懸命な等身大の自分とは、違うタイプの役柄もやっていかなきゃいけないし、そういう自分も見てみたいと思います」と目を輝かせていた。
<プロフィル>
ありむら・かすみ。1993年2月13日生まれ。兵庫県出身。2010年に女優デビュー。今年は「夏美のホタル」のほか、「僕だけがいない街」(平川雄一郎監督)、「アイアムアヒーロー」(佐藤信介監督)、「何者」(三浦大輔監督)が公開。廣木監督作品は15年の「ストロボ・エッジ」に続き、2作目となる。
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