名探偵コナン
R162「風の女神・萩原千速(前編)(デジタルリマスター)」
2月7日(土)放送分
超硬派のゲーム雑誌「ゲーム批評」の元編集長で、現在はゲーム開発と産業を支援するNPO法人「国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)」代表の小野憲史さんが、ゲーム業界の現在を語る「小野憲史のゲーム時評」。今回は、話題の「ポケモンGO」について語ります。
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久々にゲーム発の社会現象となった「ポケモンGO」。最大の功績は、これまでゲームから離れていた「ポケモン世代」の大人たちを、再び世界規模でゲームの世界に誘ったことだ。8月10日には岩手と宮城、福島、熊本の4県で、ゲームの開発・運営を手がける米ナイアンティック日本法人と提携し、被災地支援に活用されるというニュースも流れた。スマートフォンというプラットフォームを得て、ポケモンは新たな次元に突入したと言えるだろう。
一方で歩きスマホの問題をはじめ、「ポケモンGO」を巡るバッシングも激しい。これがスペースインベーダーやファミコン登場時のバッシングと異なるのは、子供のころにゲームに親しんだ「ゲーム世代」が反対派に含まれていることだ。これにはゲームが技術の進化によって常に形を変えていく娯楽だという点が背景にある。子供のころに慣れ親しんだゲームと、今のゲームは異なる。だから「理解できない」「怖い」といった感情が、どうしようもなくわき起こってくるのだ。
実際、「CESA一般生活者調査報告書」によると、ユーザーの興味深い行動が浮かび上がってくる。小学生の頃には100%近くがゲームに触れているが、中学生になるとゲーム離れがはじまる(特に女子はこの傾向が顕著だ)。その後、結婚して子供を持つと、子供を通してゲームに再接触するのだ。仮に12歳でゲームを「卒業」し、30歳で結婚、子供を授かった場合、この人物がゲームに再接触するのは30代後半になる。つまり15~20年近くのブランクが発生するわけだ。
20年前に初代ポケモンが発売されたとき、全世界でスマートフォンが普及し、基本プレー無料でゲームが楽しめるようになるとは、誰も想像できなかった。今から20年後についても同様で、今とはまったく異なるゲームや、ビジネスモデルが一般化していると考えられる。特にゲームは最新技術がいち早くビジネスに転用される、技術のショーケースという性質がある。VR(仮想体験)ゲームの高まりを見れば、それは明らかだろう。
ポイントは技術革新が社会にどのような影響を与え、受容されていったかについて、多くの人々が無関心すぎることだ。これがゲームを巡る社会的批判のベースにあると考えられる。実際のところ「ポケモンGO」をはじめとした、今のゲームについて是非を議論しても、あまり意味がない。むしろ20年先のゲームを見据えて議論することだ。そのためには歴史に学ぶことが早道となる。「遊びの技術社会史」といった研究の進展や、一般に対する啓発活動が必要ではないだろうか。
おの・けんじ 1971年生まれ。山口県出身。「ゲーム批評」編集長をへて2000年からフリーのゲームジャーナリスト。08年に結婚し、妻と猫3匹を支える主夫に“ジョブチェンジ”した。11年から国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)代表に就任、12年に特定非営利活動(NPO)法人の認定を受け、本格的な活動に乗り出している。
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