神木隆之介:主演映画「3月のライオン」への思い 自身の“大切なもの”も赤裸々に

映画「3月のライオン」で主演を務める神木隆之介さん
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映画「3月のライオン」で主演を務める神木隆之介さん

 神木隆之介さんが主演を務める映画「3月のライオン」の前編が18日から公開されている。17歳のプロ棋士・桐山零が大切なもののために戦う姿や周りの温かい人たちとの交流などを描いた作品で、神木さんは主人公の零を演じている。神木さんに作品への思いや、自身にとっての“大切なもの”などを聞いた。

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 ◇対局シーンは「箸でご飯を食べるぐらいの無意識さ」がノルマ

 映画は、羽海野(うみの)チカさんの人気マンガを実写化した作品で、前後編の2部作。ある日同じ下町に住む川本家の3姉妹と出会った零が、数々の対局と温かな人々との交流を通じて、棋士として、人として、ある覚悟を決めていく姿が描かれている。神木さんのほか、気性の激しい幸田香子を有村架純さん、川本3姉妹の長女・あかりを倉科カナさん、次女・ひなたを清原果耶さん、三女・モモを新津ちせちゃん、零のライバルの二海堂晴信を染谷将太さんが演じている。佐々木蔵之介さん、伊藤英明さん、加瀬亮さん、豊川悦司さん、高橋一生さんらも出演している。

 もともと原作も将棋も好きだったという神木さん。それだけに、オファーは「すごくうれしかった」と喜ぶ。だが、2部構成の大作の主演。プレッシャーも大きく、「おこがましいけど中心に立てるのかって……。主役として、ちゃんと芝居もできて、立ち居振る舞いもできて、という技量はあるかなって、プレッシャーは感じていました」と当時の不安を明かす。それでも、「自分がやりたいお芝居もやれましたし、監督にも自由にやらせてもらっていたので。楽しんで、一つ一つやらせていただきました」と充実した表情で、「スタイルも何も変わることなく。変わろうとも思っていないし、いつもどおり、ひたひたとやっています」と笑う。

 演じているのは17歳のプロ棋士。幼いころから駒を触ることが当たり前だった棋士を演じるためには、相応の準備が不可欠だった。神木さんは「プロ棋士の方というのは、小さなころから駒を持っているわけですよね。だから、僕らが箸を持ってご飯を食べるぐらいの無意識さがないといけない。そこがノルマだったので、大変でした」と振り返る。それでも、自身も将棋好きの一人。プロ棋士からのレッスンも受けた神木さんは「好きだったので、楽しくレッスンできたかなと思います」と笑顔を見せる。

 零は、一見物静かだが、心の中に荒々しい獣をすまわせているようなキャラクター。神木さんは「最初はおとなしい人間かなと思ったけど、おとなしくなくて。ライオンが心の中にすんでいるような人間」と捉え、「でも一見静かに見えるということは、どこかしら静かに見えるようにしないといけない。じゃあそこはどこかというと、孤独が端々に見えるから。そこが僕の中で物静かなイメージになっているんじゃないかなって思いました」と説明する。

 ただ、あえて自身の中に桐山零というキャラクターは作らなかった。「日常を描いているので、リアルな人間をやりたくて。それぞれの人間関係は、親密度や距離感、言い方も全部変わる。それが人間だなと思った。僕も、友達でも家族の付き合い方でも、距離感はみんな違う。それって統一しちゃいけないなって思った」と語る。

 ◇「居場所を守るため」に戦う

 主人公と神木さんに共通するのは、「負けず嫌い」ということだ。神木さんは零について「ライオンが心の中にすんでいる」と語っていたが、自分にもその自覚はある。「負けず嫌いなんですよ、かなりの。家族(や親戚)で集まったときも、いとことかとゲームやるときも絶対負けたくないですからね」と笑い、「舞台あいさつとかも超緊張しますし、本番でも緊張することはいっぱいあるけど、その緊張には絶対に負けたくないって思うし、それはたぶんいい方向に出ているとは思います」と語る。

 同作では、主人公が大切な存在のために戦う姿が描かれているが、神木さんにとって、大切な存在とは何か。神木さんは「僕はお芝居しかやったことなくて。バイトもやったことないから、居場所がここしかないから、頑張っていくしかない。大卒じゃないから、どうせ就職もうまく決まらないでしょうし(笑い)」と冗談を交えて語る。「すごくふわふわした世界だから。明日、誰の需要がなくなるかも分からない世界なので。今は芝居が好きだから、なんとかできたらな、と……。自分の居場所を守るために戦っているのかもしれないですね」と、零のように穏やかな中にほのかに燃える闘志のぞかせた。

 映画「3月のライオン」前編は18日から公開中。後編は4月22日公開。

 <プロフィル>

 かみき・りゅうのすけ。1993年5月生まれ。映画は「お父さんのバックドロップ」(2004年)、「妖怪大戦争」(05年)、「桐島、部活やめるってよ」(12年)、「るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編」(14年)、「バクマン。」(15年)、「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ 」(16年)など多数出演。昨年公開された劇場版アニメ「君の名は。」では主人公の瀧の声を担当した。

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