テレビ質問状:WOWOWオリジナルドキュメンタリー「ノンフィクションW SACRED~いのちへの讃歌」 世界中の人々の“聖なる営み”をつむぐ

「ノンフィクションW SACRED~いのちへの讃歌」のビジュアル
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「ノンフィクションW SACRED~いのちへの讃歌」のビジュアル

 WOWOWは「WOWOWオリジナルドキュメンタリー」枠として、「ノンフィクションW」と「国際共同制作プロジェクト」の2番組を両輪に、国内外のさまざまなテーマを扱ったオリジナルのドキュメンタリー番組を放送している。3月26日午後8時半からWOWOWプライムで放送される「ノンフィクションW SACRED~いのちへの讃歌」の番組プロデューサーを務めるWOWOW制作部の内野敦史エグゼクティブプロデューサーに、番組の魅力を聞いた。

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 --番組の概要と魅力は?

 WOWOWならではの、国際共同制作プロジェクトによるオリジナルドキュメンタリーだからこそお届けできる壮大なスケール感とパワフルな映像美の世界です。世界各地40ものカメラクルーと組み、世界中の人々の“聖なる営み”をつむいだ人生の一大映像叙情詩として重厚な作品に仕上げました。“人は、なぜ祈るのか?”という普遍的なテーマに挑んだ意欲作です! 監督はアカデミー賞やエミー賞、ピーボディ賞などの受賞経験を持つ、社会派ドキュメンタリーの巨匠トーマス・レノン氏で、彼のチャレンジングな構成・演出は見る者をくぎ付けにすること必至です!

 --今回のテーマを取り上げたきっかけと理由は?

 国際社会の急速なグローバル化が進む中、近年世界中で起きているさまざまな紛争や人種差別には“信仰”や“宗教”がその背景にあることが、より浮き彫りになっているのではないか? そんな思いから、WOWOWならどんなことが世の中に伝えられるだろうか……と考えていました。ちょうどそのころにニューヨークのプロデューサーが提案してきたのが、この企画でした。もう4年前のことです。当初は、世界のお祭りや神事、儀式などを1年のカレンダーに合わせて並べていこう、といったかなり抽象的なイメージでした。しかし何回も会議を重ね、トーマス・レノン氏がこの企画の監督として合流してからは“信仰”や“宗教”というテーマに正面から向き合い、世界中の人々の息遣いや対話を最大限に生かし、それを“一人の人間の生から死、そして生へ……”というサイクルを意識した“オーガニックな”構成で進めよう、ということになったのです。

 --制作中、一番に心がけたことは?

 今作は昨年秋の東京国際映画祭でワールドプレミア上映作品として出品され、その後世界最大規模のドキュメンタリー映画祭であるアムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭で上映されました。制作期間から注力したのは、“ドキュメンタリー映画”として出発した作品を、いかに“ドキュメンタリー番組”として視聴者の方々に見ていただくか、というところです。構成・演出については経験豊富な監督の実力を信じて進めてもらう一方で、私はWOWOWでの放送に向けて、この番組を“いかに多角的に事前展開するか”ということを考えました。

 そこで協力していただいたのが映画監督で作家の森達也さんです。彼は90年代にオウム真理教を通して“信仰”というテーマに正面から取り組んだ監督として広く知られています。私は森さんと何度かお会いし本企画の趣旨に賛同していただいたことで、東京国際映画祭に来日したトーマス・レノン氏との貴重な対談を実現させることができました。この一部始終は動画配信コンテンツとして展開していますので、こちらも作品と併せて見ていただくことで、より深くこの番組を楽しめることになっています。

 --番組を作る上でうれしかったこと、逆に大変だったエピソードは?

 とにかく一番大変だったのは40もの“違う文化や言語”を持つ制作チームをまとめ上げるレノン監督だったと思いますが、WOWOW制作チームから見ますと、日本の撮影取材対象について、ニューヨークのオフィスから一歩も外へ出ずに演出作業する監督に正確に内容を理解してもらい、その仕上げの過程においても編集や翻訳の解釈にズレが生じないか、こうしたやりとりが大変だったことは事実です。

 例えば“結果的に”本編の中で重要な位置を占めることになった日本の映像として比叡山で行われている千日回峰行が登場するのですが、そもそも独自取材の交渉すること自体も大変でしたし(私自身も行者さんの修行と同じ道を3日歩きました)、深夜から明け方に行われる修行のため監督が望むカメラワークを実現させるのにも大変苦労しました。さらに、編集で使用されるインタビューの内容も解釈によっては歪曲(わいきょく)した伝わり方になってしまう……時差のあるチームで制作するのは想像をはるかに超えた労力のかかる作業でした。

 --番組の見どころを教えてください。

 難しい質問ですね。本編の尺は85分50秒なのですが、40ものチームがしのぎを削り撮影した渾身(こんしん)の映像をつむいだ作品ですので、全カット全シーンが見どころです!と答えたいところです。が、少しネタバレしますと、映像は先述しました千日回峰行に始まり、その後、ムスリムの赤ちゃん誕生時の風習やパキスタンの孤児院で将来を悩む少年やヒンドゥーのお祭りで恋の成就を願う少女などが登場します。さらには各国の成人や結婚の儀式と続いた後、エボラ熱に家族全員を奪われたシエラレオネの青年や老年期に死を意識し聖地巡礼に向かうエチオピアの老人へ、と続きます……。だいぶネタバレしましたね(笑い)。あとは見てのお楽しみです!

 --視聴者へ一言お願いします。

 “人は、なぜ祈るのか?”という問いに“こんな答えを見つけました”という解説や説明をするたぐいの作品ではありません。“見て、感じて、考える”というドキュメンタリー映画として心を込めて作り上げました。ぜひ、お部屋の電気を暗くして、その圧倒的な映像美を“大音量で”堪能していただきたいですね!

 WOWOW 制作部 エグゼクティブプロデューサー 内野敦史

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