海に眠るダイヤモンド
最終話後編(10話)記憶は眠る
12月22日(日)放送分
残すところあと8回となった柴咲コウさん主演のNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」。菅田将暉さん演じる井伊直政(虎松/万千代)が本格的に登場した第39回「虎松の野望」(1日放送)を境目に、がむしゃらに立身出世を目指す少年の物語へと色合いが変化し、視聴者からも好評を得ている。以前にNHKが語っていた通り、少年マンガっぽさがグンと増した終盤の「おんな城主 直虎」で、“もう一人の主人公”としてひときわ存在感を放つ菅田さんの魅力とは? 制作統括の岡本幸江チーフプロデューサー(CP)に話を聞いた。
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「おんな城主 直虎」は56作目の大河ドラマで、森下佳子さん脚本のオリジナル作品。幕末の大老・井伊直弼の先祖で、徳川家康の重臣・井伊直政の養母に当たる主人公・直虎が、男の名で家督を継ぎ、仲間と力を合わせて国を治め、世継ぎの命を守りながら生き延びていく姿を描いている。
菅田さんは現在、戦場における勇猛果敢さから「井伊の赤鬼」と称され、その功績からのちに「徳川四天王」の1人に数えられることになる直政の15歳の姿を熱演している。「万千代」という名を与えられ、家康に仕えながら井伊家再興に向かって突き進んでいるところで、岡本CPは菅田さん演じる若き日の直政に「もう一度、物語を青春期に戻すエネルギーをドラマに持ち込むことを期待した」と明かす。
思うように事が運ばず、気に食わないところがあれば、誰彼かまわず怒りの形相で「殺す!」を連発する一方、周囲の邪魔が入れば入るほど「日本一の草履番」や「日本一の留守居」を真っすぐに目指してしまう、反骨心むき出しの愛すべき直情キャラの直政。少年らしい若々しさや無邪気さに加え、自らの野望をその都度「宣言」してしまうあたり(「海賊王にオレはなる!」的な)も大きな魅力だ。
岡本CPも「主人公の直虎が大きな痛手と共に知恵を付け、根太さや粘り強さを持った、ややもすると慎重な大人になりがちな中で、物語を前に進めるパワーというか、素直に視聴者が『頑張れ!』と応援、共感したくなるキャラの立った人物が欲しかった」と認める。
第40回「天正の草履番」(8日放送)では、投げた草履が相手の足元でキレイにそろうという秘技を披露。天才的な主人公が起こすちょっとしたミラクルと捉えれば、これも少年マンガ的な演出で、当時の礼儀作法を考えれば絶対に「なし」なものを「あり」にしてしまうのも、菅田さん演じる直政のキャラに負うところが大きい。また、直政の“若さ故の過ち”をたしなめる、直虎との直接的/間接的な対峙(たいじ)、主の家康との“クスりとさせる”やりとりも、ここまで見どころとなっている。
岡本CPは菅田さんについて「とにかく状況がよく見えている」といい、「頭で考えて作り込むでもなく、何も考えず感覚だけでやるでもなく、それでいて対人関係がとてもよく見えている。台本上の役としての対人関係もそうですし、実際にお芝居をする役者さんとの対人関係もそう。一言でまとめると『若いのにうまい』ってことなんでしょうけど、そのうまさの中には安心感と同時に撮ってみないと分からないという意外性もある」と語る。
さらに「第38回から第50回にかけて、菅田さんには直政の15歳から22歳までを演じてもらっているのですが、撮り順もけっこうバラバラなのに、この間PR用に映像をつないで見てみたら、見事に“大人になっていっている”んですよね。その場その場で一生懸命やっていても、どこか状況がよく見えている、そこが彼のすごいところだなって私は思います」と話していた。
第42回「長篠に立てる柵」(22日放送)では、家康にひそかに功を認められ、さらなる出世の足がかりをつかんだ直政(思わぬBL[ボーイズラブ]展開も!)。今後、菅田さんがどう演じ、最後には少年マンガの主人公らしく「勝利」をつかむことができるのか、残り8回のドラマに注目だ。
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