3回のパイロット版を経て、今年4月からレギュラー化された番組「チコちゃんに叱られる!」(NHK総合で金曜午後7時57分ほか)が話題だ。おませで物知り、かつ口達者な“5歳の女の子”チコちゃんと共に人気の要因になっているのが、同局の森田美由紀アナウンサーが担当する語り(ナレーション)。「そんなことも知らずに、やれ○○だとか、○○などと言っている日本人のなんと多いことか」と、“全国民”に対して上から目線で淡々と毒を吐くスタイルが評判で、その毒舌ぶりは「チコちゃん以上!」と視聴者から熱い視線を注がれている。そのワケとは……。
ウナギノボリ
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「チコちゃんに叱られる!」は、“5歳の女の子”チコちゃんが問いかける素朴な疑問に答えられないと、「ボーッと生きてんじゃねえよ!」と叱られてしまうという、今までにないスタイルの雑学クイズ番組だ。スタート以来、視聴者から寄せられたメールや手紙は1万1000通を超えるなど「調べてほしい疑問」が殺到。その反響を受け、17日には“拡大版”も放送された。
“キム兄”ことお笑いタレントの木村祐一さんが声を担当しているチコちゃんの何とも憎めないキャラクター、問われた瞬間に思わず「えっ?」と固まってしまう、目の付けどころが新しい“素朴な疑問”の数々、徹底した取材力で丁寧に答えを紹介しているようで、時として入り口と出口がズレてしまうこともある“おもしろ回答VTR”など、4月のレギュラー化以降、NHKらしいようでNHKらしくない、不思議な番組の魅力にハマる人が続出している。
中でも中毒性が高いのが森田アナの語りだ。「今こそ全ての日本国民に問います!」と言い切ってしまう潔さはもちろん、「そんなことも知らずに、やれ○○だとか、○○などと言っている日本人のなんと多いことか」というある種の毒や皮肉を、正確で聞き取りやすい“美しい日本語”でぶつけてくるあたり、NHKらしいようでNHKらしくない番組の真骨頂といえるのではないだろうか。
森田アナといえば、同局のニュース番組のキャスターや紅白歌合戦の総合司会、NHKスペシャルのナレーションなどを歴任。2001年の「9・11米国同時多発テロ」発生時には「NHKニュース10」のサブキャスターとして堀尾正明アナ(当時)と共に、第一報を伝えた経験もある。
そんな重鎮アナの起用は、フジテレビで数々の人気番組を手掛け、「チコちゃんに叱られる!」のプロットを編み出した“チコちゃんの生みの親”である小松純也さんや総合演出の河井二郎さん、作家の海老克哉さんのリクエストだったという。
加えて、NHKの水高満チーフプロデューサー(CP)によると「おちゃらけたバラエティーのナレーションではなくて、真面目に淡々と読む、だけど言っていることは変、という方が面白いというのがあって、“ザ・NHK”に読んでもらった方が、その面白さが増すと思い、森田アナにお願いすることになった」と狙いを明かす。
収録にあたって、森田アナに出されたオーダーは「NHKスペシャル風にやってほしい」ということ。話す内容こそ台本に沿ったものではあるが、水高CPは「NHKのニュースの顔もやり、NHKスペシャルでも多数ナレーションを担当している森田さんだからこそ出せる、面白さなんだと思います」と分析していた。NHKの重鎮アナによる毒舌ナレに、今後も注目だ。
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