3日に公開される映画「走れ!T校バスケット部」で主演を務める志尊淳さん。同作は高校の弱小バスケットボール部の奮闘を描いた青春ストーリーで、志尊さんはいじめに遭って大好きなバスケをあきらめるが、弱小校で再び仲間たちと夢を追う田所陽一役を演じる。ドラマに映画にと大活躍の志尊さんだが、俳優として芝居をすることに、どのような思いを抱いているのか。また、志尊さんといえば、4~9月に放送されたNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「半分、青い。」のボクテ役での好演が記憶に新しいが、周囲の変化などはあったのだろうか。志尊さんに話を聞いた。
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映画は、松崎洋さんの小説が原作。中学時代、バスケ部のキャプテンだった田所陽一(志尊さん)は、強豪の私立白瑞(はくすい)高校に入学するが、部内で激しいいじめに遭い、自主退学する。「二度とバスケはしない」と誓い、通称T校と呼ばれる多田野高校に編入したが、連戦連敗の弱小バスケ部から勝負を挑まれ、そのまま入部することに。そこで陽一は個性的なチームメートと出会い、仲間とのバスケの楽しさを思い出す……というストーリー。
演じる田所陽一は、周囲の仲間のことを常に気にかける思いやりのある高校生役。芯の強さを持つと同時に、柔らかい雰囲気が印象的だ。志尊さん自身の持つ雰囲気に共通するところがあるように見えるが、「まったく意識はしていないです」と志尊さん。「でも、『等身大でいられる』ということは、自分を重ね合わせるようなこともしていたのかな、と思います」と振り返る。
撮影期間は、「とにかくその役として生きることしか考えていない」と志尊さん。「それが何につながるのか、具体的にその“何か”は分からないのですが、役者をやっている以上、どの経験も絶対プラスになることだなと思っています。長期間にわたってその役をやれる、というのは幸せなことなので、かみしめて、やらせていただきました」と俳優としての喜びを語る。
そんな志尊さんは、演じる上でどのようなことを大切に考えているのか。志尊さんは「僕って、感覚で役を捉えることが多いんです」といい、「もちろん理論的に考えることもありますが、自分の感覚内に、その役はどういう仕草なのか……そういうことを染みつける方が多いんです。なぜかというと、できるだけいろんなことを考えずに、そのときの空気感や相手役のお芝居を大事にしたいと思うから。決めていることは、そのとき、そのときを大事にしていけること、そしてうそをつかずに血を通わせることですね」と語る。
今年は、「半分、青い。」のボクテ役や同じNHKの連続ドラマ「女子的生活」のトランスジェンダーの主人公みきなど、さまざまな難役を演じてきた。志尊さんは「ボクテもそうですが、今年に入ってからいろいろな役柄を演じて、『その役を通して表現することに責任が生まれる』ということを、すごく感じたんです」と演じることへの重みを語る。「(劇中で)“ゲイ”という肩書がつけられてしまっている以上、(視聴者にとって)『ゲイというのは、こういうもの』と象徴的になってしまう。そうなることで当事者の皆さんに『ふざけんな』と思われてしまいたくないし、その方々が生きづらいような世の中になってほしくない。発信する側の人間として『責任を持って、正しいことを伝えよう』と意識し始めるようになって、以前よりもさらに責任感が増した感じがしています」と明かす。
なお、ボクテ役の反響を聞くと、「たくさんの人に(感想を)言っていただけます。なじみやすいキャラクターだったのかなと思います」と笑顔で語る。「ボクテって、周りの人に対していい部分だけを見せていたわけじゃない。盗作して(秋風塾を)破門されて、『何だこの人』って思われそうなところだけど、そのあと、後悔して更生するまでの誠実さを出せるようにすごく心がけたんです。ああいうことがあったにもかかわらず、好きでいてくれる方がたくさんいることは、すごくうれしいですね」と喜びを語る。
映画も朝ドラも長期間の撮影で多忙な日々が続く。大活躍する中で、志尊さん流のリフレッシュ法、健康維持法は? 「なるべくストレスを排除します」と志尊さん。「考えすぎないこと。疲れたなと思ったら、発散できるところで発散することですね。寝る間を惜しんでも、友達と会った方が自分の中で気が楽になるのなら、友達とご飯を食べに行ったりします」と語る。
現在23歳。10年後は30代に突入しているが、どのような理想像を描いているのか。志尊さんは「頼られる大人になりたいですね」という。「仕事と関係なく、人として。『この人が一緒にいたら安心』とか『何かあったらこの人に相談すれば安心』と思われるような、頼られる人になりたい」と爽やかな笑顔で語った。
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