木村昴:「スター・ウォーズ」最新テレビシリーズ制作秘話 “ジャイアン役”への思いも

アニメ「スター・ウォーズ レジスタンス」で主人公・カズ役の声を務める木村昴さん
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アニメ「スター・ウォーズ レジスタンス」で主人公・カズ役の声を務める木村昴さん

 声優の木村昴さんが主人公のカズーダ・ジオノ(カズ)の日本語吹き替えを務めるアニメ「スター・ウォーズ レジスタンス」の初回特別エピソード「スター・ウォーズ レジスタンス/スカウト」が、9日に放送される。劇中で、お調子者だが未知なる可能性を秘めた若きパイロットのカズを演じる木村さんは、「スター・ウォーズ」作品に出演することを「この上ない喜び」と語る。アニメ「ドラえもん」(テレビ朝日系)のジャイアンこと剛田武役でも知られる木村さんに、今作に対する思いやアフレコのエピソード、そしてこれまでの声優人生について聞いた。

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 ◇「スター・ウォーズ」出演は“胸アツ”だった 日本語版ならではの工夫も
 
 「スター・ウォーズ レジスタンス」は映画「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」(2015年)以前の物語を描いた最新テレビシリーズ。銀河帝国の残党から生まれたファースト・オーダーが勢力を拡大する中、新共和国司令部の指示でレジスタンスに情報を届けに来たカズは、ポー・ダメロン中佐に才能を見いだされ、スカウトされる。カズの任務は、BB-8とともにファースト・オーダーの脅威をスパイすることだった……という内容。

 もともと「スター・ウォーズ」作品が好きだったという木村さん。主人公カズ役のオファーは「非常に“胸アツ”でした(笑い)」と明かし、「おそらく、声優さんでスター・ウォーズやディズニー作品に携わることを目標にしている方は多いと思うんです。世界中で愛されている作品に携われることは、声優としても木村個人としてもこの上ない喜びなので、めちゃくちゃテンションが上がったことを覚えています。『まじっすかー!』って」と笑顔で当時の喜びを語る。

 さまざまな作品で活躍している木村さんだが、スター・ウォーズ作品に出演することは特別な喜びがあった。「やっぱり、喜びはひとしおですね。日本ってアニメーション大国で、面白いアニメがいっぱいありますが、そうした作品に携わっているときの心持ちとはまた違う。日本で面白いアニメーションに参加できたら『世界に広がれ』とか『認めてもらえたらいいな』という心持ちなんですが、逆に(スター・ウォーズは)世界で大人気の作品なので。すでに世界が認めている素晴らしいタイトルを日本でやるにあたって、どう面白さを伝えられるかにこだわる、という感覚です」と説明する。

 今作でも、「どう面白さを伝えるか」という部分を特に意識した。木村さんは、吹き替えについて「オリジナルをリスペクトしつつ、そのまま再現するのではなくプラスアルファして。日本人に届いたときのより面白い言い方やテンション、ギャグってなんだろうなと考えながら演じています。例えば中華料理は本場のものと日本のものではちょっとだけ違い、日本人の舌に合う味付けにリミックスされている。そうしたことにこだわれたら、と思います」と語る。

 具体的には、例えばコミカルなシーンでの演技だ。「カズがすごいものを見たとき、(オリジナルの)原音だと『ワーオ』なんです。そこを『うーわー!』って感じにするとか、日本人の耳になじみのある音に変えたりしています」と木村さん。「今回の録音ルールでは、向こうの役者さんが声を入れていないところには(日本の声優も)入れないことになっているんです。だから、会話をしていないところには声が入っていない。ただ、アニメ(のアフレコを)いっぱいやっているので、キャラが動くと声を入れたくなっちゃう病なんです(笑い)。走っているシーンでは『ハッ……ハッ……』と息遣いを入れたくなっちゃう。そこが最初は大変でしたね」と収録の苦労も明かす。

 ◇「人生の半分がジャイアン」 声優人生を振り返る

 劇中では、ずっと父親に従って生きてきたカズが、自分の決断を信じて歩む姿が描かれる。父親がオペラ歌手、母親が声楽家という一家に生まれた木村さんも、カズに共感できる部分があるという。「小さいころは、両親からずっとバイオリンを習っている“超クラシックライフ”を送っていたんですが、あるタイミングでヒップホップに出合い、そこからずっとラップをやっているんです。『クラシックはもういい、ヒップホップで頑張っていつか認めさせてやる!』みたいなところがあって……。両親がやったことのないことで認めさせたいというマインドがあるんです」と木村さん。「自分で立ち上がって、はい上がって行動する、そういう部分で非常に共感するんです」と自らの経験を振り返りつつ、演じるカズへの思いを語る。

 「ドラえもん」の“ジャイアン”役をはじめ、これまでさまざまな役に出演してきた木村さん。今作でも主演を務めるなど順調な声優キャリアを積んでいるが、自身ではどのように捉えているのだろうか。木村さんは「ありがたい限りです」とほほ笑み、「とにかく見ていただかないと始まらない部分があるので、さまざまな作品に携わらせていただけているのはなによりうれしいし、こうなりたくて頑張ってきたので、最近は本当に光栄な日々を送らせていただいているなと思います」と心境を吐露する。
 
 「変な言い方ですが、僕は“声優にしていただいた”んです。もともと子役でお芝居をしていたけど声優を目指していたわけではなくて、『ドラえもん』のオーディションを機に、ジャイアンという大きな役をいただいて、『これをやるのなら、二足の草鞋(わらじ)ではダメだ』と思ったんです。いっぱしの声優になるために頑張ろう、と。そこから自分の声優人生が始まっているんです」と振り返る木村さん。「(ジャイアン役で)声優・木村昴を作っていただいて、せっかくなら頑張りたいというところから始まっている。だからいろんな人に知っていただいて、いろんなお仕事をさせていただけるようになったことは、一番望んでいたことなので、本当にうれしいですね」と喜ぶ。

 人生を変えたジャイアン役。木村さんは「14歳のときからやっているんです。私、今年で28歳なので、人生の半分はジャイアンなんですよ。そのことにふと気づいて。『半分やっている!』みたいな……」と笑い、「これから月日をさらに重ねていくと、ジャイアン役をやっている時間の方が長くなっていくじゃないですか。そう考えると、すごいことをさせていただいているんだなと自覚します。声優として、見てくださる方に恥じないようにしていきたい。日々勉強だなと思います」と意気込みを語る。

 そんな木村さんの今後のビジョンは? 「息の長い声優になっていけたら」と木村さん。「皆さんに毎年毎年、面白いこと、新しいことをお見せできたらいいなと思います。『最近、木村ワンパターンだよね』と言われないように(笑い)、常に進化していきたいですね。ゴールを設けておりません!」と力強く語ってくれた。

 「スター・ウォーズ レジスタンス」の初回特別エピソード「スター・ウォーズ レジスタンス/スカウト」は9日午後7時から、ケーブルテレビやCS放送のエンターテインメント・チャンネル「ディズニーXD」とBSテレビ局「Dlife」で日本初放送。「スター・ウォーズ レジスタンス」は19年1月に「ディズニーXD」で放送される。

 <プロフィル>

 きむら・すばる。ドイツ出身。14歳のときに「ドラえもん」の剛田武(ジャイアン)役に抜てきされ、以来、「遊☆戯☆王 VRAINS」の草薙翔一役などテレビアニメや海外ドラマの吹き替え、番組ナレーションなど声優として幅広く活躍。また、座長を務める「天才劇団バカバッカ」などの舞台活動や得意なラップを生かした音楽活動も精力的に行っている。

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