宮藤官九郎さん脚本の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」の第26回「明日なき暴走」が7月7日に放送される(NHK総合で日曜午後8時ほか)。同回の“主人公”となるのは、日本人女性初の五輪選手・人見絹枝(菅原小春さん)。初めてアムステルダム五輪に出場した彼女の苦悩や葛藤、喜びが描かれる。絹枝と同じ岡山県出身で、「父方の祖母が人見絹枝さんと同じ学校の1年後輩だったそうです」と明かすのは、元マラソン選手の有森裕子さん。ドラマの放送を前に、この“偉大なる先人”への思いに加え、奇妙な縁や五輪秘話を語った。
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女子マラソンで、日本人女性初の五輪2大会連続メダリスト(バルセロナで銀、アトランタで銅)となった有森さん。“同郷の先輩オリンピアン”とは、「すば抜けて運動神経のよい人だった半面、とてもエレガントな方でもあったそうです。岡山ではとても有名な方で、地元で行われる山陽女子ロードレースでは優勝者に人見絹枝杯が贈られるんですよ。私はその第1回大会で人見絹枝杯をいただき、そのときに祖母にトロフィーを見せ、とても喜んでもらったことを覚えています」と何かと縁があったという。
祖母が亡くなった後だったというバルセロナ五輪では「お守り代わりに、人見絹枝杯をいただいたときに祖母と一緒に撮った写真を持っていった」という有森さんは、「そのつながりで、人見さんにも見守ってほしい、後押ししてほしいという気持ちになり、人見さんの写真も持っていきました」といったエピソードも。
人見絹枝という偉大な先輩アスリートの存在をより意識するようになったのは「オリンピックでメダルを獲得してから」。くしくも「私がバルセロナでメダルを取ったのは、人見さんがアムステルダム大会で銀メダルを獲得したのと同じ8月2日でした。そして人見さんが亡くなったのも8月2日。そういったリンクする部分があったことと、やはり自分がそれまでやってきたことと彼女の生き方に共通点があったので、勝手に『(人見さんの思いを)受け継いでいかないと』と思うようになったんです」とも明かしている。
最後に「こうして私たちが競技に出られて、世界で戦える環境を得られているのは人見さんのおかげ。人見さんは、日本女性がスポーツをすることの意義と、その環境を大きく変えた偉大なアスリートです。私自身、自分のたどってきた道筋を思い出せば思い出すほど、人見さんがしてくださったことの大きさを切実に感じます。その存在を世の中の方にもっと知っていただきたいですし、私も彼女の生き方を伝えていければと思っています」と誓っていた。
「いだてん」は、日本人五輪初出場の明治末から、東京に五輪がやってきた1964年までの約半世紀を描くオリジナルストーリー。テーマは「東京とオリンピック」。大河ドラマで近現代史を取り上げるのは、1986年の「いのち」以来33年ぶり。
第26回では、アムステルダム五輪が迫り、体協が相変わらず資金難に苦しむ中、田畑政治(阿部サダヲさん)は記者人脈を生かし、政界の大物、大蔵大臣の高橋是清(萩原健一さん)に選手派遣のための資金援助を直談判する。アムステルダム大会では女子陸上が正式種目に。国内予選を席巻した絹枝(菅原さん)だが、プレッシャーに押しつぶされ、期待された100メートルで惨敗してしまう。日本の女子スポーツの未来が閉ざされようとしている今、絹枝は未経験の800メートルへの挑戦を決意する……。
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