サザエさん:「磯野家の人々」ドラマPインタビュー(下) 配役には「自信」 タイトルの理由に波平の存在

11月24日に放送されるスペシャルドラマ「磯野家の人々~20年後のサザエさん~」のワンシーン(C)フジテレビ
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11月24日に放送されるスペシャルドラマ「磯野家の人々~20年後のサザエさん~」のワンシーン(C)フジテレビ

 フジテレビ開局60周年記念とアニメ「サザエさん」の放送50周年を記念し、サザエさん一家の20年後を、オリジナルストーリーで描くスペシャルドラマ「磯野家の人々~20年後のサザエさん~」が11月24日放送される。2016年からアニメのプロデューサーを務め、今回のスペシャルドラマも担当している渡辺恒也プロデューサーに、これまで「舞台を20年後にした理由」「ドラマ化の苦労」について聞いたが、第3弾では配役や実写化にあたる“再現度”などについて聞いた。

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 女優の天海祐希さんがサザエ役で主演する今回の「磯野家の人々~20年後のサザエさん~」。31歳のカツオは野球選手、マンガ家などを夢見ては挫折し、今は洋食店のシェフに。29歳のワカメはアパレル関係のデザイナーだが仕事に苦労。23歳のタラオは就職活動中だがやりたいことが見つけられず。74歳の波平は定年退職しカツオたちの将来を案じていた。70代のフネは変わらず波平と磯野家を案じる日々。48歳のマスオは中間管理職に就き、サザエとマスオの17歳の娘のヒトデはサザエと距離を置いていた。サザエはすれ違う家族の仲を修復しようと町内の盆踊り大会へ、家族全員で行こうと計画を立てるが……というストーリーだ。

 天海さんがサザエ、西島秀俊さんがマスオ、濱田岳さんがカツオ、松岡茉優さんがワカメ、成田凌さんがタラオ、桜田ひよりさんがヒトデ、市毛良枝さんがフネ、伊武雅刀さんが波平を演じる。連続ドラマ「ショムニ」シリーズ、「HERO」シリーズ、「ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~」などの鈴木雅之監督が演出を務める。

 ◇天海祐希のサザエさんは「揺るぎない」 タラちゃん「難しかった」

 --明るさとぶれない強さを兼ね備えたサザエ役に天海さんを起用した理由を教えてください。

 実は、実写ドラマをやることが決まり、20年後という設定が決まる前の段階で、天海さんと決めていました。設定が決まっても、アニメの設定だとサザエは24歳。20年後だったら、天海さんしかいないと揺るぎませんでした。サザエさんのぶれない明るさと力強さが天海さんの人間性とお芝居に重なる部分があったのと同時に、アニメのエンディングに象徴されるような、みんなを引っ張っていくサザエさんのリーダーシップが天海さんのこれまでのキャリアイメージに重なったからです。

 --濱田さん、松岡さん、成田さんのキャスティングについても教えてください。

 磯野家、フグ田家の7人をどう見せていくかというのが重要でした。アニメでカツオ、ワカメ、タラオを見ていて、この3人が20年後どんな大人になっているのかなというのを順に想像していったときに、カツオはひょうひょうとしていて抜け目ない感じの一方、真剣に悩んでいたりとか、アイデアで勝負をするところは20年後でも変わっていないと思えました。そのカツオのイメージと、濱田さんの活躍のイメージがマッチしました。

 ワカメはサザエと似ているところがあり、しっかり者でバランスを取るのが上手。意外と頑固なところがあり、こだわりも強い。そのまま大人になってくれたらいいな、と。芯の強さ、こだわりの強さなどがあって、人付き合いや周りに気を配りながら潤滑に人間関係をまとめるイメージが、松岡さんのイメージと重なりました。

 タラオの20年後は難しかったですね(笑い)。タラオが礒野家で育っていったらどういう大人になるのかというところから考えました。サザエとマスオの子供で、波平、フネ、カツオ、ワカメから可愛がられたと思うので、真っすぐに育ったんだと思います。でも、家族が幸せすぎて、自分で何か自己主張する必要がなかった子供時代だったのかもしれないと思いました。順風満帆でみんなから助けられ悩まずに生きてきたからこそ、就職活動で、何をしたいのか分からなくなっているかも、と。今回は、そういう設定にさせていただきました。そんなタラオを表現できるのは、成田さんだと思いました。

 ◇“中島”役に一番苦労

 --カツオとかもめ第三小学校で同級生だったメンバーたちのキャスティングには意外性を感じました。

 実を言うと、(20年後を描く上で)中島が一番難しかったです。カツオと同じタイプにはしないようにしようと思いました。アニメのキャラクターたちの輪郭はみんな丸い感じがあります。中島はめがねもかけているので、私の中でのイメージが丸かったんです。皆さんに共感していただけるかは分かりませんが、小学校時代の同級生が20年たつと外見が全然変わっていることがあると思います。中島が丸々としたフォルムのまま大人になったらどうなるのかなというのがありました。そこで“飛び道具”というか、役者とは違うジャンルの方に演じていただきたいと思い、岡崎体育さんにオファーさせていただきました。面白いスパイスになっていただきたいと思いました。

 子供の頃のままのイメージで大人になったパターンと、20年を経て成長や変化をしたパターンという両方のパターンを考えました。

 カツオに対して面倒見が良い花沢さん(森矢カンナさん)には、カツオに何でも言っていくところは変わっていないようにしましたし、かおりちゃん(黒川智花さん)はリボンが大好きでそのまま大人になった感じにしました。早川さん(松井玲奈さん)もショートカットにしようと思ったのですが、早川さんだけは結婚して主婦になっているという設定にしたので、後ろで一本に結んだ(ヘアスタイルにしました)。

 --実力派の俳優を集めることができたと思いますが、キャスティングに自信はありますか?

 私の中で、今回のキャスティングには自信を持っています。何度か仕事をご一緒させていただいた方、初めて仕事をご一緒させていただく方、両方いますが、「サザエさん」ということで二つ返事で快諾をしていただき、改めて「サザエさん」の魅力を感じることができました。本当に感謝しかありません。

 ◇気になる“再現度”には…

 --アニメ原作を実写化する際、再現度は気になるところですが。

 キャストの皆さんには「再現しようと思わないでください」と説明しました。アニメをそのまま実写化するわけではありません。設定は完全なる現代を描いています。

 ものまねやコスプレのようにはしたくありませんでした。とはいえ、“波平の一本毛”、サザエの“ヘアスタイル”など、はっきりとは作り込まないとしても、なんとなく、サザエの髪形も20年生活していると“こんな感じ”になるよう作りました。

 実写化する際の“リアリティー”というのは、鈴木監督、キャストの皆さんと相談しながら試行錯誤しました。穴子役の小手伸也さんが“たらこ唇”を付けてしまうとギャグになってしまうので、そうしない代わりに小手さんはアニメで穴子の声を担当している若本規夫さんの声をイメージしてせりふを言ってくださっていたり、マスオが驚いたときの「えー?」という表現は、西島さんが撮影で自然に演じてくださいました。もし、キャストがやり過ぎていたら、鈴木監督が注意してくださっていました(笑い)。

 ドラマなので実写寄りに作っていますが、どこかアニメが持つにおいや雰囲気を見つけていただければと思います。

 --注目してほしいキャラクターがいたら教えてください。

 全キャラクターに注目していただきたいのですが、あえて言うとしたら、「礒野家の人々」というタイトルにした理由は、波平です。磯野家という一家の長として、家を守ってきたのが波平です。20年たち、家族関係が少しずつ変わってきてしまった中で、波平が抱く家族への思いは、ドラマで全面的に描いていませんが、物語全体の縦の流れとして出てきます。

 もう1人がヒラマサ(佐戸井けん太さん)です。カツオ、ワカメ、タラオの3人が仕事という働くことに悩みを抱えていて、働くということに答えを見つけているのがヒラマサです。人生の先輩であるヒラマサの思いに、サザエがどう絡んで行くのか……。ドラマの大きな柱の一つになりますので、ぜひ、お楽しみいただければと思います!

 「サザエさん」の放送50周年を記念した「サザエさんウィーク」が11月18日から展開中。同24日午後6時半からはスペシャルアニメ番組「アニメ『サザエさん』放送50周年記念スペシャル」が放送される。スペシャルドラマ「磯野家の人々~20年後のサザエさん~」は同日午後8時から放送。

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