海に眠るダイヤモンド
最終話後編(10話)記憶は眠る
12月22日(日)放送分
連続ドラマ「日曜劇場 テセウスの船」(TBS系、日曜午後9時)の主人公・田村心として、4カ月に及ぶ撮影を走り抜けた俳優の竹内涼真さん(26)。鈴木亮平さん演じる父・文吾の無実を証明しようと必死にもがき、毎回のように涙を見せながらも、決してあきらめることはなかった。そんな心を演じる上で大切にしたことや、「がむしゃらにやった」という今作を通して竹内さんが得たものとは……。
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原作はマンガ誌「モーニング」(講談社)で連載された東元俊哉さんの同名マンガ。主人公の田村心(竹内さん)が31年前にタイムスリップし、父で警察官の佐野文吾(鈴木さん)が逮捕された「音臼小無差別殺人事件」の謎を追う……というストーリー。
3月19日にクランクアップを迎え、翌日の電波ジャックの合間に取材に応じてくれた竹内さん。約4カ月の撮影について、「あっという間……という感じはないです(笑い)」と話し、精神的にも肉体的にも大変な撮影であったと振り返る。
竹内さん演じる心は、1989年(平成元年)に発生した「音臼小無差別大量殺人事件」の犯人・佐野文吾(鈴木さん)の息子。加害者家族として世間の厳しい非難を浴び続け、教師になるという夢もあきらめて隠れるように生きてきた。唯一の味方である妻の強い訴えで、父親と過去の事件に向き合うことを決意して……という役どころ。
父のため、家族のために必死に動くも、次々と試練が訪れる。視聴者から「心さん、しっかり!」とエールが送られたこともあった。そんな心を、竹内さんは、「彼は不器用だし、『彼がやっていることは果たして正解なのか?』っていうのは分からないですけど、彼が発する言葉だったり、彼がする行動っていうのは、人を動かす力があると思っていて。それぐらいの熱量というか、『家族を救いたい』という気持ちがこの作品の中で誰よりもある人間」と表現する。
心は、全話を通して「家族の笑顔を取り戻すこと、家族の未来を守ることを一回もあきらめていない」という竹内さん。「その“あきらめない気持ち”を一番大事にして演じました」と明かす。
毎回のように涙を見せる竹内さんの演技も話題になった。実は、台本上では「涙する」と書かれていなくても、竹内さんは思わず涙してしまうこともあるといい、ドラマを手がける渡辺良介プロデューサーは「(竹内さんは)田村心としてカメラの前に立って、そのシーンを演じたときに止められないらしいんですよ」と明かしていた。
竹内さんは、「そういうこともありましたね」と振り返りながら、「(心は)抱えてきたものが人より重いので、見たくないものを見てきているし、過去のお母さん(榮倉奈々さん)と話していても、(文吾が殺人犯として逮捕された後の)現在のお母さんを知っている。自分がつらいときに見ていた現在の母親と違うことを言っているっていうだけでも、心に(ぐっと)くるものがある」と心の気持ちを代弁する。
「どれだけ撮影が忙しくても、役を演じるときの自分の気持ちだったり、テンションというのがやっぱり大事。どんな主人公の人生でも、全力で向き合ってやらないと本当に“その人”にはなれないんだなって思いました」
そんな竹内さんを、撮影が始まってから「ずっと心でいる」と表現していた渡辺プロデューサー。そのことを伝えると、竹内さんは「彼(心)がする行動だったり、彼が発する言葉を自分の中に落とし込みたいんですよ。本番まで(心のことを)ずっと考えているということが、周りの人から見たら、『ずっと心でいる』ということなのかもしれないです」と話す。
さらに、「せりふと体は連動していないといけない」と考え、「せりふに聞こえないということを目指している」という。「ちゃんと主人公の気持ちで言葉を発するために、現場での作業は最後まで必要」と話す。
竹内さんの役者としての魅力について、渡辺プロデューサーは「真っすぐさ」と「がむしゃらさ」を挙げ、「思いというか、魂で芝居するのが彼の魅力だと思う」と語っていた。竹内さん自身、「“共感”っていうことを大事にしたいんです」と語り出した。
一視聴者として、毎クール、各ドラマの第1話を見るという竹内さんは、「どこか共感したいんですよ。『分かるな』って。そこにひたりたい気持ちがある」と、“共感”を求めている。「ドラマは作られた世界だし、作られた人生を僕ら(役者)が演じますが、例えば一つの行動にも必ず理由があって、監督やスタッフさんと『こういう気持ちだからこう動いている』というのを一つ一つ積み重ねていかないと説得力がなくなる」と続ける。
また、今作を通じて、改めて“ドラマ”というものを考えたといい、「毎週見てくださる方たちのためにギリギリまで撮影するチームの熱量が今回も感じられて。やっぱり撮影が楽しいなって思ったし、徐々にチームワークがよくなっていくのが肌で分かるんですよ。ドラマの現場っていいなと改めて思えた作品になりました」と実感を込める。
そんな竹内さんにとって、今作はターニングポイントとなったのではないか。「その作品ごとに気づくことっていろいろあって。たとえば『陸王』(2017年・同局系)の時の反省って、そのときもするんですけど、2年後くらいに、ああすればよかったなと思ったりするんですよ。その場で意外と気づかないことって多いので。今回、『テセウスの船』もやりながらいろいろ反省がありますけど、またちょっとたってから気づいて、自分で修正して、どんどん成長していきたいです」と前を見据えていた。
「テセウスの船」を経て、役者としてまた一歩先へ。今後の竹内さんがますます楽しみだ。
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