中村倫也:「美食探偵 明智五郎」は「最強の布陣」と自信 役作りや食へのこだわり語る

「美食探偵 明智五郎」第1話のシーン=日本テレビ提供
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「美食探偵 明智五郎」第1話のシーン=日本テレビ提供

 俳優の中村倫也さんが主演を務める連続ドラマ「美食探偵 明智五郎」(日本テレビ系、日曜午後10時半)が4月12日から放送される。ドラマ化された「海月姫」「東京タラレバ娘」「偽装不倫」などで知られる東村アキコさんのマンガ「美食探偵-明智五郎-」(集英社)が原作で、「マンガを読んで、あの顔面なのになぜ僕のところに(オファーが)きたのかなという疑問は今でもぬぐえない(笑い)。薄顔なりに精いっぱいやらせていただいています」とちゃめっ気たっぷりに話す中村さんに話を聞いた。

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 ◇せりふ量の多さに驚き

 ドラマは、容姿端麗だが超変わり者で、おいしい料理をこよなく愛する探偵・明智(中村さん)が、類いまれなグルメの知識を使って、殺人事件を解決しながら殺人鬼へと変貌する主婦と対決する“恋する毒殺サスペンス”。明智の相棒・小林苺役を小芝風花さん、明智と禁断の愛でひかれ合う連続殺人鬼“マグダラのマリア”役を小池栄子さん、“ちょっと残念”な警視庁のベテラン警部・上遠野役を北村有起哉さんが演じる。

 中村さんは探偵役について、「小さいころホームズの児童図書を学校の図書室で読んでいて好きでしたけど、実際にやってみると、謎を解く以上、言葉で『こうでこうでこうしたんでしょう』と説明するのが“お約束”。まあしんどいですね(笑い)」と言い、「いっぱいしゃべらないといけない。この間も(台本)15ページぐらいを一人でしゃべっているなっていう日があって。ちょっと耳から炎が出そうになりました」とせりふ量の多さに驚いたことを明かす。

 自身の“推理力”を問われると、「分からないですね。推理はしたことないかも」と話し、「分からないことは聞いちゃう方なので、推理をしないかもしれない」と言って笑う。

 ◇役作りでは視聴者が楽しめる余地を意識

 役作りでは、「それぞれがバックボーンというか介在する思いを一つ一つほぐして理解したつもりで演じて、それで発見があったり腑(ふ)に落ちたことがあったり、いろんなことがありながら積み上げていく」とプロセスを説明。しかし、「それを言葉で説明する気は一切なくて。そこを自由に楽しんでもらうことが、お客さんの特権のような気がする。思い込みでもいいですし、私だけが発見したことと思ってもらってもいいですし、これはこうだよねと一緒に見た人と話し合ってもらってもいい。そういうふうに自由に楽しんでもらえるような余地を残して芝居をしたいと心がけています」と持論を語る。

 今作で中村さんは、自ら生地選びから参加し、スタッフと共に作り上げたオーダーメードでスーツを作り上げたが、「意外と似合うなって。それはそれで、どうなんだろうとも思っていますが」と笑う。「初めて着けましたがループタイがちょっといいなって。(ループタイに着いている)石も、石言葉を調べたら“禁断の愛”でぴったり。じゃあこれにしようとなりました」とこだわったことを明かす。

 探偵事務所のセットも、「動物アイテムの美術が多い。奥の方にフラミンゴの置物があったり、どこの国のものかも分からないトーテムポールみたいなエスニック風なCDラックがあったり遊び心がある。でもキッチンは最新式のアイランドキッチンで、そういうのも面白いなって」と役作りに生かされているといい、「チョウの標本をちょっと狙っていて。美術の人に『終わったら欲しい。いくらですか』と聞いちゃった(笑い)」と楽しそうに語った。

 ◇“座長”としてフラットな姿勢で臨む

 明智は美食家でもあるため、「テーブルマナーが大変」と話す中村さん。撮影でも、「こぼさないようにするため、左手でお皿を作って食べるみたいな仕草を本番でやったら、対面に栄ちゃん(小池さん)がいて、OKになった後に『それってだめなんじゃない?』って。早く言えよって話をした(笑い)」と苦労を明かす。

「確認したらマナー違反だったのですが、撮影初期の食べるシーンの撮影でそういうことがあったので、一回一回監修の人に見てもらってやるというルールを作りましょうと。そこから撮影が進むようになりました」と話し、「段階を経るごとにどんどんスキルアップして無駄がなくなり、スムーズになってきている。結束力みたいなものが固まってきています」とにっこり。「撮影が終わるころにはマナーに厳しい男になっていますよ」とちゃめっ気たっぷりに言う。

 自身は食へのこだわりはあまりないというが、「唯一と言っていいほどのこだわりがあるのは、そば。最後の晩餐(ばんさん)候補はと聞かれたら、そばと答えています」と中村さん。食べ方については「最初何もつけずに麺だけ1本とって食べて風味を味わって、次はつゆをちょっとつけて空気と一緒に吸い込んで混ぜて……といった自分の中の作法みたいなのはあって」とこだわりを明かすも、「親父がそういうふうに食べていた。それを見て育って今そういうふうになっていて、何か血を感じる瞬間です」としみじみ。

 “座長”としての意気込みを聞くと、「あまりないし、考えすぎないようにもしている」としつつも、「みんな楽しんでいるかなという意識は常にある」と責任感をちらり。さらに、「すごく恵まれた現場で、風花ちゃんとか栄ちゃんとか、毎話出てくださる方も本当にすてきな方が出てくださっていて。スタッフも含め、こういう最強の布陣で真ん中にいさせてもらえる、神輿に乗って担いでもらえるのは幸せだなって感じる現場」と感謝を口にする。

 ドラマの見どころについて、「原作があるので、そこの関係性や構成とかいろんなことを踏まえた、リスペクトを持った上で各話の展開、原作でここのシーンに苺はいないけどここにいさせることによってストーリーが転がっていくなど、すごく丁寧だしアイデアがある」と切り出し、「各話それぞれのシーンの意図があって紡がれて転がっていき、毎話最後のシーンの方になるとねじれが生じて思っていたのと違うとなっていく瞬間があるのですが、そういうところが巧み」とアピールしていた。(取材・文:遠藤政樹)

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