プライベートバンカー
第1話 これは実在する仕事です
1月9日(木)放送分
胸キュンと話題を呼び、再放送された特別編も盛り上がりを見せた連続ドラマ「恋はつづくよどこまでも」(TBS系)。同作で世の女性たちを虜にしたのが、佐藤健さんが演じた通称「魔王」の“ドS”ドクター・天堂浬(かいり)だ。これまでにも、少女マンガを原作とした恋愛ドラマや映画には、数々のドSな男性キャラが登場し、女性たちのハートを掴んできた。では、なぜドSキャラに人気が集まるのか。その魅力を分析していきたい。
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ドSキャラといえば、クールで毒舌というイメージを抱く人も多いだろう。ともすれば嫌われ者になってしまいそうな気もするが、映画「オオカミ少女と黒王子」(2016年)で山崎賢人さんが演じた佐田恭也は、むしろ学校一の人気者。抜群のルックスで女子たちの視線を独り占めにする、国宝級のイケメンなのだ。山崎さんは今作で恭也を演じるにあたり、人生初の金髪姿に。それまでのイメージを覆す山崎さんのビジュアルも話題を呼んだ。
ドSキャラは勉強や仕事をきっちりこなす秀才というのも特徴の一つ。前述の恭也は優れた容姿に加え、頭も良く、さらにスポーツまで万能という見事なハイスペックぶりだし、映画「クローバー」(2014年)で「関ジャニ∞」の大倉忠義さんが演じた柘植暁は、頭脳明晰(めいせき)なイケメンエリート上司、「恋つづ」で佐藤さんが演じた天堂は容姿も仕事の腕もピカイチのエリート医師といったように、もはや非の打ち所がないほど完璧。決して手の届かない雲の上のような存在の彼らに、周囲の人々は憧れを抱かずにはいられないのである。
イケメンかつ秀才であるが故に、彼らの行動はいつでも自信に満ちあふれている。特にヒロインに対してはグイグイと距離を縮め、有無を言わせず自分に従わせるような強引さを発揮。2005年からスタートした井上真央さん主演の大人気シリーズ「花より男子」で、「嵐」の松本潤さんが演じた道明寺司は、まさにその典型とも言える。井上さん演じる主人公・牧野つくしに対し、大勢の生徒が注目する中「日曜、恵比寿ガーデンプレイス時計広場、1時」と約束を取り付け、つくしの返事を聞かぬまま去って行く……というシーンや、第1シリーズ最終回のラストシーンで「お前、俺にほれてんだろ?」と言い放つ場面など、数々の名シーンを残した。
壁ドンや顎クイといった大胆な“胸キュン技”も、強引さのあるドSキャラならではのスキルだ。特に映画「黒崎くんの言いなりになんてならない」(2016年)で「Sexy Zone」の中島健人さんが演じた、“黒王子”こと黒崎晴人の大胆さはすごい。小松菜奈さん演じるヒロインの赤羽由宇に「お前は俺の奴隷だ」と言って突然キスをしたり、授業中に後ろの席から耳を噛む“耳かぷ”を仕掛けたりと、現実ではあり得ないような“エロキュン”シーンが満載だった。しかし、マンガのように非現実的な行動も、実写化されることでどこか現実にありそうな感覚を覚える……。この強引さが、「男性にリードされたい」という乙女心をくすぐっているのかもしれない。
さて、ここからは筆者が考えるドSキャラへの最大の胸キュンポイントに迫っていこうと思う。まずドSキャラは“ツンデレ”とは似て非なるもので、戦略的に甘えるようなそぶりは基本見せない。ツンデレの場合は、意中の人にだけ“デレ”の部分をのぞかせ、形勢逆転を図るようなあざとさが深読みできそうなケースがあったり、本当は優しかったり甘えん坊だったりするのに、その裏返しで冷たい態度をとるケースもあるのに対し、ドSはたとえヒロインと恋人同士になったとしても上下関係が変わりにくく、「~してやる」というスタンスのままであることが多い。
そんな常に強引な彼らだからこそ、ふと垣間見える優しさにグッとくる。「恋つづ」では物語の中盤あたりから、上白石萌音さん演じるヒロイン・佐倉七瀬に対する天堂の“あふれ出る優しさ”が一気に加速し、視聴者の盛り上がりもどんどん増していった。「私と先生じゃ釣り合わない」と落ち込む七瀬に「いまさら何言ってんだ? 俺とお前が釣り合わないことなんて、100万年前から分かってる」と言いながらも「俺の知らないところで泣くな」と励ましたり、天堂に何も告げず姿を消した七瀬を探し出して「勝手にいなくなるな。ずっと一緒にいるって言っただろ」とバックハグをしたり、事故に遭い意識を失っていた七瀬が目を覚ましたときに「好きだ。お前が……好きだ」と涙ながらに伝えたり……。
言葉はドSながら、そこには相手を大切に思う気持ちがある。ヒロインに向けられた確かな愛情があふれてふいにこぼれたとき、クールで強引な“いつもの姿”との落差に胸キュンが止まらなくなるのである。ただ一方的に冷たく接するだけではなく、人を大切にする心や、しっかりとした愛情を持っているところが、ドSキャラが長年にわたって愛され続けてきた理由と言えるだろう。
2000年代から数々の恋愛作品を彩り、女性たちを魅了してきた“ドSキャラ”たち。今後も胸キュンフィーバーを巻き起こし続けてくれることを期待したい。
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