俳優の古川雄大(ふるかわ・ゆうた)さんが出演する映画「コンフィデンスマンJP プリンセス編」(田中亮監督)が、7月23日に公開された。今作で古川さんは、大富豪の父レイモンド・フウ(北大路欣也さん)の10兆円の遺産を狙うフウ家の長男を演じている。古川さんといえば、放送中のNHK連続テレビ小説「エール」での“ミュージックティーチャー”歌の先生・御手洗清太郎(みたらい・きよたろう)役でおなじみ。古川さんに、映画での役作りの苦労や共演者について、さらに「エール」に出演してからの自身の変化について聞いた。
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今作は、テレビドラマとスペシャルドラマ、そして2019年に公開された劇場版「コンフィデンスマンJP ロマンス編」に続く劇場版第2弾。世界有数の大富豪フウ家の当主レイモンドが亡くなり、10兆円の遺産を巡り、ダー子(長澤まさみさん)、ボクちゃん(東出昌大さん)、リチャード(小日向文世さん)、五十嵐(小手伸也さん)らコンフィデンスマン(信用詐欺師)が、世界中から集まった詐欺師たちとだまし合いを繰り広げる。古川さんは、冷酷無比のフウ家の長男クリストファーを演じている。
「周りのキャストの方々も豪華ですし、自分も重要な役でしたので、うれしい気持ちももちろんありましたけど、自分が(作品に)入って役割をまっとうできるかという不安もあり、お話をいただいたときから緊張感は高まっていました」と、オファーを受けた際の心情を振り返る古川さん。
演じるクリストファーは、古川さんいわく「人の価値をお金で判断するような人。他人を信用しないから人望がない。一見、跡取りに一番近い男と思いきや、まったくふさわしくない人間」だという。半面、「父親に認められたいという思いで葛藤しながら自分なりに頑張っている」。そんな内面的に複雑な部分を台本から読み取り、田中監督と話し合いながらキャラクターを構築していった。
外見的には、青いコンタクトレンズを装着した。「入れる作業にかなり苦戦して皆様をお待たせしちゃったり、(レンズを)入れたら入れたで、常に目に白いもやがかかっているような違和感はあったりしたんですけど、見かけの部分で(役作りとして)分かりやすいものができることはありがたいと思いながら演じていきました」と感謝する。
クリストファーの姉ブリジットは女優のビビアン・スーさん、弟アンドリューは、ダンス・ボーカルグループ「GENERATIONS from EXILE TRIBE」のリーダーで俳優の白濱亜嵐(しらはま・あらん)さんが演じており、3人で父の遺産を巡り争うこととなる。
他の2人の印象を尋ねると、古川さんは「ビビアンさんはすごくオープンな方で、フレンドリーで、コミュニケーションをとっていく中で3姉弟の絆という部分で引っ張ってくださいました。太陽みたいな方でした」と表現。白濱さんに対しては「相続のために劇中では敵対しますが、プライベートでは仲良くさせていただきました」と話す。
ロケ中、古川さんはホテルの部屋にこもることが多かったという。「長文の英語をしゃべる場面があったので、その英語を頭に入れるのにかなり苦労したんです。その訓練を部屋の中でしていました」と理由を説明する。
3人は数カ国語を操ることができるという設定だ。古川さんは「白濱さんもビビアンさんも、英語を話せる方たちなので、バランスとして、普通に話せているように聞こえ、(他の人と)違和感がないレベル」にまで上げるために、撮影に入る前に英語の先生から講習を受け、撮影中も音源を繰り返し聴く努力をしたという。
主演の3人、長澤さん、東出さん、小日向さんとは初共演。ほかにも、シリーズおなじみのメンバーが脇を固めている。出来上がった輪に入ることに大変さは感じたものの、主演の3人が撮影場所となったマレーシアで、キャスト全員を招いて食事会を開いてくれたといい、「お三方が、『プリンセス編』のチームとして大きな輪を作ろうと空気作りをして助けてくださいました」と3人のはからいに感謝する。
映画について、「ファンであれば、ダー子、ボクちゃん、リチャードの3人がスクリーンに出てくるだけで、“沸く”ものがあると思います。3人の関係性、安定感が一番の魅力ですし、そこに今回、ミシェル(関水渚さん)という存在が加わります。3人が彼女に何を与えるのか。また3人が彼女から何を受け取るのか。そして、ミシェルがどう成長していって周りを動かしていくのか。今回は、愛というものがテーマにあるような気がします。小さな愛が奇跡を生んでいく展開があって、最後は大きな愛で締めくくられる」と語り、「あとはやっぱり、お客様をだます、おなじみの展開がより一層豪華になっていると思います。ですから見どころばかりです」とアピールした。
古川さんといえば、最近では朝ドラ「エール」での“ミュージックティーチャー”御手洗役がすぐに思い浮かぶが自身にとっても、「インパクトのある役をいただいた」と思っていて、演じたことで、「たくさんの方々から連絡いただきましたし、こうした取材でもミュージックティーチャーの話が出たりします。すごく影響力のあるものに出させていただいたんだと改めて思います」と反響の大きさに驚いている。
もともと「じっくり役作りをしたい」タイプ。御手洗ティーチャーは「リハーサルの期間もありましたし、監督に(演技を)見たり聞いたりしていただいて、アドバイスをいただきながら結構、時間をかけて準備していきました」と振り返る。
今回のクリストファーと御手洗。「自分に近いのはどっち?」と聞くと、少し考えてから、今作の資料を指し示しながら、「こっち(クリストファー)のほうが近いといったらやばいですよね」と苦笑し、「付き合いの長い地元の親友は、『ミュージックティーチャーは素のお前に近いよ』と言ってくれて、それには僕もびっくり。僕はどういうふうに見られていたんだろうと思いましたが(笑い)、でも僕自身はこっち(クリストファー)のほうが近いのかなと思っています」と語った。
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