萩原利久:「エール」若手兵士役で注目の21歳 死生観に変化? 「3年A組」の仲間には「負けたくない」

NHK連続テレビ小説「エール」で岸本和俊を演じた萩原利久さん
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NHK連続テレビ小説「エール」で岸本和俊を演じた萩原利久さん

 窪田正孝さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「エール」(総合、月~土曜午前8時ほか)で、主人公・裕一(窪田さん)の恩師・藤堂先生(森山直太朗さん)が率いる部隊の一等兵・岸本和俊を演じた萩原利久さん。2話のみの出演となったが、鮮烈な戦場パートにおいて、裕一の目の前で頭を打ち抜かれて絶命する若者として、悲劇性を高める役割を担い、注目を浴びた。「岸本が登場するのは、朝ドラという長い物語の中で、ほんの一編に過ぎないかもしれませんけど、『死ぬ』前提で、どれだけ一つ一つのシーンに色づけできるかってことを考えて撮影に臨みました」と振り返る萩原さんに話を聞いた。

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 ◇「エール」岸本役を演じ終え今、思うこと 自分の価値観をより知る機会にも

 萩原さんは1999年2月28日生まれ、埼玉県出身の21歳。菅田将暉さん主演で昨年放送された連続ドラマ「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(日本テレビ系)で、美術部と映画研究会に所属する逢沢博己役としてミステリアスな物語の一翼を担い、テレビ東京の深夜ドラマ「電影少女 -VIDEO GIRL MAI 2019-」(テレビ東京ほか)では、「乃木坂46」の山下美月さんとダブル主演を務めた、期待の若手俳優の一人だ。

 「エール」の岸本役を通じて、“戦場”というものを追体験した萩原さんは、「ある意味、自分の価値観を捨てないとこの時代の役には臨めないなというのはすごくあった」と明かす。

 ドラマの制作統括・土屋勝裕チーフプロデューサー(CP)は、萩原さんを「非常に若手で輝いている、これからさらに伸びてくる俳優さん」と評価した上で、「当時、戦場に将来のある若者たちが送り込まれていったわけじゃないですか。そして、そこで命を絶たれてしまう悲劇性を、彼のようにキラキラした若者が演じることで、リアリティーが出てくるんじゃないかと思いました」と起用理由を語っていたが……。

 萩原さんは「岸本がああいった形で命を落とすってことが、どれだけ先を閉ざしているのか。自己中心的な物言いになってしまいますが、あの時代に生まれていなくて良かったなと自然と思ってしまう、それくらいすごい時代。そういった意味でも自分の価値観をより知る機会にもなりましたし、普段、役を演じるにあたって自分の経験に勝るものはないと思っていて、経験がなかったとしても、近い価値観からすり合わせていくのですが、それが通用しないテーマでもあったので現場に入るまで迷いはありました」と改めて心境を吐露。

 続けて「岸本役をやったからと言って日常生活で何かが変わったわけではありませんが、演じ終えた今、強く生きよう、生きたいなって思いますね。生きているってことは言葉にならない以上に意味があるのかなって」と結論づけていた。

 ◇「3年A組」から5人も「エール」に 「みんな本当に“止まらない”なって」

 今回、偶然ではあるが「3年A組」の“卒業生”が「エール」に5人も出演。萩原さんは、森七菜さん、佐久本宝さん、堀田真由さん、望月歩さんに続く登場となった。

 「『3年A組』で一緒にやった子たちには、何か特別なものを感じていて。ニュースで名前を目にすると、つい(ニュースの)中身を見ちゃうし、みんな『3年A組』のあとにもいろいろなところに出ていて、モチベーションにはなります。みんな本当に“止まらない”なって」と同じ“卒業生”の活躍を喜ぶ萩原さん。

 また、「共演したときは何となく意識してしまうし、みんなそれぞれの現場で新しいものを吸収して次って感じで突き進んでいて、自分も負けたくないなって思います」と本音をのぞかせると、「『エール』では共演シーンはなかったのですが、森七菜ちゃんとは一瞬スタジオで会えて。また共演してみたいなって思える人たちばかりなので、こうやって5人も同じ作品に出ていたってことはすごくうれしいですね」と笑顔を見せる。

 ◇目指すは“年齢不詳” 先輩・菅田将暉を「常に追い続けられるような位置に」

 そんな萩原さんに最後、以前のインタビューで目標にしていた「3年A組」の“柊先生”こと菅田将暉さんへの思いも聞いた。

 「止まらないっていう意味では、本当に菅田さんも止まらないなって思いますし、だから、生徒だった僕らも止まってなんかいられないのかな」と印象を語ると、「14歳のころから菅田さんの芝居を見続けて、どんどんと突き進んでいくのを見てきたので、俳優として、表現者として、とてもいい先輩、目標ですし、あの人を常に追い続けられるような位置にいたいです」と言い切る。

 「エール」出演でさらに評価を高めた萩原さんは、今後に向け「今までは(役として)制服を着る機会が圧倒的に多かったのですが、来年の2月で22歳になるので、世間的にも学生ではなくなる年齢。もちろん、制服が着られるまで着続けたいのですが、それこそ教師役だったり、実年齢より上の役、経験していないものをどう表現すべきか、その演じ方をきっちりと身につけていく必要があるのかなって思っています」と目標を定めると、「役そのものの年齢ってすごく大事にしているのですが、演じる本人としては“年齢不詳”でいたいなって思っていて。『あの作品の学生役の人の演技がすごかったけど、本当はいくつなの?』って思ってもらえるような、俳優になっていけたらなって思っています」と目を輝かせていた。

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