ダンダダン
第9話「合体!セルポドーバーデーモンネッシー!」
11月28日(木)放送分
人気アニメ「プリキュア」(ABCテレビ・テレビ朝日系)シリーズの見どころの一つに変身シーンがある。同シリーズで数々の変身バンクや原画を手がけ、“超絶技法”でファンを魅力してきたのが、アニメーターの板岡錦さんだ。10月31日に公開された劇場版最新作「映画プリキュアミラクルリープ みんなとの不思議な1日」(深澤敏則監督)で作画監督を務めたことも話題になっている。板岡さんは「プリキュア」ファンの間では有名ではあるが、これまで取材をほとんど受けたことがないという。謎多き職人・板岡さんとは……。「一人でインタビューを受けるのは初めて」という板岡さんに、超絶技法、名変身シーン、劇場版最新作の作画監督など「プリキュア」シリーズへの思いを聞いた。
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板岡さんといえば、キャラクターが縦横無尽に動き回る変身バンク、可愛く、格好よくもある戦闘シーンなどに定評がある。これまでも「プリキュア」シリーズの関係者に取材する中で、「とにかくすごい」「仕事が早い」「信念がある」と板岡さんを絶賛する声を聞いてきた。そんな板岡さんが同シリーズに初めて参加したのは、2005~06年放送の第2弾「ふたりはプリキュア Max Heart」の第31話「バルデス復活! チームワークでギリギリ突破!!」だった。
「『Max Heart』に原画で入ったのが初めてです。専門学校の同期の座古(明史)君が演出で『やらない?』と声をかけてもらいました。それから少し時間が空いて、『フレッシュプリキュア!』(2009~10年放送のシリーズ第6弾)のシリーズディレクターだった座古君から話があって、初めてバンクの仕事(この時はラッキークローバー・グランドフィナーレの技バンクの冒頭分部分)を担当しました。『ハートキャッチプリキュア!』(2010~11年放送の第7弾)の映画をやって、『スイートプリキュア♪ 』(2011~12年放送の第8弾)の単独映画を除いて以降の映画はずっと呼んでいただいています」
変身バンクとは、アニメで流用される変身シーン。毎回のように変身シーンが登場するテレビアニメは、変身バンクを繰り返し使用することが多い。板岡さんはこれまで数々の名変身シーンを手がけてきた。
「(『スイートプリキュア♪』の)キュアミューズは3人でやっているのでカウントをしていないのですが、(放送中のシリーズ第17弾『ヒーリングっど プリキュア』の)キュアアースで8回目ですね。10回はやりたいですね。10回やったら名前くらい覚えてもらえるんじゃないかな(笑い)」
板岡さんが手がける変身バンクは、キャラクターが画面を縦横無尽に動き回る。それぞれのキャラクターの特徴、魅力が短い時間の中に凝縮されている。
「アニメは枚数を増やすとお金がかかりますし、やりたいことが全部できるわけではないのですが、バンクはそれが許される傾向があるんです。枚数制限がないというか……。本当は恐らく制限があるとは思うんですけど(笑い)。だから、どこまで動き、画面の密度を上げられるのか?と自分の限界を試してみるんです。ミューズの時から、バンクをやるなら一コマでやりたいとも思っています。あと、志田(直俊)さんの影響もありますね。せっかくなので、やるからには一番印象に残るものを作りたいですし」
板岡さんにとって8回目の変身バンクで、現在放送中のシリーズ第17弾「ヒーリングっど プリキュア」のキュアアースも“超絶技法”の数々が詰め込まれている。犬型ヒーリングアニマルのラテが走りながら風鈴アスミに近づき、アスミとラテが手をつなぎ、くるくる回転する。アスミが回転しながら、金の髪が紫になり、キュアアースに変身する。どこか上品で、美しく、神々しさも感じる。
「監督のイメージから逸脱せずに、キャラ表(キャラクターの外観などを標準化するために使用されるイラスト)を見て感じたことをどこまで出せるのか……なんですけどね。変身バンクは毎回、何かしら新しいことをやりたいとは思っています。回数を重ねていると、ネタが切れてくるんですけど(笑い)。面倒だからといって簡単な表現に逃げない。四つ足のラテが走るシーンは大変ですが、逃げたくなかった。そんなことばっかりやっていると、そんな仕事ばかりになるんですよ。楽しいからいいですけど(笑い)」
板岡さんは、意外にも作画監督の経験は少ない。テレビアニメの作画監督を務めたのは、2017~18年放送のシリーズ第14弾「キラキラ☆プリキュアアラモード」が初めてで、2018~19年放送のシリーズ第15弾「HUGっと!プリキュア」、2019~20年放送のシリーズ第16弾「スター☆トゥインクルプリキュア」の計3回のみだ。
「作監をやり始めたのがここ3、4年ですからね。これまでやってこなかったんです。最初から『作監はやらないよ!』と言っていましたら。作監をやるんだったら、原画をいっぱい描く!って(笑い)。できるとも思っていなかった」
板岡さんは原画を描き続ける中で「限界を感じるところがあった」という。さらなる高みを目指し、作画監督に挑戦した。
「原画だけ描いていては、気付かないこともあるんです。(2015~16年放送のシリーズ第12弾)『Go!プリンセスプリキュア』が終わった頃、(シリーズディレクターの)田中裕太とご飯を食べていた時、『いつか限界がくる』という話もあったんですよ。その時はピンとこなかった。余裕だよって(笑い)。でも、だんだんこのままでは絵描きとしての幅が広がらない、さらに上のレベルにいけない、そういうことを感じるようになってきて、作監をやらせていただくことにしたんです。やってみて、作監はみんな、ここまで神経を使って描いているんだ……と分かり、気付くことも多かった。全然うまくできなくて、皆さんのレベルの高さを思い知らされました。『スタプリ』の作監の時にちょっと見えてきたこともありましたが」
板岡さんが作画監督を務めた「映画プリキュアミラクルリープ」は、迫力のあるバトルシーンなど“板岡節”を堪能できる。しかし、板岡さんは「僕はあんまり……」と謙遜する。
「原画が素晴らしいので、基本的にあまり直していないんです。自分もいじられるのがあまり好きではないですしね。僕も原画マンとしてラフ原画を担当しているところもありますが、アクションが格好いいのは、原画マンが素晴らしいからですよ。僕よりずっとうまい人が参加しているので。僕が描くと我が出てしまいますし、クセが強いとよく言われますし(笑い)」
劇場版のオリジナルキャラクターの明日をつかさどる精霊・ミラクルン、昨日をつかさどる精霊・リフレインのデザインも手がけた。ミラクルンは可愛らしい精霊で、リフレインはイケメンな敵キャラだ。イケメンのデザインは、挑戦だった。
「ミラクルンは、初めてのシナリオ会議で、こんな感じですか?と描いたのが、ほぼ今の形です。生まれる時は、そんなものなのかもしれません。逆に、リフレインはなかなか決まらなかった。最初はもっとゴツい感じで描いていましたが、イケメンキャラということで苦戦したんです。基本、中2の女の子ばかり描いていますからね。イケメンをあんまり描いたことがなかったんです。引き出しがあんまりないんです(笑い)」
長年「プリキュア」を支えてきた板岡さんは、同シリーズの魅力をどのように感じているのだろうか? 最後に聞いてみた。
「一年ごとにテーマやキャラクターが変わるオリジナルアニメがこんなに長く続いているのは、『プリキュア』以外なかなかない。『プリキュア』の根底に流れているものは変わっていないとも思います。でも、表現の幅が広いんですよね。今日はあの人の作監だなとか、あの人が原画に入っているな、となったり。僕なんかよりいい仕事をしている人はいっぱいいますよ。そういう人がもっと評価された方がいいんじゃないかな。僕は、自分が可愛いと思ったものを描いています。可愛いと思わないで描くと、絵に出てしまいますしね」
「自分の限界を試してみる」「面倒だからといって簡単な表現に逃げない」など板岡さんがアニメ制作に向かう姿勢は、職人そのものだ。「映画プリキュアミラクルリープ」は、そんな職人の技が詰め込まれている。今後も卓越した技術、熱量でファンを驚かせてくれそうだ。
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