中村蒼:「エール」鉄男役“完走”に心から安堵 朝ドラ後も「恥をかくことを恐れず」俳優業まい進

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NHK連続テレビ小説「エール」に村野鉄男役で出演してきた中村蒼さん (C)NHK

 窪田正孝さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「エール」(総合、月~土曜午前8時ほか)に、主人公・古山裕一(窪田さん)の幼なじみ・村野鉄男役で出演してきた中村蒼さん。今回が初の朝ドラで、昨年10月にクランクインすると、コロナ禍を乗り越え、10月末のクランクアップの日まで、情に厚く男らしい鉄男を演じきった。「心から無事に終わって良かったなと思いました。本当にいろいろなことがありまして、僕のような立ち位置の人間でも、精神的にくることもありました」と素直に心境を明かす中村さん。また、今年3月に29歳の誕生日を迎え、20代最後の1年の半分以上を「エール」の鉄男と並走した中村さんに、撮影の日々を振り返ると共に、今後の俳優業への思いを語ってもらった。

 ◇2カ月半の撮影休止期間を乗り越えて…

 今回は新型コロナウイルス感染拡大の影響による2カ月半の撮影休止期間を乗り越えての“完走”。安堵(あんど)の気持ちはより強かった。中村さんは「僕より深く作品に関わってきた方たちの気持ちは計り知れないものだと思うのですが……。撮影が無事に最後まで終わることができて本当に良かったなって、終わった瞬間に感じました」としみじみ。さらに「窪田さんをはじめ、本当に才能のある方々と共演できたことがうれしくて。今後、自信も持って新たな現場に行けるくらい貴重な時間を過ごすことができました」と振り返る。

 「エール」には個性豊かなキャラクターが多数登場し、キャスト陣にも実力派の俳優・女優が集結。彼らの演技がより作品を豊かなものにしていた。間違いなくその一翼を担った中村さんも「朝ドラは(1話)15分という短い時間の中でいろいろなことが巻き起こるので、そこでいかに自分の影を濃くして存在するか」を感じながらの日々だったといい、「だからと言って、何か特別なことをするわけではないのですが、その中で埋もれてしまわないようにする、という大変さは朝ドラにはあるのかな」と印象を明かす。

 一方で、1年以上、鉄男を演じ続けることができたことに関して、「大変さよりも、うれしさのほうが勝った」と話す中村さんは、「本当に人間は複雑で、いろいろなことを考えていて、いろいろな面があって、それを映画や舞台一本で表現するのはなかなか難しかったりする。その分、朝ドラは長くゆっくりと成長できるので、無理に引き出さなくてもいろいろな面を見せられるのが良かったと思いますし、逆にマンネリ化せずに、いかに幅広く人物を表現するのかっていう部分では、非常に挑みがいがありました」と充実感をにじませる。

 第22週「ふるさとに響く歌」(11月9~13日)で改めて、夜逃げ後の子供時代が明らかになった鉄男という人物について聞くと、「裕一さんや(山崎育三郎さんが演じた)久志さんに比べて、飛び抜けて才能があるわけではない。その分、たくましく生きなくてはいけないと思っていたはず」と推測。「作詞家になるっていう一番の夢はあるけれど、新聞社で働いたり、おでん屋で働いたり、人の懐に入るのが上手で、真っすぐで、現実的な男なのかなって思いながら演じていました。だからこそ、普通に生きる人たちが共感できる詞を、日本人誰もが持っているふるさとを思う気持ちや、家族を思う気持ちを表現することができたのかな」と思いをはせた。

 ◇“ガキ大将要素”は自分の中には「まったくない」

 鉄男の“ガキ大将要素”は自分の中には「まったくない」と話す中村さん。それでも、鉄男が要所要所で裕一に放った「ずぐだれ(意気地なし)」という言葉が「大好き」で、「実際に口にした回数は少なかったですし、子供のときは裕一に対して、ガキ大将の立場で言っていたと思うのですが……。大人になってからは、多くを語らず、その一言だけで友を叱咤(しった)激励するっていうのが鉄男らしいなって」とうれしそうにほほ笑む。

 視聴者が惹(ひ)かれたのも、そんな鉄男の情が厚い部分。中村さんも「鉄男は熱く夢を語れて、裕一の才能を素直にうらやましいと言える人間。自分も普段からそうありたいと思ってはいて、自分と鉄男は決して似ているわけではないのですが、意識としては近いところにあるので、憧れみたいなものを持ちながら演じていました」といい、「あと、鉄男は人の悩みには寄り添えるのですが、自分の悩みは周りにあまり言わず、自分の中で解決してしまうところがある。その部分は似ているのかなって思います」と共感を寄せていた。

 ◇気がつけば俳優キャリアは15年に

 そんな中村さんも、気がつけば俳優キャリアは15年に達しようとしている。最初は「自らこの世界に入ったのではなく、周りに勧められて始めた」というが、今は「共演者の方がやりたい芝居をするために、自分はどうすればいいのかっていうことも、だんだんと考えられるようになってきた」と話す。

 「役作りの過程は一人だったとしても、最終的には現場でそれぞれの役を、みんなで育てていかなくていけない」という“気付き”も理由の一つ。モチベーション的にも、独りよがりな思いは薄れ、「だんだんと視野が広がって、自分の知らないところで大変な思いをして支えてくれている人がいるってことが分かってきて。今はこういう仕事をやっていると喜んでくれる人がいるんだってことが、大きな原動力になっています」と語る。

 朝ドラ後に向けては、「これまでも誠実に役に向き合うことこそが大切だと思ってやってきていて。それが今回の『エール』のような作品につながったと思っているので、そこはいくつになっても忘れずに続けていけたらいいなって思いますし、30代に入って、さらに年を重ねても、恥をかくことを恐れず、挑戦し続けたいなって思っています」と力を込めていた。

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